51話 お揃いヘアスタイル
竜胆さんのさらさら御髪を私と同じハーフアップのツインお団子ヘアーへとメイキングし始めてから十分後。
ついに完成したその姿を見て、思う。私はとんでもないものを作り出してしまったのかもしれない、と。
「か、かなちん、これは……」
「うん、だいぶ……やばいね」
「「…………可愛すぎる!!」」
もう完成した途端から有咲ちゃんと一緒に大はしゃぎである。いや、序盤のコテで髪を巻き終わった時点で薄々思ってはいたんだけどね? 可愛すぎるんじゃないかって。
でも、流石にこれは可愛すぎ! まったく、竜胆さんの可愛さは限度ってものを知らないのかしら?
髪を下ろしている時の竜胆さんは清楚系の美人って感じだけど、今は清楚系ギャルって感じ。
元の顔の良さもあって、まじでアイドルだ。プロデューサーになって世界まで連れていきたい所存。
「竜胆さんも見て! どう? 完璧じゃない!?」
そう言って、竜胆さんにも手鏡で確認してもらう。
「……えぇ、完璧ね。凄く印象が変わってて驚いたわ。ありがとう、小森さん」
「いえいえ、どういたしまして!」
清楚系ギャル風の竜胆さんが見れただけで、ヘアアレンジした甲斐がありましたし……!
「あかねん! めっちゃ可愛い!」
「有咲、ありがとう」
「ちょっとなおちんも呼んでくる! さっきアイスクリーム自販機を見に行っちゃったから!」
そういって駆けてゆく有咲ちゃん。子犬みたいで可愛い……。
「てか、ねぇねぇ竜胆さん、私写真撮りたーい!」
意図せずだけど丁度二人っきりになれたことだし、タイミングとしては完璧だ。ツーショット撮りたーい!
「あ、いいわね。撮りましょう」
「やったー!」
了承を得たので、携帯のカメラを起動させながら近づく。
「何のポーズにするー?」
「そうね……流行りの物とかあるの?」
「今はね、そうだなぁー……指でハート作るきゅんですポーズとか、頬杖ついてるみたいな小顔ポーズとか? 後は、こうやって親指と小指だけ立てるアロハポーズとか、、、」
と、そこまで案を出したところで、私は今の竜胆さんに最も似合うポーズがあることに気がついた。こ、これは天啓か……?
「竜胆さん竜胆さん! ギャルピースで撮ろう!!!」
「ギャルピースって、確かピースを逆さにする感じのもの……だったかしら?」
「そうそう、こうやって逆さにして前に突き出すの!」
まさか竜胆さんにギャルピをレクチャーする日が来るなんて。
てか、これを機にギャルの道へと進み始めたらどうしよう。竜胆さんのご両親に合わせる顔がなくなるのは確定だよ。
……まぁいいか。ギャル竜胆さんも絶対可愛いし、許してくれるでしょ(適当)
「これで合ってる?」
「あ、うん。出来てる出来てる! じゃあ撮ろうね!」
内カメラにして、荷物に携帯を立てかけて良い具合の画角になるよう調整し、少し離れる。
うんうん、足長くて顔も小さく写ってるし、これで良いね。
「じゃあ撮るよー!」
カメラのタイマーを五秒にセットしてからスタートし、事前に決めた位置に戻ってギャルピースのポーズをとる。
片足をやや前に出して、逆さピースも前へと突き出す。これを竜胆さんと向かい合ってやっている訳で……近すぎて、なんかちょっとドキドキしちゃうね。
にやつきたがる表情筋を鋼の意思で押さえ込み、なんとか決め顔をつくる。過去一で最強の顔面を目指して……!
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