幕間 胃薬会議(議題:なぜ減らないのか)
補充してるのはノア(多分)
会議室。
しかし議題は経営でも現場でもない。
「……減らないな」
悠馬は、机の上の箱を見下ろした。
胃薬。
新品。
未開封。
……の、はずだった。
「先週買ったはずなんだが」
「うん」
ノアが即答する。
「俺もそう思ってた」
「なぜ?」
「知らない」
第三者がいない会話は、だいたいこうなる。
悠馬は、箱を振った。軽い。
「……空か?」
「空だね」
「なぜ?」
「飲んでるから」
「誰が」
「兄さん」
「……」
沈黙。
「僕、飲んだ記憶ない」
「寝る前に飲んでたよ」
「覚えてない」
「それが問題なんじゃない?」
もっともな指摘だった。
そこへ、ひょいと顔を出す人物。
「減る理由、分かるわよ」
ジェシカだった。
「消耗品だから」
「それは分かってます」
「いいえ」
ジェシカは微笑む。
「あなた、“使い切り”で生きてるでしょ」
「?」
「体力も、集中力も、神経も」
「……」
「そりゃ減るわ」
悠馬は黙った。
ノアが、横で小声で言う。
「兄さん、今の褒め言葉じゃない」
「分かってる」
「じゃあ直そうよ」
「どうやって」
「……胃薬の消費量から逆算?」
「経営判断に使うな」
その日、胃薬会議は結論を出さなかった。
なお翌週、箱はなぜか補充されていた。
誰が買ったのかは、誰も知らない。
感想をいただけると嬉しいです。
※一応完結分までは完了してますので都度載せる予定です。
よろしければ見てください。
AIアシスト作品です。
僕はまだ、ただの学生だったはずなのに。
気づいたら、伯爵家と組織と、大人たちの胃を一手に引き受けていた。
これは「有能すぎたせいで詰んだ男」の話。




