13話 お着替えと体操服姿の女神
今日は一・二限の時間に身体計測があるな〜と、私は朝、そんな事を考えていた。
というのも、学校に持っていく物を整理していて、体操服を鞄に入れた時に気づいたのだ。
『竜胆さんの体操服姿を見られる……?』と。
体操服、それは一般に半袖にハーフパンツである。この時期は気温的に上からジャージを着るのが常であるが、今日は身体計測のため体操服のみ着用する。
つまり、そう。竜胆さんの健康的な四肢を拝見出来るのだ。
そんな訳で、私は朝からテンションが上がっていた。ボルテージマックスである。
果たして、私は初見の竜胆さん体操服フォルムに耐えられるのだろうか……。
そんな不安を抱えながらも、支度が終わったので、竜胆さんに今から向かう旨のメッセージを送ってから玄関で靴を履く。
「姉さん、もう行くんですか?」
妹が起きてきた。お前、また夜更かししたのか……。
起きんの遅すぎだろ。ほぼ確で遅刻ギリギリだよ。
「うん〜」
「朝食は?」
「今日は身体計測で体重を量るからね。女子高生たる者、朝食抜きは常識だよ!」
「私は気にせず食べて行きますけど……」
呆れたような表情でそう言った。こんにゃろう……!
「お前は少数派だっ!!」
私はそう言い残して家を飛び出した。
危ない危ない、あと少しでブチギレるところだった。
妹よ、命拾いしたな……。
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現在、私は竜胆さんと合流していつもの通学コースを歩いている。
「今日、身体計測だね〜。朝食摂ってきた?」
「抜いてきたわ。体重測定もあるもの」
「だよね! 私も抜いてきたんだけどね、妹がお前ガチ過ぎ……みたいな目で見てきたんだよ? 別に普通だよね!?」
「女子高生としては可笑しくないと思うわ」
やはりな。女子高生界隈では、体重を量る日は朝食抜く派が主流なのだ。マジョリティーなのである。
まぁ、妹には友達がいないし、分からないか(笑)
「小森さんには妹がいるのね」
「うん。めちゃ生意気だけどね」
「それでも一人っ子の私からすれば羨ましいわ」
「へ〜、妹欲しいの?」
「えぇ、楽しそうだもの」
「なるほどね……」
どうやら竜胆さんは妹に幻想を抱いているようだ。妹など本当にいたらウザいだけなのに……。
そんな雑談をしながら歩いていると、もう学校が見えてきた。やっぱり学校まで近いのは最高だ。
昇降口で上靴に履き替え、教室に着いた。一限から身体計測があるので既に居る人は殆ど体操服に着替えている。
私も着替えちゃおう。そう思って体操服を鞄から取り出す。そんな時、周りからの視線を感じた。
いや、気のせいか? ……でも私、可愛いからな。生着替えに目が釘付けになる人がいてもおかしくない、か……ふむ。
「竜胆さん、更衣室行こ? 確か二階にあったはず」
女子校なので周囲には女子しかいないとしても、視線が気になるお年頃な私は、竜胆さんを誘って更衣室で着替えることにした。
「そうね、行きましょう」
ということで、更衣室に来た。
殆ど教室と同じくらいの、広めの部屋だ。壁面にはロッカーが連なっている。椅子も置いてあって実に機能的である。
「椅子もあるし良い感じだね! 他に人いないけど。貸し切りじゃん」
「みんな移動を面倒くさがって教室で着替えるものね」
そんな事を話しながら荷物を置いて、さっさと着替え始める。着替え中は無言で、二人きりの部屋に衣擦れの音だけが響いた。
これは、凄い……。緊張する。背中を向けているので分からないが、今、竜胆さんが、私の後ろで、制服を、脱いでいる……。
理性がすごい勢いでエネルギーを消費している。
そんなこんなで数分後……。着替え終えた私の精神は疲労困憊していた。
しかし乗り切ったぞ。この闘い、私の勝利だ!
「竜胆さん、着替え終わった?」
そう言いながら振り返った私の目には天使が映った。
いや、違う。体操服姿の竜胆さんである。
うちの高校の体操服はシンプルだ。しかし、だからこそ素材が輝く。それを私は思い知った。
竜胆さんの白くて細くてしなやかな、全女子が憧れるであろう美脚がハーフパンツから伸びている。
う、美しい……。
そうやって見蕩れていると、竜胆さんは小首をかしげながら聞いてきた。
「どこか変、かしら?」
「いやいやいや、全然そんな事ないよ! 逆に完璧過ぎて驚いてただけ! 凄く似合ってる!」
このままファッションショーに参加出来るまである。……それはもう服じゃなくて竜胆さんが主役なんだよなぁ(セルフツッコミ)
「そう? 良かったわ、ありがとう」
そう言って微笑んだ竜胆さんは最強に可愛かった。
「じゃあ、教室戻ろっか」
まじで永遠に眺めていたいが、そういう訳にもいか ないので竜胆さんを促して教室へと移動する。
この後、ホームルームが終わったら身体計測だ。
一瞬で体重を軽くする方法、ググッたら出てこないだろうか……。
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