25話 試験結果の発表
定期試験の翌日。
今日は、各教科二十分ずつでテスト返しがある。
「テスト返し緊張する〜」
「でも試験の出来は良かったのでしょう?」
「うん、まぁ過去一の達成感を感じるくらいには」
「なら気楽に構えておけば良いじゃない」
「そうだけどさ〜」
朝のホームルーム前、私たちは竜胆さんの席で集まって雑談をしていた。
「小森さんは各教科何点以上とか目標はあるの?」
「ん〜、九十点以上、かな!」
「割と高めの目標なのね」
「これで全部目標を下回ってたら恥ずかしいけどね……。結果悪かったら慰めてね」
「九十点を超えてなくても恥ずかしくはないと思うけれど……。分かった、その時は慰めてあげるわ」
言質を得たところで五十嵐先生が教室へ入ってきたので、私は自分の席へと戻る。
九十点以上なら嬉しい。
そこまで取れてなくても竜胆さんに慰められて幸せ。
うん、私の未来は明るいな!
━━━━━━━━━━━━━━━
放課後。
私たちはいつものファミレスに来ていた。
今から試験結果のお披露目会があるのだ。
まだお互いに点数は秘密にしてあるのである。
「竜胆さん、準備は良い?」
「えぇ、大丈夫よ」
「じゃあ私から……いくよ」
そう言って、返却された試験をテーブルの上に広げる。
「……これは」
竜胆さんは私の答案用紙を見渡して、驚きの表情を浮かべる。
「そうです! 全教科九十点以上、達成しました〜!」
なんと、今回の試験での目標を無事に乗り越えることが出来たのだ。この好成績には自分でもびっくりした。
これは、まさに快挙である。
私史上では、苦手なピーマンを克服した事に並ぶほどの快挙と言えるだろう。
「凄いじゃない! おめでとう」
「ありがと〜!」
お褒めのお言葉を頂いた私は、上機嫌で今回の目玉商品を紹介する。
「見てみて! 数学満点だったんだ〜!」
100という数値と花丸の書かれた数学の答案用紙を掲げて、竜胆さんにお礼を言う。
「竜胆さんが教えてくれたおかげだよ! まじで助かった、ありがとう〜!」
「いえ、小森さんの努力の結果だと思うわ。試験勉強、頑張っていたもの」
えへへ、照れちゃうな〜。
「竜胆さんは試験どうだったの?」
「私は完璧だったわよ」
尋ねると、竜胆さんも鞄の中から答案用紙を取り出して見せてくれた。
「全部満点だったわ」
「……え?」
え?(思考停止)
「満点?」
「えぇ」
「ぜ、全部?」
「そうよ」
私は、竜胆さんの達筆で埋められた答案用紙を確認する。
もちろん竜胆さんが嘘をついているはずが無く、全教科で満点であった。
「ほ、ほんとだ」
え、やば。(語彙消失)
まじの完璧じゃん。凡ミスも無いとか……。
「いや、凄すぎん!?」
「今回は応用問題はあれど、意地悪な問題は無かったから。それに運も良かったわ」
「だとしても凄いよ、めちゃ凄い! 天才! おめでとう!」
私は、ぱちぱちと拍手をして褒め称えた。
竜胆さんの功勲に、私も嬉しくなってしまう。もしかしたら竜胆さんより喜んでいるかもしれない。
「あ、ありがとう。そんなに褒められると、嬉しいけど少し恥ずかしいわ……」
僅かに頬を赤らめて、落ち着き無さそうにもじもじとしている。
え、ギャップ……! 普段のクールな印象とのギャップで、もう、あぁぁぁああ!!!(昇天)
━━━━━━━━━━━━━━━
もじもじ照れる竜胆さんの破壊力は抜群で、一旦落ち着くためにお手洗いに逃げてきた。戦略的撤退である。
(ふぅ、やばかったな。まじ可愛すぎて心臓が破裂するかと思った)
まだ動悸は治まっていないが、大分マシになってきた。
鏡の前で髪を軽く手直ししながら、興奮が完全に静まるのを待つ。
果たして、私の心臓はこの先、竜胆さんの可愛さに耐えていけるのだろうか? と、そんな事を考えながら。
良かったら、下の☆☆☆☆☆から評価お願いします。
また、ブックマーク等も頂けたら嬉しいです!




