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魔王の娘に転生した私は、恐れられるどころか世界一の美貌で恋愛ルート確定でした  作者: 月影みるく


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第6話 出会ってしまった、その瞬間

魔界城の大広間は、いつになく静まり返っていた。


そこに、人間たちは足を踏み入れる。


王子。

勇者。

そして護衛の騎士たち。


「……ここが、魔界城」


王子が息をのむ。


重く、禍々しいはずの空気。

だが――どこか、澄んでいた。


「油断するな」


勇者は低く告げ、剣から手を離さない。


その時。


小さな足音が、響いた。


とて、とて。


「……?」


人間たちの視線が、一斉にそちらを向く。


そこにいたのは――


白いドレスを着た、小さな少女。


淡い光をまとい、

夜空を映したような髪と、赤い瞳。


「……あ」


誰かが、声を漏らした。


(なに、この……)


王子の思考が、止まる。


(近づきたい。見たい。離れたくない)


理性が、警鐘を鳴らしているのに。


「……ひと?」


少女が、首をかしげた。


「……だれ?」


その声。


たったそれだけで。


勇者の膝が、がくりと落ちた。


「……っ!」


剣を支えに、なんとか体勢を保つ。


(なんだ……この圧は)


魔力ではない。

威圧でもない。


――“存在”そのものだ。


「セラフィナ様!」


慌てて駆け寄る、侍女リリア。


「こちらへ……!」


「りりあ?」


少女――セラフィナは、きょとんとしたまま、人間たちを見る。


「……あの?」


その瞬間。


大広間の空気が、凍りついた。


「それ以上、近づくな」


低く、鋭い声。


クロウ・フェルゼンが、人間たちの前に立ちはだかる。


剣は抜いていない。

だが、その気配は――完全に“戦”だった。


「……姫君に視線を向けるな」


王子は、ようやく我に返る。


「……失礼を」


ゆっくりと、片膝をついた。


「我らは敵意をもって来たわけではない」


だが。


視線は、どうしても、彼女を追ってしまう。


(……見てはいけない)


分かっているのに。


セラフィナは、クロウの背中から、ひょこっと顔を出した。


「くろう……」


小さな手が、彼の服をつかむ。


「こわいひと?」


クロウの肩が、ぴくりと揺れた。


「……いいえ」


一瞬で、声が柔らぐ。


「あなたに、危害を加える者ではありません」


(俺が、許さない)


その視線だけが、はっきりと語っていた。


人間たちは、理解する。


――これが。


魔王の娘。


恐怖でも、暴力でもない。


ただ、存在するだけで、

世界の秩序を揺るがす――


“禁忌”だということを。


「……また、会える?」


不意に、セラフィナが言った。


「……?」


王子は、思わず顔を上げた。


赤い瞳が、まっすぐにこちらを見る。


「……おともだち、なる?」


その場にいた全員の心が、

決定的に――落ちた。


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