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破獄 take2

〈椎茸の笠の分厚さ頼もしき 涙次〉



【ⅰ】


怪盗もぐら國王は、* 再び賞金首となつた。テオ「** 國王、また僕に捕まつてみない?」-國王「はゝ、ジョーダン! 滅相もないぜ」-テ「僕は本氣で云つてるんだぜ。一億(圓)もの賞金が宙に浮いてる。勿体ないと思はないか?」-國「やらせで捕縛、かい?」-テ「さうだ。僕があんたをサツに連れて行つて、またカンテラ兄貴とじろさんの手助けで破獄すりやいーぢやんか」-國「で、一億は4人均等に分けて、俺たちは大儲けつてか」-テ「さうさう」-國「よし、その話乘つた。正直云ふと、仕事出來なくて金欠だつたのさ」-テ「故買屋は?」-國「奴には貯へがある」



* 当該シリーズ第77話參照。

** 前シリーズ第3話參照。



【ⅱ】


賞金稼ぎたちの窓口となるのは、警視庁某警視正。叛仲本派の急先鋒に立つ(カンテラ如きゴロツキ、と本氣で思つてゐるのだ)叛「魔界壊滅プロジェクト」組のリーダーだ。こゝから分かる通り、警察内部での複雜極まりない人間関係の綾が、人事配置に影響してゐる。

ともあれ、打ち合はせ充分となつた國王及びテオ、某警視正の元に出頭した。警視正「お前、テオとか云つたな」-テオ「いきなりお前扱ひですか」-警「前回は簡單にもぐら國王に牢を破られた。手口から云つて、お前んとこのカンテラ、此井が怪しまれてゐる。今回はさうは行かないぞ。バレたら今度は貴様ら一味が賞金首だ!」-國(とか云ふ根拠はまるでない。だうせカンさんじろさんが助け出してくれる。暫くの辛抱だ)



【ⅲ】


だが警視正には決め手となる、【魔】が付いてゐた。勿論、「ゲーマー」である。「ゲーマー」は、と或る伝統的妖怪を今度は起用し、警視正の狙ひに添ひ、カンテラじろさんを返り討ちにしやうとしてゐた。

で、打ち合はせ通り、まづはじろさん、看守たちを「古式拳法」秘傅の技で眠らせた。あとはカンテラの、* 傅・鉄燦で(殆ど「斬鉄剣」である)牢の鍵をぶつた斬り、國王を連れてとんずら、トンネルを使用し、するだけ... な筈だつたのだが。



* 前シリーズ第200話參照。



※※※※


〈溺愛で猫が肥つてしまつてもやつぱり私は猫を愛する 平手みき〉



【ⅳ】


カンテラじろさんが悠揚迫らざる様子で、國王の牢の前まで來た。國王、拘束服に、口にはボールギャグを咬まされ、見るも無慘な有り様。と、其処に現れたのが、僧形の妖怪。「『ゲーマー』の手配だな」カンテラには直ぐに分かつたのだが、妖怪のキャラクターは分からない。カンテラがじろ、と視線を向ける。と、あつと云ふ間もなくその妖怪は巨大化した。「ち、たゞアナクロなだけぢやないんだな」



【ⅴ】


じろさんもそんなに日本傳來の妖怪には詳しくない。見る間見る間に、その妖怪の脊丈は伸び切り、見上げる程の大入道と化した。念の為、(その天才脳には、さまざまな妖魔の事がインプットされてゐる)テオが付いて來て良かつた。「兄貴、こいつ『見越し入道』ですよ」-テオ。「だうすりやこの窮狀を打破出來る? もうすぐ看守たちが目を醒ます。時間がない」-カンテラ。「何簡單な事。見上げ入道みーこした」驚くなかれ、その呪文が一發で効き、入道は本來の等身大に戻つた。カンテラ無言で斬り棄てた。



【ⅵ】


さて、救出劇。テオは既に警視正から滿額・(嫌々ながら)一億圓の賞金をせしめてゐた... で、「ゲーマー」。「畜生、また『ポイント對象』【魔】をやられた」-かんらからからと嘲笑ふカンテラが、さも可笑しさうに魔界に現れ、「今回は何ポイントだ?」と訊く。「今回はさう大したもんぢやない。10だ」-「よし、累計75ゲット」-(糞! この儘ぢや風前の灯火だ)



【ⅶ】


「プロジェクト」で相当金額500萬圓受け取つたカンテラ・じろさん。その500萬は、一味の人間メンバーに均等に配り、臨時ボーナスとした。カンテラ・じろさん・テオは、アルバイト料・笑として各者2500萬圓づゝを得てゐる。それで充分だ。



※※※※


〈さよならがこゝで起きさう秋寂莫 涙次〉



さあ、殘り25ポイント。もうゴールは見えてゐる。最後の一ふんばりだ、頑張れカンテラ一味!!


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