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鷹と真珠の門  作者: paiちゃん
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J-040 後は車列が来るのを待つだけ


 リトネンさん率いる俺達の班は総勢6人だ。

 トラ族のイオニアさんにリエランさんとオルバン、イヌ族のテリーザさんにネコ族のリトネンさんと人間族の俺になる。

 狙撃担当は俺とファイネルさんだったけど、ファイネルさんは足を負傷したからイオニアさんが必要に応じて狙撃を担当する。

 今回は全員がフェンリルになるし、イオニアさんとリエランさんはフェンリル2型のグレネードランチャー付きの代物だ。

 オルバンは今までレバーアクションの銃身の短い小銃を使っていたけど、今回からはフェンリルを使うみたいだ。さすがにグレネードランチャーは付いていない。


 

「帝国軍の無線機を頂いたんです。重さが半分になりました」


 そう言って得意げに見せてくれたんだけど、俺にはどう凄いのか分からない。重さが減って、通信距離が同じという音だけで十分に凄いと思ってしまう。


 新しい小銃の照準調整を射撃訓練をしながら行う。

 100発以上使った気がするけど、とりあえず100ユーデ(90m)なら、外すことは無いようだ。もっとも200ユーデ(180m)となると、俺とイオニアさん以外は標的の円内に弾丸の半数が集まる程度だけど、リトネンさんは十分だと言っている。


「何とか間に合ったにゃ。明日出掛けるにゃ。準備は出来てるにゃ」


「食料は携帯食料で5日分ですね?」


「山裾までドワーフの若者が荷物を背負ってくれるにゃ。移動砲台はイオニアとリエランで背負えるにゃ?」


「だいじょうぶです。これは2イルム(50mm)砲弾ですね?」


「そうにゃ。重さは半分以下にゃ。2門で先頭の車を破壊するにゃ」


 草木が芽吹いてきたから、身軽な出で立ちだ。シャツの上にクラウスさんから貰った革の上着を着て行こう。

 

「予備の銃弾はマガジン1つで十分にゃ。でも6個は弾帯に入れとくにゃ。リボルバーが重い時には、小型を持って行くにゃ」


 リトネンさんの注意は長くなりそうだな。

 とりあえず背嚢の中身を整理して、余分な荷物を俺達専用の棚に入れることにした。飯盒の代わりに、真鍮のカップを2個入れておく。雨に濡れたら着替えられるように下着とシャツを1式入れて、雨具兼用のツエルトは直ぐに使えるように出しておく。スコップはいらないだろう。布に包んだマガジンを1個ではなく2個入れておいた。だいぶ余っているから、水筒1つと食料を余分に詰めておく。


 イオニアさん達は背嚢をハシゴに乗せていた。山を下りたらドワーフ族が運んでくれる移動砲台を受け取って、背嚢の上に乗せていくらしい。


「出発は?」


「明日の朝食を終えた後にゃ。ここで最後の確認をして北の出口から向かうにゃ」


 まだ15時を過ぎたばかりだけど、今日はこれでお終いらしい。

 タバコに火を点けて、オルバンが作ってくれたコーヒーを頂く。


「なるべく荷台の真後ろには立たないでくれよ。斜めに位置して荷台に銃撃するんだ。オルバンが最初に銃撃すれば、マガジン交換をする時にはまだ姉さん達の銃には弾丸が残っているからね」


「グレネードが炸裂してから銃撃します。これで友人達と同じ銃が持てました」


 やはり小型の小銃は、仲間受けが良くなかったみたいだ。だけどオルバンの役目は通信だからなぁ。俺達が代替できないんだから、あまり戦闘に参加して欲しくないところだ。


 部屋に帰って、母さん達が帰るのを待つ。

 18時を過ぎたころに2人が帰ってきたから、食堂へ行って夕食を取ることにした。

 質素な食事だけど、食料はどこからか運んでくるんだろうか?

 列車を襲わなくとも食べるものがあるなら、ありがたいことなんだけど……。


「明日出掛けるよ。今度は北西の町から移送される捕虜の開放らしい。上手く助けられれば良いんだけど」


「父さんが見守ってくれるわ。精一杯頑張るのよ」


「拠点に人が増えるんでしょう? だいぶ減ったとリネミーが言ってたよ」


「増えると良いんだけどねぇ。この人数では列車を襲撃するのは難しそうだ。それに飛行船がまたやってこないとも限らないし」


 反乱軍に加わる民衆はそれなりにいると聞いているけど、それまで銃を握ったこともない人達だ。訓練をしても直ぐに参加させるのは難しいのかもしれないな。


 とりあえず、母さんやミザリーが無事に暮らせることが一番だろう。

 そのためにも、与えられた任務は確実にこなさねばなるまい。


 翌日。朝食を済ませると小隊の部屋へと向かう。

 既にイオニアさんがテーブルに付いてお茶を飲んでいた。

 急いで装備ベルトを身に付け、フェンリルと背嚢をテーブルに乗せる。

 途中の村から上空を眺めると、青空が広がっていた。ツエルトは直ぐに使うことも無いだろう。背嚢に付いている革のストラップで丸めたツエルトをしっかりと取り付けておく。


「まだ早いんでしょうか?」


「そうでもないだろう。そろそろやってくるんじゃないかな」


 話をしてると、オルバン達やリトネンさんまでやって来た。今日は、リトネンさんも時間通りに起きられたようだ。


「全員いるにゃ? 直ぐに出発するにゃ」


 背嚢を背負ってフェンリルを肩に下げる。

 部屋を出て通路を進んでいくと、ドワーフ属の若者達が3人で俺達を待っていた。

 下りが続くから、結構足取りは早いように思える。このまま進めば2日も掛からずに山裾まで付くだろう。


 途中の谷で野営をし、山裾を東西に結ぶ道路に出たのは出発した翌日の夕暮れ時だった。

 夕食を取ったところで、ドワーフ族の若者達から移動砲台と発射用のスイッチを引き渡して貰う。

 ドワーフ族の若者に礼を言うと、笑みを浮かべて去っていった。


 夜に紛れて、南に向かう分岐路のある橋を目指す。

 先ずは街道を西へと歩くことになる。


「敵兵が来ないと良いですね」


「来ればこの暗がりだからね。ライトの明かりが見えるはずだ。道から外れて隠れればやり過ごせると思うよ」


 夜の監視はリトネンさんやイオニアさん達の独断場だ。オルバスだって俺よりは遠くを見通せるに違いない。


「あれが橋ですか! 結構大きいですよ」


「見えるのか? 俺には全く見えないよ」


 オルバンと無駄話をしながら歩いていると直ぐ目の前に橋が現れた。鉄をふんだんに使ってあるから鉄橋ということになるんだろう。


 橋の西がちょっとした広場になっていて、南に向かう道路が延びていた。

 今度は南に向かって歩くことになるのだが、どの辺まで歩くんだろう?

 右手は少し高くなっている。途中で休憩した時に、リトネンさんが教えてくれたところによると、堤防になっているようだ。

 堤防を利用して鉄道の線路を引くとともに、東の湿地を開拓する計画だったらしい。それが帝国軍との戦が始まって頓挫したと教えてくれたが、堤防だけは出来ていたようだ。


 進駐してきた帝国の代官達は、蓄財に忙しくこの地を発展させるということは眼中にないらしい。前王国よりも民の幸せな生活を考えるなら、反乱など起きないだろうと思うんだが、世の中はそう旨くは動いてくれないようだな。


「この辺りにゃ……。あれかにゃ?」


 左手に広がる湿地に石組が見えた。確かに野営には良い感じだけど、あれでは目立ちすぎる気がするなぁ。

 

「こっちにゃ!」


 リトネンさんが堤防を越えて川の方に向かう。堤防の側面の葦に隠れていた穴がリトネンさんの持ったライトで浮かびあがる。


「湿地の水を抜き出す穴にゃ。水門もあったけど帝国軍が壊してしまったにゃ」


 湿地の中にあった石組はかつての水門だったらしい。

 だけどこの穴、結構大きいんじゃないか? 直径が1.5フィード(1.3m)を超えていそうだ。


「この中なら見つからないにゃ。早くはいるにゃ!」


 そう言ってリトネンさんが先に潜っていった。

 ヘビがいたらどうするんだろう? ちょっと心配になったけど、次々と皆が穴に入っていく。

 最後は俺になってしまったから、葦の束で穴を隠しておくに進む。


 数ユーデ先に皆が集まっている。

 ロウソクコンロで、早速お茶を作り始めたようだ。


「ここなら分からないにゃ。地図に載っていないくらいだから、クラウスも知らないにゃ」


 イオニアさんが感心してリトネンさんを見てるけど、「さすが盗賊!」と思ってるんじゃないかな。


「オルバン、拠点と連絡して計画の変更がないことを確認して欲しいにゃ」


「了解しました!」


 俺の横を通って入り口近くで通信機を使い始めた。

 計画通りなら明日の午後になるはずだ。


「リーディル、こっちならタバコが吸えるぞ」


 イオニアさんの声に、少し奥に向かう。この大きな穴の中は西から東に風が流れている。西の穴が大きいからだろうか。

 シガレットケースから1本取り出すと、イオニアさんが火を点けてくれた。


「いつの間にか覚えてしまったな。あまり吸うと走れなくなるぞ」


「たまにですからだいじょうぶですよ。とはいえ、穴の中ですからね。安心して楽しめます」


 お茶ができると、携帯食料のビスケットでお腹を満たす。

 既に夜半を過ぎた感じだが、これから交代で見張らなくちゃならないからね。少しは食べておいた方が良さそうだ。


 襲撃当日は、朝食を済ませると直ぐに移動砲台を設置する。昨夜の野営場所からさらに数百ユーデ南に移動しての設置になる。

 敵に見つからねば、後々あの穴が使えると言ってたけど、そういつまでも見つからずに済むとは思えないんだけどなぁ。


「ここに設置するとなれば、私達は北へ300ユーデ(270m)ほど移動して待機します」


「了解にゃ。私は南に位置するにゃ。リーディルはその中間で良いにゃ」


「前の2人を狙撃したらすぐにリトネンさんのところに向かいます!」


 人数が増えたからリエランさんも一緒なんだが、ちょっと心配だ。


「荷台に向かって手榴弾を投げるから、それ程心配はないと思うにゃ。でも、捕虜の乗った車の運転手はお願いしたいにゃ」


 それなら、少し南寄りで良いかもしれない。素早く狙撃しながら南に移動すればいい。半自動小銃のフェンリルでは容易く思える。何と言っても面倒なボルトの操作がいらないから、ゴブリンの数倍早く弾丸を撃てる。

 これが量産できたなら、今までよりも有利に戦が出来るように思えるんだけどなぁ。


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