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第八部 第八話 ノア、足りない、という言葉

ノア君はまだお若いからね!

それは、責める声ではなかった。

だからこそ、余計に逃げ場がなかった。


現場の定例ミーティング。

いつもより少人数。


資料は揃っている。

判断も、問題ない。


ノアは、一通り説明を終えた。


「以上です。この方針で進めます」


誰も反論しない。

頷きが返る。


ーーー大丈夫だ。


そう思った瞬間だった。


「一点だけ」


年配の担当者が、控えめに手を挙げた。


「はい」

「この判断、 佐伯様はどうお考えですか」


一瞬、空気が止まる。

ノアは、言葉を選んだ。


「……最終的な確認は取っています」

「そうですか」


相手は、頷いた。

それで終わる、、、はずだった。


「失礼ですが」


同じ人物が、続けた。


「最近、少しだけ不安でして」


声は、本当に穏やかだった。


「ノア様の判断が悪いわけではない。

ただ……」


 一拍。


「”佐伯様がいない前提で進めていいのか”」


その言葉が、胸に落ちた。

重く、静かに。


「……どういう意味ですか」


ノアは、問い返した。


「ノア様は、現場を見てくださる」

「寄り添ってくださる」

「だから、話しやすい」


褒め言葉だ。

間違いなく。


「でも」


その先が、来た。


「佐伯様は、“全部”を見ていらっしゃるし、

最悪のケースを含めて判断される」


「そこが」


一拍。


「”今は少し足りない”」


ノアは、すぐに反論できなかった。


できなかった、というより――

 『否定できなかっ。』


「……」


沈黙が流れる。

誰も、ノアを責めていない。


むしろ、気遣うような視線。


それが、一番きつい。


「……分かりました」


ノアは、そう答えた。


「確認します」


会議は、それ以上荒れなかった。

問題も起きていない。


でも。


部屋を出た瞬間、ノアは立ち止まった。


「……」


“足りない”。


その言葉が、頭から離れない。

兄さんなら、どうしただろう。


きっと、感情を挟まず、淡々と理由を聞く。

整理して、必要な情報を足す。


それができる。


ーーーでも。


それは、”兄さんだから”だ。


「……」


ノアは、拳を握った。

悔しい。

情けない。


でも、怒る資格はない。


相手は、正直だっただけだ。


現場として、正しい不安を口にしただけ。


「……俺」


声が、小さく漏れる。


「……まだ、横に立ててない」


その事実が、はっきりと言葉になった。

同時にもう一つ、改めて理解してしまう。


『兄さんは、この言葉を何度も一人で受け止めてきた。』


怒らずに。反論せずに。ただ、立ち続けて。


「また、だ……」


ノアは、その場で深く息を吸った。

逃げるわけには、いかない。


でも、このままでも足りない。


ならーーー


”どうやって、埋める?”


その問いだけが、胸に残った。



感想をいただけると嬉しいです。

※一応完結分までは完了してますので都度載せる予定です。

よろしければ見てください。


AIアシスト作品です。


僕はまだ、ただの学生だったはずなのに。

気づいたら、伯爵家と組織と、大人たちの胃を一手に引き受けていた。

これは「有能すぎたせいで詰んだ男」の話。

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