3話 ハインツ=タガールと武器の才能について
土龍暦1043年
隣国ルシエダ共和国との戦争の最中。
私の名はハインツ=タガール。
私が王の右腕となってもう何年経っただろうか。
我が王と共に幾度の戦場を駆け回り、いつの間にか王の右腕とまで呼ばれるようになった。
だがそのせいで私の魔槍【迅雷】と槍の技術が敵に知れ渡り、恐れられるようになってからは、私の眼前に現れる相手はいつしか時間稼ぎの雑兵ばかりになっていた。
「ふぅ」とため息混じりにハインツは昔の戦場を思い出す。
「昔は無我夢中で敵を倒せば武勲となり、自らの死と隣り合わせだったあの頃の戦場は生きている事を実感できていた。
だが此度の戦争はまるで意味のないように思える。
お互いが国境付近にて小さな小競り合いをし、攻め入るでもなく、攻め込まれるでもなく、ただいたずらに新兵や冒険者、はたまた傭兵の命を毎日捨て駒のように扱い表面上の戦場を作っているだけだ」
ハインツは夜営中の天幕の中で側近のルドガーへそんな不満を打ち明けた。
このルドガーいう男はハインツの昔ながらの戦友である。
ルドルフは戦斧を傍らに置き椅子に腰掛ける。
「ハインツ、そのことで兵たちの間に噂がある」
二人の時は上下関係も無く遠慮なく話せる仲だ。
「ほう、どんな噂があるのか?」
「何でもガンドルフ王と正室マルチナ様にお子様ができたのではないか?という噂が流れている」
「それは目出度いな!それなら此度の戦争は我が王の世継ぎのための時間稼ぎというわけか」
フフフとハインツは笑うとまだ見ぬ王の世継ぎへと想いをはせる。
「ルドガーよ、剣を持たせれば私と同等以上の戦いができるガンドルフ王と隣国の才女と呼ばれる美しい魔女マルチナ様の子だ。
いったいどのような麒麟児が産まれるか今から楽しみで仕方ないな」
「そうだな!きっと男であれば魔法も剣も使える魔法戦士、女の子であるならば美しい傾国の美女になるかと思います」
ーーー
時はジルフレッドとの訓練後へと移り、ハインツは兵舎へと足を運ぶ。
『なんということだ、ジルフレッド坊ちゃまと訓練を始めてまだ2年しか経ってないというのに、あの剣の冴えはいずれ私の槍術をも超えるであろう。
王は剣の才能を持っていたが、坊ちゃまもやはり王から才能を受け継いで剣の才能を持っているということか』
ハインツはまだ見ぬ未来への楽しみを胸に秘め1人ジルフレッドの成長を見守っていく。
ーーー
ハインツと別れた後、王城の一室にジルフレッドは立っていた。
そこには【ミラーオブマイン】と呼ばれる鏡のような道具が置いてある。
「スキルレベルは上がってるかな?」
ジルフレッドがその道具に触れると、鏡の中に現在のスキルレベルが浮かび上がる。
そこには剣術9の文字と盾術7 SP15/15 MP0/0の文字が浮かんでいた。
「やった!盾術は上がっていないけど、剣術とSPは1上がってる。今度父様と母様に報告しに行こうっと。
それにしても便利な道具だなぁ、確かこの鏡は迷宮から持ち帰った物で、父様がものすごい高い値段で買い取ったって聞いたんだよね。
まぁ値段は教えてくれなかったんだけど。
それと鏡の中の数値を誰にも教えては行けないってことも聞いたからやっぱり父様が母様にも秘密にしてもっと数値が上がってから驚かせようっと」
武器の才能は
剣術
槍術
斧術
杖(棒)術
盾術
弓術
の6種類となりそれぞれの才能がなければスキルレベルも上がり辛くなります。
スキルレベルが上がると技を覚えやすくなり威力も少しずつ上がります。
【ミラーオブマイン】に触れて見えるのはスキルレベルと魔法属性レベルのみで何の才能を持っているかは判りません。
SPはスキルを使用すると大技のものほど消費量が高くなります。