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第8部 第六話  ~大人たちは、ちゃんと見ている~

大人たちの会議です。

会議室の空気は、静かだった。


誰も声を荒げない。

誰も責めない。


それでも、

「問題が起きている」ことだけは

全員が分かっている。


ジェシカが、タブレットを閉じた。


「……ノアの発言は、致命的ではないわ」


まず、そう言った。


誰かをかばうでもなく、

切り捨てるでもない声。


「でも、“誤解されやすい”形だった」


拓海が、低く息を吐く。


「現場の人間は、言葉を切り取る。

意図じゃなく、“響いた部分”だけをな」


エドワードは、腕を組んだまま黙っていた。


しばらくして、ゆっくりと口を開く。


「……悠馬は、どうしている」

「頭を抱えてるわ」


ジェシカは即答した。


「怒ってはいない。混乱してる。

“なぜ、これが悪意として受け取られるのか”

そこが分からない状態ね」


拓海が、視線を落とす。


「……あいつは、最初からずっとそうだ。

見えているものを、そのまま出す。

それで救われる人も多い。

……だが」


一拍。


「置いていかれる人間が出る」


誰も否定しなかった。


エドワードが、小さく笑った。

自嘲に近い笑いだった。


「……私の責任だな」


「?」


「悠馬に“上から見る力”だけを与えすぎた」


「下から見ることも、横から見ることも」


「本人は、“いずれ分かる”と思っている」


「だが、分からないままの人間もいる」


ジェシカが、ゆっくり頷く。


「ノアは、その橋になろうとしている」


「でも、橋になるには若すぎる」


「自分の言葉が、どんな刃になるかを

 まだ知らない」


拓海が、苦い顔をした。


「……だから、あいつは殴った」


「分からないまま、

 切り捨てられることに

 耐えられなかった」


「自分が

 切り捨てた側だと

 気づかずにな」


沈黙。


ジェシカが、テーブルに指を置いた。


「今、一番危険なのは」


視線が、

 一点に集まる。


「悠馬が、

 “自分のせいだ”と

 思い始めていること」


「……」


「彼は、

 責任を引き受ける癖がある」


「だから、

 答えの出ない問題まで

 自分の中で処理しようとする」


エドワードが、静かに言った。


「止めるべきか」

「いいえ」


ジェシカは、首を振る。


「止めたら、彼は“見ない”ことを覚えてしまう」

「必要なのは、

 叱責でも制限でもない」


「……時間?」

「ええ」

「“分からないまま立つ”という経験」


拓海が、眉をひそめる。


「酷じゃないか」

「酷よ」


ジェシカは、淡々と言った。


「でも、彼はもうその段階にいる」


「逃げ道は、

 用意する」


「一人で抱え込まないように」


「ノアを、

 近づけすぎないように」


「でも」


一拍。


「“考えること”からは逃がさない」


その言葉に、

 誰も異を唱えなかった。


エドワードが、深く息を吐く。


「……あの二人は」


「今、同じ場所に立っていない」


「だが」


ジェシカは、

 立ち上がりながら言った。


「”並べる可能性がある”」


「だから、潰さない」


扉に手をかけ、振り返る。


「私たちは、“まだ待つ側”よ」


会議室に、静けさが戻る。

誰も、正解を持っていなかった。


だが、全員が同じことだけは理解していた。


ーーーこれは失敗ではない。


ーーーただ、

 ”人が人になる途中”なのだと。



感想をいただけると嬉しいです。

※一応完結分までは完了してますので都度載せる予定です。

よろしければ見てください。


AIアシスト作品です。


僕はまだ、ただの学生だったはずなのに。

気づいたら、伯爵家と組織と、大人たちの胃を一手に引き受けていた。

これは「有能すぎたせいで詰んだ男」の話。

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