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44話 布教


 月一で行われる道徳の授業。

 まぁ、四月・五月は入学後のガイダンスとか委員会決めとかあって、道徳の授業があるのは今日が初めてなんだけど……。


 それはともかく。

 この授業はクラス単位で行われるのだが、今回はさらに幾つかのグループに分かれて授業を受けている。


 そして、そのグループ学習の最中、私は危機に瀕していた。


 これはやばい。非常にやばい。こんなピンチは久方ぶりだ。


 なんと、席に座り授業を受ける私の周りには竜胆さんや有咲ちゃん奈緒ちゃんはいない。代わりに話したことの無い三人のクラスメイトたちで埋まっている。……しかも私以外の三人は既に仲が良いみたいで、先程から雑談に花を咲かせているというオプション付き。


 そう。四人で構成されたこのグループで、私一人だけが異物。なんてアウェイ過ぎる状況なんだ……つらい。


 自由にグループを作っていいなら竜胆さん達と組んだのに……なんでランダムに決めたんだ五十嵐先生! この悲劇は先生のせいで生まれたんですよ!


 そうやって五十嵐先生を脳内で攻めながらも、現実世界ではしっかりと教壇に立つ先生の話に耳を傾け、授業の内容を把握する。


 ふむふむ、どうやら好きな物・得意な事、それに入学してから起きた楽しかった出来事などを互いに話し合う課題みたいだ。


(なるほど、友達を作る為に自己紹介がてら軽くお喋りをしましょうって事かな。仲良くなるためにはまず相手を知ることからってことね)


 私は課題の意図を完璧に理解した。天才。

 自画自賛した後、ふと教壇の方を見たら五十嵐先生と視線があったので、取り敢えずウィンクを送っておく。


(先生の思惑、見破っちゃいましたよ!)


 そうやって何故か得意気な気持ちのまま、続いて同じグループの三人を観察すると、対面の二人は相変わらず雑談(彼氏が欲しいって話)をしているが、私の隣に座っている子はあまり興味が無さそうな事に気付いた。

 確かこの子は……そう、委員長さんだ! 眼鏡をかけている真面目そうな感じの、我がクラスが誇る学級委員長!


 早速その委員長に話しかけてみた。ちなみに初会話である。


「ねぇねぇ、委員長! 突然だけど、委員長の学校での楽しみと言えば何?」


「え!? あ、こ、小森さん? そ、そうだなぁ……図書室での読書かな」


 私のいきなりの質問にもしっかりと答えてくれる優しき女の子、それが委員長。もう支持率アップ不可避だね!


「おぉ、イメージ通りだ! 良いね、読書好きなんだ?」


「うん。だから学校でも家でも、暇さえあれば本を読んでるって感じだよ」


「おぉ、さすが委員長!」


「褒められるようなことでもないけどね……小森さんは? 学校での楽しみ、何かある?」


「それはもう山ほどあるよ!」


 特に竜胆さんと過ごす至高の時間とかね!


 その後、私は思わず竜胆さんの魅力を思い出と合わせて全力で語ってしまった。



 結果、委員長も竜胆さんのファンになった。




 あれ? 私、やり過ぎちゃった……?


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