47話 Not 慢心!
期末試験の終了と共に梅雨明けが訪れてから数日。
七月中旬にして、やっとじめじめシーズンが終わったと思ったら、なんと直ぐに太陽が牙をむき、地表はもうサウナのように熱気で包まれている。
日傘と日焼け止めが必須になり、水分補給も欠かせない。煩わしく感じる程の蝉の鳴き声も聞こえてきて……つまりはそう、夏真っ只中なわけである。
さて、そんな暑い中、私が何をしているかと言うと……いつもと変わらず学校に来ている。うん、学生だもんね。
とても暑いけど、試験が終わったので気は楽だ。
今日までテスト返しがあったのだが、これがもうめちゃくちゃやばかった。良い意味で。
なんとなんと、総合点で見ると学年で二十五位! 正しく快挙である!
私、天才じゃない!? ……っていつもなら思ってたとこだけど、周りに竜胆さんと有咲ちゃんっていう天才二大巨頭がいらっしゃるので今回はそこまで浮かれてはない。
竜胆さんと有咲ちゃんのワンツーフィニッシュの前では二十五位なんて平凡に感じてしまうのだ。
まぁ、私が超絶頭良いポジションの人になるのもそう遠くない未来であると思うので、浮かれるのはそこまで取っておこうという所存。
ちなみに奈緒ちゃんも十位以内に入る実力者だそうだ。
見せてもらった解答用紙は全て九十点以上という目を疑うような好成績だった。そして狂ったようにアイスの落書きがされていた。
……アイス食べたかったんだね、奈緒ちゃん。暑いもんね、しょうがないよね(激甘)
そんな感じで試験を無事に乗り越えた私たちだが、来週末には球技大会が待っている。ハードスケジュール!
だが、それを終えれば終業式、そして夏休みという感じで楽しい日々がもう確定しているのだ。
夏休み何をしようかな〜、と今からもうワクワクである。
とは言っても夏休みはまだ先で、今は球技大会でどの種目に出るかを選ぶ時間だ。バレーかソフトボールか卓球……どれが良いだろう。
バレーとソフトボールはクラス対抗、卓球はクラス内で対戦するみたいだ。
一年生全員で行うお遊び大会って感じだし、折角なら竜胆さんと同じやつにしたいんだけどな〜。
「何に出るか決めた〜?」
試験が終わり席は以前のものに戻っているので、いつもの四人が集まっている。つまり自分の席に座りながらでも皆とお話し放題なわけだ。
やっぱ四人の席が近いと学校の楽しさが数十倍になるね。
「卓球にする!」
「へぇ〜、有咲ちゃん卓球得意なの?」
「うん! 最強だよ、あたし!」
凄い、中学時代の全てを卓球に費やしてきたのかってくらいの絶対的な自信だ……。
「やったこと無いけど!」
「無いの!? そんなに自信で満ち溢れてるのに!?」
「でもあたし卓球得意な気がするしー!」
あ、めちゃくちゃポジティブなだけだこれ!
「私も卓球にしようと思ってるわ」
「竜胆さんも卓球得意な気がする系女子?」
「いや、私は何回かやったことあるわよ」
「そっかそっか」
竜胆さん運動神経抜群だし、卓球もきっと神レベルだろうな〜。
ともあれ、竜胆さんも卓球にするならもう決まりだ。
「じゃあ私も卓球にする!」
「あ、私も私も〜」
「小森さんと奈緒は経験者なの?」
「違うけど、有咲ちゃんと同じく卓球得意な気がする系女子です!」
「全然やったことないよぉ〜」
ってことは経験者は竜胆さん一人だけか。
「いや、なおちんはテニスやってたから上手いはずだよ、テーブルテニス!」
「あ、確かに〜。じゃあ私も自信あるよぉ〜!」
「いや、テニスと卓球では必要な技術は全く異なるのよ?」
「そーなん? じゃあテニスやろうよー!」
いや、そうはならんやろ。
「それはまた今度ね?」
笑いながらそう宥める竜胆さんは、まるで有咲ちゃんのお母さんみたいだった。
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