38話 我が家に女神が降臨した【晩餐編】
トントントントンッ、と野菜を切り刻む音が台所に響く。
メトロノームのように規則的なその音を奏でているのは、もちろん私…ではなく、竜胆さん!
「流石、竜胆さん。手馴れてるね!」
「一応、自炊してるから」
現在の時刻は午後六時。
私は夕食の準備中だ…竜胆さんと二人きりで、ね!
これはもう新婚さんってことでよろしいか? うん、よろしいね(自問自答)
憧れの甘々新婚生活を存分に感じる。素晴らしい。
「あ。蛸、切り終わったよ〜」
「了解、お疲れ様。こっちもそろそろ切り終わるわ」
まな板の上で切り刻まれてゆく食材たち…すまんな、私たちの糧となってくれ。
みんな大好きたこ焼きパーティー、通称タコパ。
その準備が段々と進んでゆく…。
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たこ焼き器に引いた油がパチッパチッパチッ、と音を立てながら勢いよく跳ねる。
タコパの準備が終わったので、玲奈もリビングに呼んでいよいよ焼き始めるところだ。
たこ焼きのお玉で生地を掬い、たこ焼き器に流し込む。続けて、みじん切りにしたキャベツ・ネギ・紅しょうが、そして、天かすとタコを投入し、ちょうどいい感じに焼けたら竹串でくるりと回して裏返していく。
くるくるくるくる…ゲームみたいで楽しい。
ちなみにたこ焼きを焼いているのは私と玲奈、竜胆さんの三人。
お母さんは微笑みながら私たちが焼く様を見ている…と思ったら雑談を振ってきた。
「それにしても朱音ちゃん、とっても可愛いわねぇ」
「あ、ありがとうございます…」
「どこら辺に住んでるのぉ?」
「このマンションの二階です」
「竜胆さん、そこで一人暮らししてるんだって〜」
「へぇ〜、一人暮らしなの。大変ねぇ」
そんなことを話しながら待っていると、段々と表面に焼き色がついてきたので、転がして形を整えながら、しっかりと中に火が通るまで焼く。
うん、完璧だ。
出来上がったたこ焼きを見ると、全て綺麗な丸い形に仕上がっている。A型たこ焼き。…美味しそう。
四等分して、それぞれお皿に分ける。
そしてソース、マヨネーズ、青のり、かつお節をかけて…と。
「完成…!」
「美味しそうね」
「いい感じです」
「良く出来てるわねぇ〜」
では早速、いただきます!
もぐもぐ…。
美味しい。いや、美味し過ぎるっ!
女神の手料理、最高ですわ。
竜胆さん、将来は絶対に良いお嫁さんになるよね。
あーあ、毎朝私の味噌汁を作って欲しいなぁ〜。
…おっと、つい竜胆さんと結婚したい欲が出てしまった。危ない危ない、もう少しで欲望が溢れてプロポーズしてしまうところだった。
自制心くん、まじファインプレー。
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