第六部 第五話 噂が“仕事”を越えた瞬間
いつかエドワードと拓海の話も出したいと思ってます。でもたぶん全部書き換えになるんだろうなぁ、、、
最初に違和感を覚えたのは、古い知人からの電話だった。
「……君のところの若いの、最近随分と評判だな」
声は穏やか。だが、含みがある。
「評判?」
「冷静で、判断が早くて、優秀すぎる、らしい」
エドワードは、その言い回しに眉を寄せた。
“優秀すぎる”。
褒め言葉の形をしているが、それは往々にして距離を取るための言葉だ。
「それで?」
「まあ、人の心は分からないとか」
「現場は切り捨てるとか」
電話口の向こうで、小さな笑い声。
「若い天才にありがちな話だな」
エドワードは、笑わなかった。
電話を切り、深く息を吐く。
嫌な兆候だ。
これは、噂が“面白半分”を越えた合図。
彼は、すぐにメモを取った。
悠馬の名前。
現場。
評価の変質。
その夜、屋敷に集まったのは三人。
エドワード。
拓海。
ジェシカ。
偶然ではない。
それぞれ、別のルートから同じ話を拾ってきていた。
「……現場、ざわついてる」
最初に口を開いたのは、拓海だった。
「悪意はねぇ。でも、“怖い”って
言葉が出始めてる」
ジェシカが、静かに頷く。
「こちらも同じ」
「噂の内容が人格評価に移行している」
「しかも」
一拍。
「誰も“間違っている”とは言っていない」
沈黙。
それが、一番厄介だった。
「……悠馬は」
エドワードが言う。
「正しいことをしている。それは、
皆分かっているだからこそ」
拓海が、言葉を継ぐ。
「正しさが刃になる」
ジェシカは、指を組んだ。
「これはね、個人攻撃じゃない」
「組織が“ついていけない速度”を恐れている」
エドワードは、目を閉じる。
思い当たる節が、多すぎた。
自分が、若い頃に見てきた光景。
優秀な者が、孤立し、
評価を反転させられる瞬間。
「……本人は」
拓海が、ぽつりと言う。
「気づいてないだろうな」
ジェシカが答える。
「彼は、“見えること”を特別だと思っていない」
「努力の結果だと思っている」
「だから見えない側の恐怖が想像できない」
それは、責める言葉ではなかった。
ただの、事実だ。
「止めるべきか」
エドワードが問う。
ジェシカは、首を横に振る。
「今、止めたら、、
“正しさを封じた”という噂に変わる」
「なら」
拓海が言う。
「守るしかない」
「本人が折れないように」
「孤立しないように」
エドワードは、小さく笑った。
「……またか」
また、若い優秀な者を大人が守る番だ。
だが今回は、少し違う。
「ノアがいる」
拓海が言う。
「まだ未完成だが、翻訳役になり始めている」
ジェシカが、静かに頷く。
「だから」
「今は、“止める”じゃない。“整える”」
エドワードは、
深く息を吐いた。
「……分かった」
「悠馬には、まだ言わない」
「ノアにも、全部は渡さない」
「噂は」
ジェシカが、淡々と言う。
「完全には消えない。でも、これ以上、歪ませない」
その場に、奇妙な連帯感が生まれる。
誰も、司令を出していない。
だが、役割は決まった。
ーーーこれは、もう子供の問題ではない。
優秀すぎる若者が、正しさだけで押し潰される前に。
大人が、前に出る番だ。
感想をいただけると嬉しいです。
※一応完結分までは完了してますので都度載せる予定です。
よろしければ見てください。
AIアシスト作品です。
僕はまだ、ただの学生だったはずなのに。
気づいたら、伯爵家と組織と、大人たちの胃を一手に引き受けていた。
これは「有能すぎたせいで詰んだ男」の話。




