表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/52

20話 試験反対派の私です


 楽しい日々はすぐに過ぎ去ってしまうもので、気づくと既に四月は終わり、カレンダーも五月のページへと移り変わっている。

 入学から一月(ひとつき)が経ったので、クラス内でも人間関係が固まってきた。

 当然、私は竜胆さんとずっと一緒にいる。朝の登校から夕方の帰宅まで、共に生活しているのだ。お陰様で幸せな日常を送っております!

 だが、そんな日の朝、ホームルームでのことである。幸せな日常が崩れ去ったのは……。


「来週の金曜日から定期試験が始まるので、しっかりと勉強しておくようにお願いします」


 先生から告げられたその一言に私は愕然(がくぜん)とした。


(テイキシケン……? うん、何かなそれは。初めて聞いたよ聞き間違いカナ)


 ……現実逃避をしてみるも、無駄であった。

 既に私の脳内は試験という単語で埋め尽くされ、ゲシュタルト崩壊を起こしかけている。

 私たち人間は、運命から逃れることなどできないのだ。


 平穏な日常は、まるでブラックホールに呑み込まれてしまったかのように消え去り、私の心に虚無を産んだ。

 試験(戦争)だなんて、一体何を考えているんだ。地獄を見ることになるぞ(私が)

 私はただ、竜胆さんと平和に生きていきたいだけなのに……!


 

━━━━━━━━━━━━━━━



 そんな波乱のホームルーム後の現在、一限が移動教室なので、竜胆さんと一緒に廊下を歩いている。


「試験嫌だ〜。中止にしてくれないかな?」


 移動中、私は来たるべき定期試験の中止案を発案していた。


「そんなに嫌なの? 試験範囲狭いし、簡単だと思うけれど」


「ん〜……まぁそうか。簡単なら許せる、かも」


 確かにまだ難しい内容の授業は無い。

 私的に、ちょっと英語が微妙かな〜って感じるくらいだ。……少しだけね?ベリー リトル!

 この程度なら、特に焦って勉強しなくても問題ないかもしれない。


「うん! 別に試験あっても良い気がしてきた!」


「分からない所があったら私も教えるし、大丈夫よ」


 竜胆さんのお言葉で、定期試験と聞いて沈んでいた気持ちが蒸発し、心が晴れやかになった。むしろ早く試験を受けたいまである(そんな事は無い)

 これはもう、神カウンセラー名乗れるレベルだと思う。さすが私の女神様、偉大である。



━━━━━━━━━━━━━━━



 その日の夜。私は自室で英語の課題に取り組んでいた。明日が提出日のものだ。

 課題は英単語をひたすらに書くというもので、非常に苦行である。修行僧かな?

 私は、精神がすり減っていくのを感じながら英単語を書き続けた。



 課題が終わった後、少し疲れたので布団に横になって動画でも見ようとベットに近づく。

 しかし、寝転ぶ寸前で竜胆さんの顔が思い浮かんだ。


「……試験勉強するか」


 竜胆さんに少しでも近づきたいのだ。

 手が届かないほどの高みにいるが、それでも努力は怠りたくない。一念岩をも通す、の精神でいこう。

 そう思って私は寝るまでの小一時間ほどを使って試験勉強をしていた。

良かったら、下の☆☆☆☆☆から評価お願いします。

また、ブックマーク等も頂けたら嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ