35話 我が家に女神が降臨した【伝授編】
本日、私の家に集まったのには理由がある。少し前の事だが、試験前にした約束を覚えているだろうか。
竜胆さんにメイクを教える、という約束だ。
その約束に則り、今日は竜胆さんに化粧術を伝授するのである……!
後、ついでに使ってないコスメ譲渡会もある。もう色々買いすぎて置き場所が無い状態なのでね。
「じゃあ始めよっか」
「ええ、よろしくね」
「うん、任せて……!」
今回伝授するのは私が学校にしていってるのと同じナチュラルメイク!
まずはベースメイク。化粧下地、ファンデーション、さらに日焼け止めの役割までして下さるBBクリーム様を手の甲に少し出す。
「まずはこのBBクリームってやつを軽く塗ります」
「BBクリーム……」
「うん、これは本当少しで大丈夫だよ」
竜胆さんは元の肌が綺麗だし。それに付け過ぎるとテカっちゃうからね。
「これを両頬と鼻筋にちょんちょんって付けて……」
あぁ、竜胆さんのお顔に触れてしまった……もう今世では手洗えません。
……それは汚いね、止めておこう(冷静な私)
「顔の前面だけに塗り広げます。丁寧にね」
前面……目や鼻、口の辺りにだけに広げることによってその部分だけが僅かに明るくなり、相対的に顔周りの影が強調されて小顔効果が生まれるのだ。最強。
「塗り終わったらフェイスパウダーを正中線、おでこから口の上くらいまで軽くはたいて……はい、ベースメイク完璧!」
元の素材が良すぎて直ぐに終わった。さすが竜胆さん!
「これで終わり?」
「ベースメイクはね! この後、目と鼻だけやるよ〜」
ここからが本番まである。腕の見せどころだ。
「さて、まずは眉毛書いていきます」
ブラシで梳かして整えてから、ペンで一本ずつ描き足すようにシュッシュッってやっていく。基本的には内側から外側に向かって進めて、と。
描き終わったら、もう一度ブラシで軽く梳かして描いた線をぼかして……終わり!
「次はアイラインやるね。目尻にだけ描くと良いよ!」
「目尻だけね……分かったわ」
アイライナーで目尻の延長線上に少しだけ線を伸ばす。目力がアップして、これだけでも印象が結構変わる。
「おっけー。では、続いてマスカラで睫毛をパッとさせます」
更なるぱっちりアイとする為に、睫毛を上下からマスカラで塗る。そして最後に下睫毛にも軽く塗って……出来た!
「よし、目も終わった! 最後にリップを塗ってメイク完了ね!」
「結構すぐに出来るのね……」
ここまで所要時間十分くらい。我ながらまじ早い。
「めちゃくちゃ軽くだからね〜」
そう言いながらリップを用意する。ちょっとだけピンク色が付いた物だが、効果は大きい。塗ると顔全体が明るい印象になるのだ。
「リップはまず全体に塗って、中央だけ一、二回ポンポンっと重ね塗りする感じだよ!」
解説しながらリップを塗って、いよいよメイク完成だ。
「じゃーん、出来ました〜!」
鏡を竜胆さんに差し出し、確認してもらう。
「ありがとう」
竜胆さんは鏡を見て、色々な角度からお顔を観察して『おぉ〜』って感じの感嘆の表情を浮かべている。こういう仕草をすると、少し幼さが出て凄く可愛い。世界一可愛い。
「十分でこんなに変わるのね。凄いわね小森さん……今度からやってみるわ」
「すっごく可愛いよ……! 分かんない所あったら聞いてね!」
「ありがとう。その時はよろしくね」
「うん!」
使った化粧品はあげる予定の物しか使ってないので、それらを小袋に入れて、さらに紙袋へと仕舞う。
「はい、じゃあこれ使ってないやつだからあげるね。小袋に入ってるのが今日使ったやつで、紙袋の中には他にも要らないの入ってるから良かったら使って」
「こんなにくれるの……?」
「化粧品、多すぎて置き場所無いんだよね……だから貰ってくれると嬉しいな」
「……じゃあ有難く頂くわね。今度何かお礼をするわ」
「え、気にしなくていいのに」
でも竜胆さんからのお礼か……少し、いやかなり魅力的かも?
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