46話 期末試験は余裕です?
七月初めの週、その木曜日である本日から、期末試験が始まる。ついこの前に中間試験を終えたばかりだと感じるのに。女子高生の時の流れはこんなに早いのか。
もう七月だ。入学からもう三ヶ月も経っている……三ヶ月だよ、三ヶ月! 流石にそれは嘘でしょ、って思うくらい驚愕の事実である。
まぁ、それはさておき、期末試験。学力の低い学生を絶望へと突き落とす、悪魔のようなそれは今回もまた、多くの学生に涙を流させるであろう。
だがしかし、私は余裕を感じている! 今日まで試験のために、放課後は、図書室で勉強して分からないところがあったら先生に聞きに行ったり、カフェで勉強会をしたりの日々だったからだ。もちろん竜胆さんと一緒にね!
という訳で全教科完璧で最強な私は、試験前の今も、教科書の内容を頭に詰め込むクラスメイトたちを横目で見ながら、登校時にコンビニで買ってきた紙パックのココアを飲んで余裕を溢れさせている。ちなみにココアは豆乳のやつね。これぞ美意識、さらに可愛くなっちゃうぅ!
さて、そんな私だが、余裕度では圧倒的に有咲ちゃんに負けている。
試験ということで座席は出席番号順。よって私の前の席には有咲ちゃんが座っているのだが、なんと有咲ちゃん、ゲームを嗜んでいらっしゃる。完全にひと狩り行ってしまっているのである。
「有咲ちゃん、勉強は?」
「ん〜、大丈夫!」
って感じで試験の事なんてまったく気にしていない。なんなんだこの自信……!?
あれれ〜、何かおかしいぞぉ〜? と思った私は思い切って聞いてみた。
「……ちなみに、前回の中間試験は何位だった?」
「準優勝! 二位!」
「えぇ!?」
……いや、驚くのは失礼だろ!(自戒)
いや、でも、え? それは頭良すぎない?
竜胆さんが一位で、有咲ちゃんが二位なわけでしょ? 何なん皆、天才すぎるじゃん! 焦るわ普通に!
「ハハッ、凄いネ」
私の口からは乾いた笑いと、取って付けたような褒め言葉しか出てこなかった。いや、衝撃的すぎて……。
……本当に頭がいい人だけが余裕であるべき、だな。
格の思い知った私からは余裕なんて抹消され、試験開始までしっかりとノートを見返し始めたのだった。
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