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蒼穹が希いを繋ぐ星空譚  作者: 真田遼一朗
蒼穹の来訪
4/5

第一回星空会議②

 そういえば俺はこいつらについてまだ何も知らない。


 これから一緒にやっていくんだ。


 知っておいた方が良いだろう。


 丁度、話が一区切り着いたところだ。


 俺はこいつらの素性について話を切り出した。


「で、結局お前ら何者なんだ? 真の姿とか言ってたし、人間じゃ無いんだよな?」


「ああ、オレたちの正体はドラゴンだからな」


「ドラゴンってあの空飛んで火吹くあの?」


「まあ原理は違うけどそんなイメージで合ってる」


 まさかの正体だった。


 異世界と言えばドラゴン。


 ファンタジーと言えばドラゴン。


 裁縫箱と言えばドラゴン。


 ってくらいには俺の世界では馴染み深い存在。


 架空の生き物でありながらその知名度はマイナーな実在する生き物を遥かに凌ぐ。


 例え二次元的コンテンツに興味がなくても縁が全く無くても知っている人がいるくらいには有名だ。


 強いとは思っていたがそこまでの存在だったとは。


 だがそれならまた、あの疑問が再び浮かび上がってきてしまう。


 誰がこんな強いドラゴンたちを気付かれずに殺したのか。


 謎は深まるばかりだ。


 今はどれだけ考えても埒が明かないから一旦後回しにしよう。


「まさか俺の中にいるのがドラゴンだったなんて」


「しかも、オレたちただのドラゴンじゃなくて十二星座龍って呼ばれてるらしいからな」


「十二星座龍……」


 死んでお星様になったってことかな。


 この世界でそこまでの影響力があった存在ってことか。


 何かしらの逸話があるとか。


「なんか凄い事でもしたのか?」


「さあな。凄いことは何も、ただ凄い奴と一緒にいたってだけだ」


「なるほど、凄いやつね……」


 何かあったんだろうなって色々と察しながら、湿度が高くなったこいつらを横


目に次の話題を考える。


「今更なんだが、お前らの名前聞いてなかったな。これから一緒にやっていく関係なんだから先に教えとけよ」


「ああ、名前か。そのことなんだが実は、オレたちには人間と違って名前が無いんだ」


「名前が……無い?」


「だからシエル、お前にオレたちの名前を付けて欲しいんだ。どうか良い感じを頼む」


「んー」


 なんか結構軽い感じで言ってるが、これって中々に重大なことじゃ無いか。


 俺のネーミングセンス次第でこいつらのこれからが決まると言っても過言では無い。


 だって名は体を表すって言うからなあ。


「お前はともかく他のみんなもそれで良いの?」


「みんな前々から欲しいとは思ってたんだ。けど、自分たちでは良いのが付けられそうにないから」


「だから、俺か」


「そういうこと。じゃ、頼んだ」


 俺はとんでもないことを頼まれてしまった。


 下手にテキトーに出来ないし、慎重に考え過ぎて中二病が考えたような変な名前になってもダメだし。


 間を取った良い感じの名前が最善だけど、それが出来たら訳無いわけで。


 ゼロから思いつくのは絶対に無理だ。


 そう思考を作り変える。


 何かを元にこいつらのイメージと合致するような名前を作り出す。


 確か十二星座龍って言われてるんだっけ。


 なら、星座に絡めて考えてみるか。


「よし、思いついた」


「もうか、早いな。さすがオレたちを中に入れてる人間なだけあるな」


「全員その位置で動かないでくれ」


「別に良いけど、なんで?」


「まあ、こっちの都合だ」


 一人一人合う名前決めるよりもこっちの方が早いからな。


 俺は一番右にいる奴を一月と見做し、順に一人づつ指差しながら名前を付け始めた。


「俺から見て右からリエス、タウル、ジェミン、キャス、レオン、ヴィル、リラ、コルピ、サジリ、リコル、クアリ、ピスケでどうだ?」


 誰でも分かる通り十二星座から取った名前だ。


 もちろんそのまんまだとテキトー過ぎるから、ところどころ良い感じに変えてみた訳だ。


「どうだ気に入ったか、レオン?」


「ああ、最高だシエル。みんなも気に入ったみたいだ。お前と話したいって奴が沢山いるくらいにな」

 気に入ってくれて良かった。


 あんまり良くなかったからもう一度別の考えてくれって言われてたら、もうお手上げだったからな。


 ちなみに今まで話してたこいつの名前は偶々居た位置関係でレオンになった。


 安心した俺はふとさっきから気になっていたことをレオンに聞いた。


「そういえば他の奴は何で話に入ってこないんだ?」


「そりゃあ全員で話したら色々と収拾がつかなくなるし、何より変な奴が多いから一番まともなオレが代表して

話してるんだよ」


「へー」


 こんな感じのレオンが一番まともなのか。


 今までの行動を見るとそうは思えない。


 じゃあ、他の奴らはどんだけ癖のある奴らなんだよ。


 前途多難だなと、この中で最もまともである俺は、やれやれとため息を吐いた。


「さてと、オレたちの事を随分話してきてしまったがそろそろ本題に入ろうか」


 先程と打って変わった真剣な面持ちでレオンは新たに話し始めた。


 すごく重要で真面目な話の予感がする。


 俺は少しムッと身構えて話をすることにした。


「本題って?」


「なぜシエルがこの世界に連れてこられたのか。なぜ体を失ったオレたちがお前の中にいるのか。誰がオレたちにそれを教えここに導いたのか」


 確かに俺が死んでからの出来事全てに繋がる話だ。


 そこを明らかにしておかないと先には進めない。


 ゲームで言う強制イベントみたい類のものと同じだ。


 ここで話を聞かなければきっと取り返しの付かないことになる。


 今までの話も含めてだが、こいつらから得る情報は一つも無駄になる気がしない。


 知っていなきゃどこかで絶対に足を掬われる事になるだろう。


 まあ、ただの勘だけど。


「さっきレオンが言ってた神様みたいな人が何か関係してるんだろ?」


「おー察しが良いな。厳密には神様みたいな二人とその上司的存在の創世者によってお前とオレたちがここに集められたんだ」


「何かふわっとした言い方だな」


「しょうがないだろ。本人がそういう風に自分の事を表現してたんだから」


 話を聞いてみた感じ、創世者が言うには自分達は簡単に言葉で言い表わせない存在だからこんな表現してるよ

って事らしい。


 理屈はよく分からないが、まず世界を創った存在とそれを管理する存在二人が居て、そいつらが俺達に何かを

やらせる為にこんな事になっていると。


「そいつらは俺達に何をさせたいんだ?」


「端的に言うと、この世界を救い、そこに住む人々の安寧を守る事だ」


「内容がざっくりし過ぎて無いか?」


「詳しく話してもこれ以上の情報は無いぞ。元からこれしか説明されてないんだ」


 俺が選ばれた理由も世界を救わなきゃいけない理由も何も明かされない。


 だが、やらない理由も無い。


 なぜなら。


「なあ、勿論それをやり遂げたらそれ相応の対価があるんだろうな?」


「ああ、オレたちは元よりそれを条件にこの話を承諾したからな。シエルの場合も同じはずだ」


「そうか、なら良い」


 俺に選択の余地も与えなかったのは既に死んでいたからだろう。


 それか死ぬ間際に俺も承諾をしたとか。


 覚えてないけど。


 だがこれで元の世界に戻れる可能性が出てきた。


 元の世界に戻れさえすれば自分がなぜ死んだのかも分かるはずだ。


 家族の安否と共に。


「なら話は決まったな。改めてこれからよろしくなシエル」


「よろしくレオン、それにみんな」


 俺は仲間になった十二人のドラゴンへの挨拶と共に目の前のレオンと握手を交わした。



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