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29話 校外学習で水族館へ③


 現在、私は海獣コーナーでアザラシを見ている。

どうやら餌の時間のようで、飼育員さんがお魚を与えているところだ。

 何頭かいるアザラシの中でも、私のお気に入りの子はゴマフアザラシのゴマちゃんである。

 ちょっと太り気味のまるっとしたフォルムがとてもキュートな子だ。


 (ゴマちゃん、可愛いなぁ)


 前方にはゴマちゃん、横には竜胆さん、と可愛いに囲まれた幸せ空間である。ここが天国か……?

 ……いや待て、ここは水族館だ(冷静な私)

 あまりの幸せに耐えかねて脳が壊れかけていた、危ない危ない。


 私の思考能力が戻ったところで、竜胆さんが握った手を軽く引っ張ってきた。

 だから竜胆さんみたいなクール系女子がこうやって可愛い仕草をするとギャップで死にそうになるから気をつけて欲しいって(心の中で)いつも言ってるのに……!


 まぁそれはともかく、何かあったのだろうか。


「竜胆さん、どうしたの?」


「有咲と奈緒、お腹空いたから何か買いに行くって」


 竜胆さんが繋いだ手とは反対の手を使って示している方を見ると、どうやら二人は売店に並んでいるみたいだ。

 奈緒ちゃん、さっき大量のアイス食べてたよね……?


「それで小森さんはお腹空いてる?」


 そう聞かれてから意識を向けてみて初めて気づいたが、どうやら私の身体は栄養を欲しているみたいだ。


「空いてるみたいです」


「じゃあ私たちも行きましょう?」


「うん!」


 という事で売店で軽いご飯を買うことになった。

 有咲ちゃん達の後ろに並びながらメニューを見る。

 焼きそばにフランクフルト、アメリカンドッグなど色々あって悩む……。


「何にしようかな」


「後でレストランに行くから軽めが良いわよね」


 そう、この後は水族館に併設されているレストランで食事をする予定なのだ。


「じゃあ私お好み焼き頼むから半分こする?」


「そうね……それでお願いしようかしら」


「了解、じゃあ先に席座ってていいよ!」


「分かったわ。よろしくね」


「はーい!」


 その後注文してから数分経って、熱々のお好み焼きを受け取った私は竜胆さんの待つ席へと向かう。

 ちなみに、焼きそばとお好み焼きとアメリカンドッグと肉まんを注文した有咲ちゃんと奈緒ちゃんは先に席に着いている。


「お待たせ〜」


「あ、かなちん! 先に頂いてるよ〜」


「ん〜、どれも美味しい!」


 奈緒ちゃんは食欲の化身みたいに、ハイペースでたくさん食べている。

 こんなに食べても太らないとか羨ましいを通り越して少し怖いまである。

 胃の中にブラックホールでもあるの? って感じ。

 有咲ちゃんは、そんな大食い女王の奈緒ちゃんから各種類を少しずつ分けて貰っているみたいだ。賢い。


「小森さん、ありがとう」


「いえいえ!」


 そう言いながら竜胆さんの隣の席に座って、テーブルにお好み焼きの入ったパックを置く。


「熱いうちに食べよ!」


 パックの蓋を開けて、割り箸を割る。

 割った割り箸を使ってお好み焼きをひと口分に切り取ると、そこからさらに多くの湯気が出てきた。

 ふーふーして冷まし、竜胆さんへと差し出す。


「はい、あーん」


「いいの?」


 私がこくりと頷くと、竜胆さんはあーんに応じてくれた。


「……あーん」


 ああぁぁぁ! もうすっごく可愛い! もう凄くすっごく凄まじく可愛い!


「美味しい?」


「えぇ、美味しいわ。ありがとう」


「えへへ、もうひと口食べる?」


 尋ねながらも、お好み焼きを小さく切り分ける。


「いえ、次は小森さんの番でしょ?  箸を貸して?」


「ん〜、じゃあお願いします」


 竜胆さんに従って箸を渡す。


「はい、あーん」


「あーんっ」


 もぐもぐ……。


「美味しい?」


「今まで食べたお好み焼きの中で過去一美味しい」


「ふふ、そう。良かったわ」


 その後も食べさせ合いっこしながら小腹を満たした。

 副次効果で幸せにも満たされて、最高の気分である。


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