第八部 第一話 悠馬、帰国後/配置の再定義
やっと8部まできた・・長いんですよ、、8部、、。数少ない読んでいただいている方、ほんと申し訳ないです。見放さないで読んでやってください(´;ω;`)
笑って済ませられる話は、
ここまでだった。
翌朝、オフィスの空気は、
はっきりと元に戻っていた。
日本で感じた“評価されない軽さ”は、ここにはない。
代わりにあるのは、視線の重さと、
言葉の選ばれ方だ。
「……佐伯」
会議室に入るなり、名を呼ばれる。
肩書きは、付かない。
だが、それで十分だという顔をしている。
席に着く。
資料が配られる。
数字は問題ない。工程も、想定内。
でも、説明が終わった後の沈黙が、長い。
「今回の日本視察を踏まえて」
誰かが切り出す。
「今後の意思決定フローを、明確にしたい」
来たな、と思った。
それは、責めでも、称賛でもない。
”線引き”の話だ。
「ノア・ハミルトンを現場責任者として前に出す」
「佐伯は、最終確認と調整に専念する」
一見、合理的だ。
しかし。
“専念”という言葉が、微妙に、距離を作る。
「現場判断の速度を上げたい」
「分業した方が、効率がいい」
効率。
正しい言葉だ。
だからこそ、反論がしづらい。
自分は、ゆっくりと口を開いた。
「分業自体に、異論はありません」
視線が集まる。
「ただ」
一拍。
「“判断の責任”と“判断の速度”は、同じではない」
空気が、わずかに張る。
続ける。
「前に出る者が判断を背負うなら、
後ろに立つ者は、
見えない部分を引き受ける必要がある」
「それを、切り離すつもりはありません」
誰も、すぐには口を開かなかった。
正論だ。
だが、“やりづらい正論”でもある。
日本で感じた違和感が、ここで、形を持つ。
自分は、高いところから全体を見る。
それは、強みだ。でも、同時に、遠さにもなる。
会議が終わる。
廊下に出ると、ノアが待っていた。
「兄さん」
「聞いてたか」
「……うん」
短い返事。
ノアは、少しだけ躊躇ってから言った。
「俺、前に出るのは嫌じゃない。
でも、兄さんが後ろにいるのを
“いらない”って言われるのは、違うと思う」
その言葉に、胸の奥が、静かに鳴る。
日本で持ち帰った問いが、
ここで、
はっきり輪郭を持った。
”並ぶとは、同じ位置に立つことじゃない。”
違う高さで、同じ方向を見ることだ。
それを、どう配置するか。
今、考えるべきはそこだ。
「……ノア」
「何?」
「次は」
一拍。
「お前が前に立つ。でも、橋は一本にする」
ノアが、真っ直ぐ頷いた。
「分かった」
その返事に、迷いはなかった。
日本で生まれた違和感は、
ここで使うためのものだったらしい。
笑い話では、終わらない。
だが、一人で背負う話でもない。
物語は、次の配置へ進む。
感想をいただけると嬉しいです。
※一応完結分までは完了してますので都度載せる予定です。
よろしければ見てください。
AIアシスト作品です。
僕はまだ、ただの学生だったはずなのに。
気づいたら、伯爵家と組織と、大人たちの胃を一手に引き受けていた。
これは「有能すぎたせいで詰んだ男」の話。




