49話 球技大会前の寄り道
朝、歩く私の隣には、いつものように竜胆さん。しかし、進む道は登校時とは異なる。
そう、今日は球技大会。行き先は学校の近くにある区営のスポーツセンターだ。
本日の天気は快晴。夏日であり日差しが強いので、しっかり日傘を差して歩いている。
ネズミにとっての猫のように、魚にとっての鳥のように、紫外線は全女子の天敵なのだ。肌は黒くなるし将来的にはシミになる。そんなの絶対に嫌だ。日焼けしたくない日焼けしたくない日焼けしたくない.....。
そういう訳で日傘を差し、そして出来る限り日陰を選びながら歩くという紫外線完全対策状態の私です。
へへ、これできっと来年には美白肌だ。
「あ、ちょっとコンビニ寄っていい?」
「良いけど、何か買うの?」
「うん! 昨日からサラダ味のポテチが発売されてるんだ〜、それを買って行きたいなって!」
そのポテチは期間限定発売。これはもう買うしかないと思ったね。
あぁ、思い出したらすっかりポテチの口になってきてしまった!
スポーツセンターの近くにあるコンビニに着いた私は、当然、お菓子コーナーに直行する。
そしたら、そこで予想外の出来事が。なんと奈緒ちゃんに出会ったのである!
(えぇー! 奈緒ちゃん!? なんで!?)
「あれ、華奈ちゃんだぁ〜。おはよぉー」
「お、おはよう〜」
この急な遭遇には流石の私も驚きだ。こんなところで会うなんて.....!
挨拶ついでに奈緒ちゃんの買い物カゴを見ると、そこには大量の食べ物が。
あー、うん。ここで何をしているのかはすぐに理解できた。
(これいつもの食料補給だ)
もはや私も慣れたものである。奈緒ちゃんの思考なんて筒抜けなのだ。授業中に、「お腹すいたなぁ〜」とか「昨日食べたお菓子、美味しかったなぁ〜」とか考えてるのも分かってるんだからね!
そんな事を考えていると、奈緒ちゃんに気づいた竜胆さんが、私の後ろから私の肩に手を置いて、ひょこっと顔を出してきた。ひょこって。うん、最強かわいい。
「あら、おはよう、奈緒。有咲は一緒じゃないの?」
「あ、朱音ちゃん。おはよぉー。有咲ちゃんはね、飲み物を選びに行ってるよ〜」
「そうなのね.....じゃあ私も飲み物見てくるわ。小森さん達はゆっくりお菓子見てて良いからね」
そう言い残して竜胆さんはドリンクコーナーへ。
「華奈ちゃんは何か買うの〜?」
「あ、そうだ! サラダ味のポテチ!」
コンビニに寄った目的を思い出してポテチ関連がある陳列棚を見る.....が、無い! サラダ味のポテチが無い! 棚札はあるのに!
「あれぇ〜? .....もしかして売り切れ?」
めちゃくちゃ好評だとは聞いてたけど、もう無いの!? それか、この近くにポテチ大好き人間が住んでいる可能性もある。それで根こそぎ買っていったのかも.....?
(.....まぁ、無いならしょうがないね。今度スーパーとかでも見てみよう)
ショックを受けるも立ち直る強い私。偉い。そんな私の肩が優しく叩かれる。
「ん? どうしたの?」
奈緒ちゃんの方へと振り返る.....と、そこには、四つのサラダ味のポテチを抱えるポテチ大好き人間がいた。
「えへへ、一緒に食べようね〜」
もう! 奈緒ちゃんってほんと奈緒ちゃん!(大好き)
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