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魔王の娘に転生した私は、恐れられるどころか世界一の美貌で恋愛ルート確定でした  作者: 月影みるく


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第18話 世界が、彼女を守ると決めた日

人間界・王城。


重い扉が閉まり、

会議室には緊張した空気が満ちていた。


王座の前に立つのは、

王子ノエル・クラーク。


その隣には、

勇者アルト・ヴォイド。


そして、王、宰相、騎士団長、各国の使者たち。


「――魔王の娘、セラフィナ・ノワール」


ノエルの声は、静かだった。


「彼女が、誘拐されていた事実が確認された」


ざわり、と空気が揺れる。


「しかも」


アルトが、言葉を継ぐ。


「犯人は、個人だ」


「魔界でも、人間界でもない」


「……つまり」


宰相が、眉をひそめる。


「世界の均衡を、意図的に壊そうとする存在がいる」


「そうだ」


ノエルは、はっきり頷いた。


「そして」


「セラフィナ姫は、

その“引き金”にされかけた」


沈黙。


誰もが、思い出していた。


――あの姿を。


五歳の、小さな少女。

怯えた瞳。

それでも、誰も恨まなかった存在。


「……敵にするべき存在か?」


ノエルは、問いかけた。


「違う」


答えたのは、アルトだった。


「守るべき存在だ」


「個人の感情ではない」


「勇者としてでもない」


アルトは、まっすぐ前を見る。


「世界の未来として、だ」


ノエルは、一歩前に出る。


「だから、提案する」


「人間界は」


「魔界と、正式に友好関係を結ぶ」


どよめきが、起こる。


「和平ではない」


「監視でもない」


「“共存”だ」


ノエルは、強く言った。


「人間も、魔族も」


「同じ世界に生きている」


「なら」


「世界一美しい少女を、

どちらかが独占する必要はない」


「世界全体で、守ればいい」


アルトは、剣を置き、片膝をついた。


「勇者アルト・ヴォイド」


「この身を、

魔界との架け橋として捧げます」


その姿に。


王は、ゆっくりと立ち上がった。


「……王子ノエル」


「お前は、覚悟があるか」


「はい」


ノエルは、迷わず答えた。


「彼女が大人になる世界を」


「争いのない場所にしたい」


「それが、王になる者の責任です」


長い沈黙のあと。


王は、静かに宣言した。


「人間界は」


「魔界との正式同盟を、開始する」


「目的は、ただ一つ」


「――セラフィナ・ノワールを、守ること」


その瞬間。


世界は、ひとつの方向を向いた。


* * *


魔界城。


玉座の間で、

魔王は報告書を読んでいた。


「……人間界が、そこまで言うか」


赤い瞳が、細められる。


クロウ・フェルゼンが、膝をついた。


「正式な使者を、送るとのことです」


「姫君の安全を、人間界でも保証したいと」


「……ふん」


魔王は、鼻で笑った。


だが。


「悪くない」


その声は、低く、穏やかだった。


「娘を、独り占めするつもりはない」


「世界が守るなら」


「それもまた、力だ」


* * *


その頃。


魔界城の庭。


セラフィナは、花を眺めていた。


「りりあ」


「はい?」


「せかい、しずか?」


リリアは、少し驚いてから、微笑む。


「……ええ」


「とても、優しい方向に」


「そっか」


セラフィナは、花に顔を近づける。


「じゃあ、いいね」


「みんな、なかよし」


その小さな願いが。


王を動かし、

魔王を動かし、

勇者を動かし、

世界を変えたことを――


彼女は、まだ知らない。


ただ。


この日。


人間界と魔界は、初めて同じ理由で手を取った。


――ひとりの少女を、守るために。


そして、世界は少しだけ、

やさしくなり始めた。


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