36話 我が家に女神が降臨した【団欒編】
さて、メイクが終わり今日の目的はもう完了してしまったので、今は余暇を楽しんでいるところだ。
具体的には、竜胆さんと一緒にファッション誌を見ている。
部屋に広がる紅茶の香りと共に、微かに隣に座る竜胆さんの甘い香りも入り混じったこの空間。凄くふわふわとした気持ちになってしまう。
……まさか、ここが桃源郷?
そんな事を頭の片隅で考えながらファッション誌のページを捲っていき、良さげな洋服がないかを確認する。
「あ、これとか竜胆さんに似合いそう」
ダメージジーンズに黒のタンクトップ + 革ジャン、それに足元はスニーカー。いわゆるモードストリート系のファッションだ。
「そう?」
竜胆さんがさらにご尊顔を寄せてきて、私が示した雑誌のページを注視する。
「竜胆さんはこういう系の服って着る?」
「いえ、着たことないわ」
まぁ確かに、こういうのは着なさそうだ。
もっと女神とか天使とか、そういう感じの清楚系の服を着てそうなイメージしかない。
いや、清楚系のお洋服も凄く似合ってて素敵なんだけどね?
カジュアル系やガーリー系の洋服とかも着こなしそうだな〜って思うのよ。
「竜胆さん、これ絶対似合うよ!」
まじで断言出来るよ、私は。神に誓えるレベル。
「なら今度買ってみようかしら……」
「じゃあその時は私も付いて行く! 一緒に見て回ろ?」
そして竜胆さんを着せ替え人形とするのだ……!
そうすれば普段は着ないような系統の洋服を纏った竜胆さんを沢山見れる。ふむ、完璧な計画だ!
「えぇ、もちろん。こういう系の洋服を取り揃えてるお店とか知らないから、色々と教えてくれる?」
「まじ任せて……!」
家族でショッピングモールに行った時とか、暇すぎて適当にうろちょろしてるからね。
そのお陰でどこにどんなお店があるかも記憶しているのだ。
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そんな風にのんびりと二人きりの時間を楽しんでいると、ガチャっと家のドアを開ける音がした。
「あ、家族が帰ってきたみたい」
そう、買い物に出かけていたお母さんと妹の帰還である。
「竜胆さん、ちょっと待ってて〜!」
友達が来ていることを伝えておくのだ。
朝にも伝えたけど、お母さんは少し天然なところがあるからなぁ……再度確認した方が良いだろう。
「分かったわ。雑誌読んでるし、急がなくても大丈夫よ」
「うん、ありがと!」
竜胆さんの気遣いに感謝の言葉を口にした後、私は玄関までお母さんたちを出迎えに行った。
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