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第八部 第七話 ノア、前に立つ、ということ

ノア君前に立つことを考える回

兄さんが、最近あまり話さなくなった。

正確に言うと、必要なことは話す。


指示も出す。

確認もする。


でもーーー”雑談が、ない。”


前は、すれ違いざまに一言あった。


「今日は遅くなる」

「無理するなよ」

「それ、後で一緒に見よう」


今はない。


距離を取られている、とまでは思わない。

でも、”壁一枚分、下がった気がする。”


それが、余計に効いた。


現場で、ある担当者が言った。


「ノア様の判断で、この件は進めます」


“佐伯様に確認”その一言が、消えていた。


ノアは、うなずいた。


「……分かりました」


判断はできる。資料も読んでいる。


問題はない。


でも、胸の奥がざわつく。


ーーー前は、ここで兄さんが一言入っていた。


それを、自分が引き受けた。


会議が終わり、廊下で声をかけられる。


「ノア様、最近頼もしいですね」

「佐伯様より、現場分かってますよね」


褒め言葉だ。

間違いなく。


でも、ノアは笑えなかった。


「……そう、ですか」


曖昧に返す。


その夜、一人で考える。


兄さんは、前に立っていない。


下がっている。


それは、兄さんが弱くなったからじゃない。


 ”俺が前に出たからだ。”


ーーーじゃあ、俺は何をしている?


現場の声を拾っている。

分からない人の隣に立っている。


それは、やりたかった役割だ。


でも。


「……」


兄さんが見ていた“全体”を、俺は見ていない。


分かってる。


それでも、俺の言葉で、誰かが傷ついた。

意図せず。善意で。


「……」


拳を握る。


殴った時と、同じ感触。


あの時、俺は切り捨てられる側に立っていると思った。

でも今はーーー


「……俺、切り分ける側に立ってるんじゃないか」


ぞっとした。


誰かの前に立つって、誰かの後ろに

影を作ることでもある。


それを、兄さんはずっと一人で引き受けてきた。


「……」


胸が、少し痛む。


兄さんは、怒っていない。


でも、”頼ってもいない。”


それが、一番きつかった。


「……俺」


声に出す。


「……俺、今、どこに立ってるんだ」


答えは、出ない。

ただ一つだけ、はっきりした。


”前に立つ、というのは、思っていたより重い。”


そして。


”兄さんの横に立つには、まだ足りない。”


それでも、逃げるわけにはいかなかった。



感想をいただけると嬉しいです。

※一応完結分までは完了してますので都度載せる予定です。

よろしければ見てください。


AIアシスト作品です。


僕はまだ、ただの学生だったはずなのに。

気づいたら、伯爵家と組織と、大人たちの胃を一手に引き受けていた。

これは「有能すぎたせいで詰んだ男」の話。

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