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佐伯悠馬は胃が痛い  作者: 雪森蓮


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114/160

幕間 噂は、作るものではない。整えるものだ。

メモ:悠馬24 凛・蘭22 ノア19 くらいの時の話


ロサンゼルスの午後。

ホテルのラウンジは、仕事の合間にちょうどいい静けさだった。


「ねえ蘭」

「なに」


凛はタブレットを指で弾く。

画面には、整理されたフォルダが並んでいた。


・未公開

・要選別

・危険

・今は出さない


「……“今は出さない”が増えすぎじゃない?」

「増えてるね」

「減らす?」

「減らすと価値下がる」


二人の会話は、感情がない。

いつも通りだ。


「噂、今どうなってる?」

「“冷たい”“切り捨てる”“人間味がない”】【定期ワード三種】

「人格否定?」

「人格否定」


凛が首を傾げる。


「変だよね」

「うん」

「人格否定って、上書きしづらい」

「だから厄介」


蘭は、画面を切り替えた。

そこに映ったのは、”限定で少しずつ出回っていた映像の反応ログ”。


「……あ」

「来た?」

「来てる」


数字が跳ねている。

コメントの質が変わっている。


> ・“思ってたのと違う”

> ・“この人、ちゃんと笑うんだ”

> ・“ノアの前だけ顔違くない?”


「……兆し」

「うん、兆し」


凛は、カップを置いた。


「作る?」

「整える?」

「上書き」


二人は同時に頷く。


「“佐伯悠馬=冷たい”は」

「“佐伯悠馬=感情が見えにくい”にずらす」

「“切り捨てる”は」

「“判断が速い”に」

「“人間味がない”は」

「……これは」


蘭が一瞬だけ考えた。


「“人間味、ノア限定”で行こう」

「強い」

「BL疑惑?」

「副作用として受け入れる」


二人、即決。


「出すのは」

「“秘蔵フォルダ”の中でも」

「事故っぽいやつ」

「不意打ち感あるやつ」

「笑ってるやつ」

「気を抜いてるやつ」


凛が、ぽつりと言った。


「……悠馬、怒るかな」

「怒る」

「胃、やられる?」

「やられる」


それでも、二人は手を止めなかった。


「今、噂は“悪意じゃない正しさ”に寄りすぎてる」

「だから」

「”温度を戻す”」


蘭が、送信準備画面を開く。


「限定公開」

「段階解放」

「出所は“偶然”」

「拡散は“自然発生”」


完璧だ。

その時、背後から声。


「……また、碌でもない顔してるわね」


ジェシカだった。


「見て」

「嫌な予感しかしない」

「相談」

「軽く!」


ジェシカは画面を一瞥し、数秒沈黙する。


「……噂の毒性、落とせる」

「でしょ」

「ただし」


一拍。


「“全部”は出さない」

「?」

「余白を残す」


「全部見せると」

「理解した気になる人が増える」

「それが一番危ない」


二人、深く頷く。


「じゃあ」

「第一弾だけ」

「“ノアの前でだけ笑う悠馬”」

「限定で」


ジェシカは、ため息混じりに言った。


「……胃薬、追加で送っとくわ」

「ナイス判断」

「優しさ」


その夜。


静かに、だが確実に、噂は“別の形”で流れ始めた。


> 「佐伯さん、感情あるじゃん」

> 「ノアの前だと別人」

> 「あれ、冷たいんじゃなくて不器用?」


上書きは、成功しつつあった。


ただし。


それが”本人の知らないところで行われている”、

という一点を除いて。


夏の終わりに仕込まれた噂は、

秋の入り口で、もう一度、姿を変えた。


善意で。

計算で。

そして、ほんの少しの悪ふざけで。


ーーー嵐は、まだ静かだ。



感想をいただけると嬉しいです。

※一応完結分までは完了してますので都度載せる予定です。

よろしければ見てください。


AIアシスト作品です。


僕はまだ、ただの学生だったはずなのに。

気づいたら、伯爵家と組織と、大人たちの胃を一手に引き受けていた。

これは「有能すぎたせいで詰んだ男」の話。

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