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オムライス  作者: 六連
2/9

 ――ああ、頭が痛い。

 微睡む頭で自身の状況を考えながら浩平はソファーから立ち上がった。

 テーブルの上にある酒を見ながら痛む頭を押さえる。ソファーで寝たせいで体も痛い。

「……ああ、そうだ。昨日酒飲んで……」

 確認するように呟きながらトイレに行った。

 用を終え、体を引きずるようにベッドへと入ろうとしたが先客がおりベッドの端で縮こまっている。

 浩平は特に気にせずにそのままベッドへ体を預けた。

 まだ上がりきらない気温のせいで少し肌寒い。体温で温められた布団は心地よく直ぐに二度寝が出来そうなほどだ。

 浩平が布団に入った事で先客が身じろいだ。

 だがそんな事など気にせずに浩平はそのまま寝入ろうとしていた。

 抱き枕のように相手を抱きしめる浩平。寝ぼけた彼の頭には元彼女の『優子がまたぞろ布団に潜りこんで来た』程度の認識しかなかった。

 さすがに抱き枕にされた相手から非難の声が出る。

「あ、あの、昨日今日でいきなり同衾(どうきん)は……!」

 ――どうきん?

 聞いた事のない単語に眠たげに瞼を開ける浩平。その焦点は定まっておらず半分寝ている。

「……どうきんてなに?」

「ど、同衾というのは男女が……その……同じ布団で」

 声の主は恥ずかしくなったのかそれ以上先を言わずに縮こまってしまった。

 相手の反応で何となく察した浩平。

「……ああ、そういうの。何をいまさら。もう既に何回もしてるんだから」

「なっ?」

 初心な反応をするなあ、と思いながら二度寝をしようとした浩平のスイッチがいきなり入った。

 先ほど視界に入った酒の数々。なぜ自分はあんなに酒を飲んだのか?

 だんだんと浩平の頭が覚醒していく。微睡んだ心地よいものが消え去り変わりに訪れたのは焦燥感に似た嫌な感覚。

 自分は今何を抱きしめて寝ようとしている?

 ゆっくりと眼下に視線を落とし自身の腕に中に納まる人間を見る。

 黒髪で白肌。彼女のパジャマを着ているせいで傍目には彼女と同じ布団で寝ている錯覚を起こすが、彼女とは昨日別れている。

 なら今自分の腕の中にいる人物は誰なのか。

「あー……えっと……彩香さん?」

 名前を呼ぶと腕の中に納まっていた人物が顔を向けてきた。白い肌は真っ赤に染まり耳まで赤くなっている。

 恥ずかしさからなのか目に溜めた涙は今にも零れそうだ。

「えっと……おはようございます」

 浩平はとりあえず朝の挨拶をした。

 その後、すぐさま浩平の顔には彩香の頭突きが見舞われることになった。



「……すいません」

 おにぎりを食べながらしおらしく謝る彩香。

 テーブルを挟んで向かいには、こちらも申し訳なさそうに項垂れる浩平。その鼻にはティッシュが詰められている。

 あの後頭突きを食らった浩平は鼻血を吹き出した。

 今は鼻栓をしてソファーを彩香に譲り自身は床に座っておにぎりを食べている。朝食を用意しようとして冷蔵庫に何もないのに気づき仕方なく具なしのおにぎりを握った。味付けは塩だけで海苔もなにもない。流石にそれだけでは味気ないのでインスタントのみそ汁も出している。

 頭突きで赤くなった鼻をさすりながらおにぎりを口に運ぶ浩平。

「すいません……寝ぼけてて」

 咀嚼しながらも弁解はやめず、

「彼女と間違えたんですよ」

 おにぎりを口に入れながら行儀悪く彩香に言った。

 元彼女である優子が泊まりに来るときはいつも同じベッドで寝ていたためその癖で間違えたのだ。昨日別れたというのに無意識ではまだ未練があるということなのだろう。ついいつもの感覚で布団に戻ってしまった。

「……それはそれで腹が立ちます」

 別の女と間違われたのが彩香としては不本意なのか恨めしそうに言う。

「ぐうの音も出ないです」

 申し訳なさそうに項垂れる浩平。その姿に少し心が痛んだのか、

「すいません。流石に頭を打ち付けたのはやり過ぎました…」

 素直に謝る彩香。だが浩平は直ぐに首を振った。

「いや、初対面の女性の布団に潜りこんだ俺が悪いです。申し訳ありません」

 深々と頭を下げる浩平に彩香を信じられないものを見るように目を丸くした。

「……良い人ですね」

 小さく告げられた言葉に浩平は驚き顔を上げた。

 悪いのは全面的に自分だと思っていたのでそんな評価をされるとは思ってもみなかった。

「あー……あんまりそういう評価を受けたことはないです。そういう風に言ってくれたのはせいぜい彼女ぐらいで。ああ、でも今はもう元彼女だな」

 自嘲するように笑う浩平。

 妙な沈黙が流れる室内。不味いと思った浩平は話題を変えた。

「それで彩香さんはいつまで家出するんですか?」

「え、ええ。どうしたものですかね。このまま帰っても嫁に行けと言われるんでしょうし……」

「断れないんですか?」

「出来るならしたいですけど、お嫁に行くのは女の務めみたいなものですから」

 みそ汁を啜りながら諦めた口調で話す彩香。

 今どきそんな事を言う家もあるんだな、とぼんやり考えながら浩平もみそ汁を啜った。

 それからしばらく眉間に皺を寄せて考えた浩平は彩香に提案をした。

「それならもう少しの間ここに居ます?」

「え、でも迷惑では?」

「いや、どうせもう一人なんで俺としては問題ないです」

「そんな、まだ彼女さんと別れたばかりなのに」

 彩香の言葉で浩平は冷静になった。

 よくよく考えれば彼女と別れた次の日に見知らぬ女を連れ込んで好きなだけ居ればいいなど、どう考えても胡散臭い。

 浩平としては襲うようなそんなつもりはないがそう思われても仕方ない。

 ならなぜそんな提案をするのかと問われればこれは何となくとしか言いようがない。もしかしたら自分が好きな彼女と別れなければならなかった事への反抗心なのかもしれない。好きだけど別れた自分と、好きでないのに結婚をさせられそうな彼女。

 似ていないけど近い境遇。望んでいない結果を望まれた事への。

 それが理由かもしれない。

「俺は問題ないですよ?」

 決定権は君にある。そう言うように優しく問いかける浩平に彩香は眼を大きく開いて、

「……いいんですか?」

 小さな声で答えた。

 その顔は年齢より幾分か幼く見える。

「構いませんよ。今は夏休みですし。昨日言った通り彼女とも別れたんで問題ないですし」

「……ほんとうに?」

 伺うように問いかけてくる。見れば彩香の方が悲しそうな顔をしていた。

 なんで自分の事ではないのにそんな顔が出来るのだろう?

 浩平は努めて冷静に、未練など感じさせないように告げる。

「彼女に別れて欲しいといったのは俺ですから。彩香さんがそんな顔をするような話じゃないです。むしろ同じ女性として俺を敵視しないと。いきなり一方的に三下り半を突き付けたんですから」

 そう言って食事を続ける浩平。だが話を聞いた彩香は何も言わずにジッと浩平の顔を見ている。

 ――何なんだ?

 観察するように浩平を見る彩香。その視線に居心地が悪くなり浩平の目が泳いでしまう。

 ついに耐え切れなくなり視線を見返して、

「……なんですか?」

「自分が悪いとお思いですか?」

 澄んだ彩香の目が浩平を見つめている。

「そりゃ俺が悪いんですよ」

 反射的に声が強くなる。

「どう考えても悪いでしょ? 理由も言わないでいきなり別れろって言ったんですから」

「そう、ですか」

 何か言いたげな彩香の目が浩平を見る。

 彩香の視線から逃れるように食事を再開すると彩香も食事を再開した。



 食事を終えて一息つくと浩平は洗い物をしに台所へ向かった。彩香にはにテレビでも見ていてくださいと伝えるとこれまたわからないのか首を傾げるばかり。どうやら本当に分からないらしくリモコンに触れようともしない。

 ――実は記憶喪失なのではないか?

 そう思いながらも口にはせずにテレビの電源を入れた。

 映し出された映像に彩香は感嘆の声を上げた。

「わぁー……活動写真ですか? すごい。劇場でもないのに」

 静かに、けれど驚嘆の声を上げる彩香をソファーに座り直させて「静かに見ていてください」と言うと彩香は眼を爛々と輝かして何度もうなずいた。

 まるで子供だな――。

 小さくこぼしながら浩平は台所へ向かった。

 洗い物をしながら、けれど時折彩香を見る。

 そんな視線など気にも止まっていない彩香は食い入るようにテレビを観続けていた。

 本当にテレビという存在を知らないようだ。昨日の風呂の件にしても街を見た時の反応にしても、やはりおかしい。

 先ほど自分が言った言葉に早々に後悔する浩平。

 どう考えても怪しい人物だと言うのに、自ら居座っても良いと提案してしまった。

 いくら彼女と別れて消沈していたとしても、いくら彼女に似ていたとしても、いくら自分に近い境遇だったとしても、軽はずみに言うべきではなかった。

 けれど今更出て行けと言うのも(はばか)れる。悪い人間ではないが怪しい人物なのには変わりない。

 せめて住所でもわかっていれば何かあったら親に言えば良いのだろうが、どうしたものか。

 洗い物を終えた浩平はとりあえず住所でも確認しようかと彩香の元に向かった。

 見れば先ほどの浩平の動作を見て覚えたようでリモコンを手に持ち次々とチャンネルを変えては興味深げに画面に食い入っていた。

 浩平からすれば昼間からやっているテレビの何が面白いのかわからない。ニュースぐらいは観るがそれも他に見たい番組がないから観るぐらいなもので、正直テレビもほとんど使ってはいなかった。むしろ優子の方が見ていた。

 彩香の横顔に元彼女の姿が重なる。だが直ぐにかぶりを振って消し去った。

「ちょっといいですか?」

「はい?」

 彩香は視線はテレビに向けたまま答える。時折声を上げて更に身を乗り出す様はまるで初めて動物園に来た子供のようだ。

「彩香さんの実家の住所教えてもらって良いですか?」

 実家、という単語に反応して彩香の顔が曇る。

「……なぜですか?」

 嫌そうな視線を向ける彩香に浩平は刺激しないように穏やかに話をする。

「いや、出ていけとか言うつもりじゃないですよ? ただ何かあっときに連絡先を知っておかないと不味いじゃないですか?」

「……どうせ家には帰らないです」

「いや、そうは言っても……」

 尚も食いつく浩平に彩香はやっと顔を向けると、

「親を呼んだら浩平さんに襲われたって言います」

「おそっ……?」

 予想外の単語に絶句する浩平。背中から嫌な汗が滲む。

 未成年ではないとは言え家出の少女を家に連れ込んだ男。どう考えても彩香に分がある。 しかもその日に彼女と別れている。襲うのが目的で連れ込んだと言われてしまえば言い逃れは出来ない。 

「そうなれば結婚も消えるかもしれません」

 芯の通った声で浩平に告げた。

 どちらかというと気弱そうだと思っていた彩香のイメージが一蹴された。見た目や話し方に似合わず中々に強かだ。

 浩平は諦めたのか項垂れて「……やめてください」と肩を落とした。

 主導権が彩香に移った瞬間だ。

「すいません。でも私も必死です。好きでもない人と結婚なんて」

 普通に考えればその通りだ。こうなれば居たいだけ居させるしかない。

「……よろしくお願いします」

 諦めに似た浩平のお辞儀に彩香もまた丁寧に頭をさげ、またテレビを見始めた。

 特にやることもない浩平は仕方なく付き合いでテレビを見る。

 画面に映っていたのは朝十時のワイドショー。ニュースやアパレルなどを放送している。

 テレビに映る芸能人を見ながら彩香は眼をキラキラと輝かしてはその都度、浩平に「あれはなんですか?」「あの食べ物は?」「あれは何処にあるのですか?」とまるで子供のように質問してきた。

 いい加減質問に疲れて黙ってもそれを許さず服を掴んで揺さぶる始末。テレビを見ながら独り言のように呟く彩香の言葉は端々に古臭さを醸し出していた。

「みんなモガやモボみたいです」

 羨ましそうに言う彩香。浩平はその聞きなれない単語に首を傾げる。 

「……なんですかそれ?」

 ゴッホとかモネとかその辺りに音が似ている気がしたがそんな名前を浩平は聞いた事はない。

 外国の俳優かなにかだろうか?

 ぼんやりと画面を見ながら聞くと隣では彩香が驚いた顔で浩平を見ていた。

「……なんですか?」

「いえ。てっきり浩平さんも洋装をしているから洒落た(ひと)なのかと思っていたのですが違うんですか?」

「洒落てはないです。というかモガにモボなんて言葉聞いた事一度もないですよ。何ですかそれ? ファッション? ブランド? 人の名前? 全然知りません」

「えっと、モダンボーイとモダンガールの事ですよ?」

 本当に知らないのかと問いかけるように彩香の物言いに少しムッとしながらも聞き流す。

 何か聞いた事がある気もする言葉。

 そこで浩平は思いだした。大正時代というまだ和装の多い中現代に近い恰好をしていた人たちだ。確かに昔の人が見たら現代人は皆モダンに見えるのかもしれない。普通ならば彩香のような恰好が普通なのだ。古臭いと感じたのは納得だった。

 と、そこで浩平は彩香の着替えをどうするかという事を思い出した。今は優子のパジャマで過ごしているが他に女物の着替えなど無い。

 このままここに住むとしたら流石に何着か着替えがないと不味い。

 優子に借りるかとも考えたが昨日今日別れた元恋人にそんな事は頼めない。むしろ今こうして彩香がいる状況を見られたらどうなるかわかったものではない。別れた理由が彩香と思われてしまう。

 できれば彩香を家から出したくはないが、かといって男一人で女物の服を買いに行くのはリスクが高い。サイズを聞くのも不味い。というより男一人で女性物を扱う所に入りたくない。それに下着も買わなければいけないだろう。ネットで買うにしても時間がかかる。いつまでも同じ服を着せている訳にいかない。

 頭を抱えて悩む浩平。急に唸りだした浩平を心配そうに見ていた彩香だが不意にその手が浩平の頭を撫でた。

 人が悩んでいると優子もこうして頭を撫でてきた。ほんとうに要所要所が元彼女に似ていて始末に負えない。

 小さくため息を吐くと浩平の手が彩香の手を取った。

「いつまでもパジャマじゃよろしくないのでとりあえず彩香さんの服を買いに行きますかね」

 色々と入用で買わないといけない。出かけるのに彩香でも着れる服はあるだろうかと考えながら立ち上がると浩平はタンスを漁り始めた。

 とりあえず彩香には半袖のシャツとパーカーを着せた。ズボンはベルトで閉めて裾を捲らせる。

 サイズが合わないのは仕方ない。ファッションで彼氏の服を着ている女性もいるのだから問題はないだろう。

 準備を終えた二人は自宅から歩いて十五分程のデパートへ向かっている。電車に乗って都心に出てもいいのだかそれだと誰に見られるかわかったものではない。少し離れた場所にモールもあるがそちらは人が多い。ならば少し寂れてはいるがデパートの方が人も少ない。でそちらの方が良いだろうと足を運ぶことにした。

「ほんとに凄いですね」

 浩平の後に続く彩香が声を上げる。

「道には車がよう走てますし、ピカピカ光るものも立ってる。凄いです」

 彩香は家を出てから道中、ずっと見える全てのものに驚いている。これではまるで本当に過去から来た人間みたいだ。

 自分で馬鹿な考えだと思いながらも浩平はこの考えを捨てきれていなかった。

 普通に考えればあり得ない事だ。記憶喪失やそれを演じていると考えた方がよっぽど現実的である。

 けれど彼女の恰好や話し方。知識や反応を見るとどうにもそんな荒唐無稽な考えも捨てきれなかった。

「ほら。いきますよ」

 このままだと店に行くのにどれだけかかるわからない。急かすように声をかけるが返事がない。

 何をしているのかと振り返れば彩香は空を見ながら突っ立っていた。

 つられて浩平も上を見るが特に何もない。鳥が飛んでいる訳でも飛行機が飛んでいる訳でもなかった。ただいつも通りの青い空に少しの雲。汗ばむ陽気で綺麗に晴れている。

「……何が見えるんですか?」

「空です」

 彩香の言葉に眉をひそめる浩平。もしや自分は馬鹿にされているのか?

 そう思い歩き出そうとすると、

「どこに行っても空は変わりませんね」

 嬉しそうに彩香は言った。

「真っ青で、白くて、遠くて。空はどこで見ても変わりません」

「……そういうもんですか?」

 浩平が独り言のように呟いた。けれど彩香はそれを聞き逃しておらず浩平に向けて笑うと、

「時は移ろうし人は変わる。けど変わらんもんもある。そういうのがあるのも良いものです」

 年の割に達観した事を言う。浩平には目の前の少女が自分よりも何十歳も年上に見えた。

「さ、浩平さん行きましょう」

 道草は終わりだと言うように髪を揺らして歩き出す彩香。

 その後ろ姿に浩平はやはり別れた彼女を見てしまう。

「……行くのは良いですが道わかってるんですか?」

 浩平の言葉に彩香は恥ずかしそうに振り返った。


 デパートに到着した浩平と彩香は入り口にある案内板の前に立っていた。久々に訪れたので配置が変わっているかと思ったが特に店の内装に変わりはなかった。

「先ずは服からですね」

 頭の中で買い物リストを作りながらエスカレーターに向かう浩平。彩香もそのあとに続く。その間も周りが気になるらしく彩香は辺りを見回していた。

 デパートは四階建てになっており一階に食料品。二、三階が婦人と紳士服。四階が雑貨という造りになっている。

 モールより種類は減るが一回で買い物を終わらせるには丁度良い。客も少ないし歩かなくて済む。

「とりあえず普段着を三、四着買って寝間着は三着あれば大丈夫ですか?」

「ああ、はい。大丈夫です……」

 彩香の語尾が萎んでいく。力ない言葉に浩平は立ち止まって振り返った。

「何か問題でも?」

「えっと、その――」

 何とも歯切れの悪い物言いに浩平が「なんですか?」と急き立てる。

 すると彩香は観念したように、

「……お金」

 恥ずかしそうに言った。

 彩香の言葉に浩平は何を今さらという言葉が口から出そうになるが堪えた。 

「俺が出すからいいですよ。どうせそんなに高くないでしょうし」

「……いいんですか?」

「服を買う余裕ぐらいあります。親が遺してくれていますので」

「はー……」

 視線を前に向けたまま彩香続けた。

「うちとは違いますね」

 皮肉でないのは声でわかった。

「……政略結婚ですか?」

「わたしの家は染物屋で。なんでも向こう方が貿易してるらしくわざわざ広島くんだりまで見つけてきたそうです。家は弟が継ぐしはよ嫁に行かんと行かず後家になってしまいます」

「……断れないんですか?」

「断る理由がないです。わたしみたいな可愛くもないの、こんな機会でもないとお嫁にいけないと言われました」

「でも、逃げてきたんでしょ?」

「ほんに……」

 吐くように言った。こぼれる息。溜め息にも似ている。

「何処か遠くに行きたかったんですが何処に行っていいかわからないし」

 だから神社に逃げ込んだ――。

 昨日の出会いが浩平の脳裏に蘇る。羽織を被り隠れていた少女。夏とはいえ夜は寒い。くしゃみをしながら、それでも家に帰ろうとはしなかったのだ。

 ――ならちゃんと親に自分で言えばいい。

 口に出かけた言葉をつぐんだ。所詮は他人の家の事。よそが何か言えるわけもない。浩平が優子と別れたのも浩平が決めたことだ。切っ掛けは他にあったとしても、決めたのは自分自身なのだから。

「周りも――」

 何処か遠くを見るように彩香は続ける。 

「周りも気にいらなけりゃ断れば良いと言いますが、まだ会ったこともないのに気に入るかどうかもわかりません」

 自嘲気味に笑う彩香の顔。その表情が浩平には何だか泣きそうに見えて仕方がなかった。その顔を視界から消す様に歩く速度を上げるとエスカレーターに飛び乗っりそのまま二階へと歩いた。

 ――さて、先ずはどうしようか。

 店頭に並ぶ服を見ながらどんな服が合うか確認しようとして振り返るがそこに彩香の姿はなかった。

 勝手に何処かへ行ったのかと思ったが、

「浩平さん」

 エスカレーターの下で声が聞こえた。慌てて下の階を見下ろせばそこには手を振る彩香。少ないながらも点在する客の視線が彩香と浩平に向かう。

 流石に店内で大声を出すわけにもいかず慌てて手招きをするが来る気配がない。

 まさかと思い急いでエスカレーターを下り彩香の元へ急いだ。

「何してんですか?」

 足早に駆け寄ると彩香はエスカレーターを指さし、

「……これ乗り方がわかりません」

「乗り方って……」

 普通に考えてタイミングをみて足を乗せればいいだけ。いや、タイミングなど考えもしない。もはや体が覚えているレベルの話だ。まさかエスカレーターに乗った事がないと言う訳ではないだろう。

 そう思い彩香を見るが困惑した顔で浩平を見上げていた。

 どうやら本当に乗れないらしい。

 冗談……にしては浩平に懇願するその顔に悪戯心など見えない。

 仕方なく浩平は彩香に向かって手を差し伸べた。

「流れに身を任せればいいんですよ」

 重ねられた手を浩平が握る。自身よりも一回り以上小さいその手は温かかった。

「せーので乗りますから合わせて一歩踏み出してください。いきますよ」

 彩香の言葉は聞かずに「せーの」と続けて一歩踏み出しながら彩香の手を引いた。

 段差を踏み外しそうになるが何とかエスカレーターに乗れた彩香は眼を丸くしながら先ほどまでいた階下と上階を交互に見る。

「凄いです!」

 はしゃぎながらも怖いのか彩香の手に力がこもる。

 二階に到着すると今度は慣れたの問題なく下りれた。

「すごい。機械仕掛けの階段」

「機械仕掛けって……」

 何とも古臭い言い方。まさか本命の買い物の前に早々にアクシデントがあるとは思わなかった。

「とりあえず二階についたので先ずは服を探しましょう」

「はい」

 陳列された洋服を見ながら歩き出す彩香。それに付き従い浩平も付いていく。

 デパートという事もあり掛けられているのはそこまで派手なものはない。おそらくは購入者に若者が少ないという事も関係しているのだろう。落ち着いた色合いの物が多い。

 歩きながら悩む彩香に浩平は適当に目についたワンピースを指さした。

「ああいうのはどうですか?」

 胸元にリボンのあしらわれた簡素なワンピース。夏に着られる定番物。

「涼しそうですね」

 彩香はワンピースを手に取り肌触りを確認する。感触も気に入ったのか嬉しそうに弄り始めた。

「んー……」

 弄りながら悩んだかと思うと今度は隣にかかっていた黒い方も手に取り始めた。

「どっちがいいですか?」

 悩ましそうな顔で浩平を見る。

「好きな色で良いんじゃんないですか? ネイビーもありますよ」

「……ねいびー?」

 呆れながら「紺色です」と言い直して浩平が手に取った。そこでよやく理解したのか彩香は感心したように頷いて、

「紺の事はねいびーと言うんですか」

 三色のワンピースを悩まし気に見ながら彩香は浩平に確認した。

「浩平さんは何色が良いと思いますか?」

「汚れとか気にするならネイ……紺か黒が良いんじゃないですか?」

 浩平としては色など何でも良いと思っている。強いて言うなら機能性ぐらいしか見ない。 だが浩平の言葉は彩香の顰蹙(ひんしゆく)を買ったようで口を尖らせている。

「浩平さんが似合うと思う色はなんですか?」

 不満そうな彩香の顔に浩平は視線を反らす。

 以前も優子に似たような言葉を言われた。

 その時も今と同じような状況だった。今と同じ事を言いその時も優子に窘められたのを思い出す。

「そもそも服なんて自分の着たいもの着れば良いじゃないですか? 他人の意見なんていります?」

 元彼女の事を思い出してしまったせいか浩平の言葉に少しの棘が出る。

 その言葉に彩香がスンとした顔で浩平を見返す。能面、という訳ではないが感情の読み取れない表情。

 彩香の表情で直ぐに先ほど自身がした発言に後悔するが出した言葉は戻せない。どうフォローしようか黙っていると、

「他人の意見を聞かないで生きていくのも良いですが、それでもどうしたって他人の目は気になりますよ」

 静かに彩香が告げた。まるで昨日の浩平に言うように。

 彩香の言葉には怒りも失望もない。ただ思ったことを言っているだけ。そう感じさせるものだった。

「……俺の意見なんてあてになりませんよ。センスないし」

「せんす……って言うのが何かはわかりませんがそれでも構いません。浩平さんに選んで欲しいと決めたのは私ですから。他人から見て似合わなくても浩平さんから見て似合うと思ったものを教えてください」

「……どうなっても知りませんよ?」

「大丈夫です。そもそもわたしは洋装の良い悪いもわかりませんから」

 彩香の言葉に浩平はワンピースを掴み彩香に合わせていく。最初にネイビーを彩香の体に重ねた。

 ――肌が白いから冷たく見えるな。

 次に黒を重ねてみた。

 ――悪くはないが、せっかく着るのだし。

 今度は白を重ねてみた。

 彩香の黒髪が白に映えた。一見するとどこかの令嬢のようだ。

 浩平は頷くと、

「白が良いと思います」

 そう言って彩香に白いワンピースを差し出した。

「白ですか」

 浩平の言葉にうなずきながらも紺のワンピースも重ねて見せてきた。

「ネイビーは駄目ですか?」

 こちらも悪くはないが落ち着きすぎている印象が浩平には感じられた。

「そっちも悪くはないですが、個人的にはこっちの方が好きです」

 そう言ってネイビーの上に白を重ねた。

 うん。やはりこっちがいい。

 ひとり頷く浩平に彩香は小さく笑い、

「そうですか。ならそちらにしましょう」

 持っていた紺のワンピースを掛け戻すと、

「ありがとうございます」

 嬉しそうにお礼を言った。 

「他のもお願いします」

 彩香の言葉に浩平も小さく笑って返した。

 その後、彩香は浩平に上着やズボンだけでなく下着まで選ばそうとしたので流石に店員を呼び浩平は逃げ出した。 

 今はエレベーター付近の座椅子に腰かけている。

 あまり男が女性下着売り場にいるのも他の客に迷惑だろうという配慮だ。

 天上を仰ぎながらほう、と息を吐いた。

 昨日から今日まで色々な事が起きすぎている。優子と別れて彩香を拾い、今はこうして身の回りの世話を焼いている。

 だから気落ちせずに過ごせているのかもしれない。いや、そうならないために浩平は彩香に家に居てもいいと言ったのかもしれない。

 ――偽善的だな。

 自分から別れを切り出しておいてその日に別の女性を家に招き入れるなど不貞行為に近い。

 ああ、このままではいけない。気落ちして沈んでしまいそうだった。

 気分を変えようと浩平はスマホを取りだしネットを開く。

 いくら未成年ではないとはいえ流石に親御さんと連絡をとれるようにしておかないと不味いと考えた浩平は何とかならないかと文明の利器を頼る事にした。

 警察に行くと何を聞かれるかわからない。市役所も戸籍謄本を呼び出すには市民カードが必要だ。財布やスマホすら持っていない彩香が持っているとは思えない。

 とういよりもこのご時世に家出をするのにスマホすら持たないなど有り得るのだろうか? むしろ家出となれば必要なツールのはずだ。友人や、誰かに泊めてもらうのにネットを使うという考えもあるはず。

 なのに彼女は何も持っていなかった。古臭い服装に羽織が一枚。

 まさか本当に――?

 遠くに見える彩香は年配の女性店員と楽しそうに話をしている。

 手の上の機械に視線を戻すと行方不明者、埼玉と入力をした。

 画面に表示されたのは行方不明者公表資料。

「……こんな風になっているのか」

 画面を見ながら浩平はつぶやいた。

 スマホに表示されたのは行方不明者の一覧。名前や性別、行方不明になった日付と担当署まで記述されていた。

 上から順にゆっくりと見てみるがそこに松本彩香という名前はない。

 まだ親が届けていないのか、情報開示されていないのか。

 だが一番に下の行方不明者の失踪日は一昨日の日付が書かれている。

 少なくとも更新はちゃんとされいてるようだ。

 やはり一番確実で安全なのは彩香に住所を聞いて行ってみる事かもしれない。

 今度聞いて行ってみよう。

 そう考えてスマホをポケットに仕舞うと浩平は彩香の元へ戻った。


「こんな沢山。申し訳ないです」

 テーブルに座る彩香は嬉しそうに笑いながら割り箸を割った。目の前にあるどんぶりからはダシの芳醇な香り。黄色い衣の天ぷらと油でぎらついた汁。その中に泳ぐのは白いうどん。

 一方浩平の前にあるどんぶりには茶色いお揚げと紅白のかまぼこ。中に泳ぐのは蕎麦だ。

 先ほどの彩香の言葉が服の事なのか食事の事なのかどちらだろうと考えながら浩平は適当に返事をした。

「気にしないで下さい」

 こちらも割り箸を割って食事を始めようとしている。

 買いものを終えた二人はフードコートに来ており少し早めの昼食を取り始めていた。広い空間にテーブルを幾つも並べ壁沿いに店を開けているスタイル。モールなどでよく見られる造りだ。

 平日の昼前ということもあり周りに客はおらず二人は四人掛けの席に座り先ほど買った荷物を隣に置いていた。

 幾つもある店の中から彩香はうどんを選びそれに合わせるように浩平は蕎麦を選んだ。

 他にラーメンやステーキなどもあったが彩香は食べ慣れたものが良いと言ってこうなった。

 箸をどんぶりに入れ麺掬う。浩平が食事を始めたのを確認して彩香も食事を始めた。

 はじめに麺を食べる浩平とは対照に彩香は汁から飲み始めた。レンゲで一さじ掬うと口の運び口に含んだ。

「凄いですね。ダシもしっかり利いてます。こんなうどんは初めてです」

「そうですか? チェーン店だから普通だと思いますけど」

「ちぇーん?」

 ――チェーン店も知らないか。

 彩香の不思議そうな顔も慣れたものでとりあえず浩平は似た言葉を頭で探してみる。

「あー……暖簾分け、ですから」

「なら本店があるんですか?」

「いやー……」

 内心、下手に言わなければ良かったと思いながら浩平は蕎麦を啜った。話題を変えようとして目についたものを話のネタにあげた。

「ていうか、もう着替えたんですね」 

「ええ。お店の方が着替えさせてくれました」

 先ほど購入した服を着ていた。白いワンピース。足元も今は花があしらわれた白いサンダルに変わっている。

「着心地はどうですか?」

「すごく良いです。生地は柔らかいですし」

「なら良かった」

 そう言って蕎麦を啜る浩平の頭はこれからの予定を考えていた。

「食べ終わったら下で買い物して帰りましょう」

「次は何を買うんですか?」

「今日の晩と明日の食材を買おうかと」

「それですと――ああ、いえ、そうですね」

 何かを言いかけて彩香は口を噤んだ。初めての事に浩平は眉根をひそめた。

「どうかしました?」

「いえ、明日の分もと聞いて明日でいいのではと思ったのですが、この時代には冷える箱があるんですもんね」

 冷える箱、という言葉に浩平は直ぐに冷蔵庫を思い出した。

 ――冷蔵庫を冷える箱と例えるか。確かに昔の人が冷蔵庫を見たらそう例えるのかもしれない。

 そこで彩香が言った言葉が不意に頭に引っかかった。

「……この時代って言いました?」

 確認するように告げた。すると彩香はうどんを咀嚼し嚥下して、

「そうです。この時代には便利はものが多いですね。わたしのいた時代は昭和十一年。一九三六年なのでここは八十年ぐらい先ですね」

 視線を店内へと向けた。まるで何かを探す様にぐるりと見回した。

「わたしの時代にはこんなものはありませんでした。少し前に東京の銀座に行きましたけど、あそこよりもここの方が凄いです。道は綺麗で砂利なんかない。車も大きいし歩いている人もみなさん奇麗です。着物なんて着てる方はおりません。皆さん西洋ふぁっしょんです。綺麗と言えばテレビも凄かったですね。新聞で見たのより小さいし色がついて手で触れそうでした」

 浩平の頬に汗が伝う。店内が暑いのか、食事をしているからなのか。垂れる雫が不快なのに手が動かない。箸を掴んだまま停止している。

「あやか、さんは――」

「松井彩香。大正五年生まれ。西暦でいうと一九一六年。八月二十二日生まれ。番地は久慈村の浅井の三番地、二の五」

 久慈村の浅井。聞き覚えのある単語。浩平のアパートから隣にある地区の名前だ。

 言葉に詰まる浩平を他所に彩香はつらつらと言葉を並べていく。

「浩平さんの部屋のカレンダーを見ました。二〇二〇年。何度も目を疑ったし何度も頬をつねってみましたけど痛みもある。ならここは死後の世界か、それとも――」

 言いかけて言葉が止まる。数秒を要して彩香は顔を上げて真っすぐに浩平を見据えた。

「わたしの頭がおかしいんですかね?」

 寂しげな笑顔で言う彩香。不安の入り混じった顔。

「こんなわたしを信じてくれますか?」

 泣き出しそうなぐらい不安そうな顔は、けれど一瞬で直ぐに張り詰めたものを消す様に顔を伏せた。

 それだけで彼女がどれぐらい不安だったかが伺えた。。

 神社に逃げ込み起きてみれば知らない場所に知らない男。一歩外に出れば見た事もない世界。見知っていた風景や人は消え去りそこにあるのは知らない世界。自分がおかしくなったと考えても仕方ない。

 浩平も同じだ。彼女の言葉の端々に出る言葉を疑った。演技か記憶喪失と考えた。

 けれど今の彼女の言葉と目で理解した。いや、もしかしたら頭が追い付いていないのかもしれない。

 けれど一つだけ分かる事があるとするとすれば彼女の言葉に嘘は感じられなかった。先ほど見せた不安そうな顔も、震える声も全て本当だ。

 それだけわかれば良いとなぜか浩平には思えた。

「……信じますよ」

 静かに。けれど力強く浩平は言った。

「……突拍子もないことですよ?」

「ですね。自分でもどうかと思います。でも、まあ、確かに思い返せば彩香さんの反応とか、知らない事が多いことを考えればそれが一番妥当というか、しっくりきます」

「……浩平さんを騙しているかもしれませんよ?」

「だとしたらわざわざ一晩泊まらないで今頃どこかに逃げてるでしょう?」

「……浩平さんはお人善しです」

「初めて言われました」

「だから彼女さんにも逃げられるんです」

「ぐっ……その話は止めてください」

 痛い所をつかれて浩平の眉がへの字に曲がった。だがそれが良かったのか顔を上げた彩香の顔は笑っていた。

「ほんとうに。こんな善い殿方と別れるなんて、見る目のない人です」

「まあ、別れを切り出したのは俺ですから」

 そう。別れたのは浩平の都合だ。だから彼女は悪くない。悪いのは自分だ。 

 彩香もそれ以上は何も言わずまたうどんを啜り始めた。

 視界に入る彩香の食事動作。うどんを一本づつ掴み啜るその所作が浩平の目には綺麗に写った。今の彩香の服装とも相まって本当に令嬢のようだ。

 そのまましばらく二人は無言で食事に勤しんだ。

 先に食べ終えた彩香のどんぶりを見ればうどんは汁まで飲み干している。

「お口に合いました?」

「はい。ほんに美味しいです」

 満足げに言う彩香に「ならよかった」と答えて浩平は食事を続けた。

 そうして浩平も食い終え割るのを確認すると、

「あの、色々お世話になって更に厚かましいとは存じますが宜しいでしょうか?」

「どうしました?」

「あの……このあと行きたいところがあるんですが一緒に来てもらって良いですか?」

「うぇ?」

 突然の申し出に浩平の声が上擦った。

 昨日は匿えと言っていた人間が行きたいところがあるというのだから当然だろう。ましてや今しがた自分は現代の人間ではないとも言った。見知らぬ場所でいったい何処に行こうというのか。

「あー……買い物して荷物置いてからで良いですか?」 

「はい。構いません。そんなに遠いところでもないはずですし」

 浩平からの承諾に安堵したように微笑み彩香は一口、グラスに口をつけた。

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