21話 試験勉強と糖分と、幸せそうな竜胆さん
試験三日前の放課後。
私と竜胆さんは、入学式の日にも訪れたファミレスで勉強会を開催していた。
ワークノートなどの提出物は既に終わらせたので、まだ理解しきれていない内容をひたすらに復習している。
暗記科目の社会や英語(英単語)などは家でやれば良いので、今は数学を勉強しているところだ。
数学、基礎はほぼ完璧なんだけど応用が少し心配なんだよね〜。
でも、応用問題を多めに出題するって言ってたし頑張らないと……!
黙々と問題を解いていると、全然分からない計算課題で詰まった。なんか、xとかyとかzとかの文字が多すぎて混乱してしまう。何これ、意味分からん。
「分からない所があるの?」
私がうんうん唸っていると、竜胆さんが声をかけてきた。
ああ、女神さま、迷える子羊をお導き下さい……。
「うん、この問題がちょっと分からなくて……」
「あぁ、これね。最初に式を簡単に直してから解くと分かりやすいわよ。各文字を計算式で表す感じね」
「なるほど?」
あまりピンと来なかったが、取り敢えず教えて貰った通りにやってみる。
「こんな感じ?」
「そうそう。それから文字の部分にその計算式をそれぞれ代入して……」
「ふむふむ」
代入して計算……。
「あ、解けたかも! これで合ってる?」
「えぇ、合ってるわ」
「凄い! ありがとう竜胆さん!」
「ふふ、どういたしまして」
「めちゃくちゃ分かり易かったよ!」
「それなら良かったわ」
そう言いながら、竜胆さんは微笑みを浮かべている。まじ可愛い。
でも、教えて貰った上に微笑みまで頂いちゃって良いんですか? 明らかに貰い過ぎ案件ですけど…。
それにしても、勉強してたらお腹空いてきた。
そろそろ少し疲れてきたし、お茶にしようかな?
そう思ってメニュー表を手に取りながら聞いてみる。
「そろそろ一旦休憩しようかな。私なんか甘いもの頼むけど、竜胆さんはどうする?」
「そうね……私も適当に頼もうかしら」
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という訳で糖分摂取のお時間である。
注文したイタリアンプリンが二つ、テーブルに置かれた。私の分と、竜胆さんの分だ。
「美味しそ〜!」
お月様のように輝くような卵色で、とても濃厚そうである。カラメルも綺麗な琥珀色をしていて、まるで宝石のようだ。
「じゃあ早速、いただきまーす」
「いただきます」
ひとくち分、煌めくそれをスプーンで掬って口の中へと運ぶ。口に入れた途端にしっとりとした感覚を舌が受け取った。そして、疲れ果てた脳に染み渡る膨大な甘味を感じる。
普通のプリンと比べて少し固めで、溶けづらいのでゆっくりと口内を蹂躙してゆく。
「「美味しい……!」」
思わずハモってしまった。
いや、これまじで美味しい……。無限に食べられる!
チラッと竜胆さんの方を見ると、幸せそうな顔で味わってた。可愛い(語彙力)
その尊顔を、しっかりと脳内カメラで撮影しておく。お気に入り登録して竜胆さんフォルダに追加しよう。
私はそんな事を考えながらイタリアンプリンを食べ続けた。
糖分を摂取したからか、竜胆さんの幸せそうなお顔を見たからか分からないが、この後の勉強はとても捗った。
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