偽りの幽霊 #1
前話「友達からの誘い」で、「遊びに行く」を選んだ方はこちらの話へどうぞ。
「遊びに行かない」を選んだ方は、「偽りの幽霊」を飛ばして「徘徊する幽霊」に進んでください。
では、どうぞ。
「そうだな。行くか」
せっかくのお誘いだし、別に予定があるわけではなかったので、即OKをだす。
珠ちゃんも予定はないそうで、あっという間に話は決まった。
「よーし。そうと決まれば、まずは昼飯だな」
珠ちゃんの宣言に急いで荷物を纏めると、三人で連れだって学校を後にした。
学校から少し離れたところに幹線道路がある。
そのため飲食店が結構乱立しているのだ。
「なに食べたい?」
「えーどうする?」
なんて話ながら、進んでいく。
ラーメン、ファーストフード、饂飩など色々と店が並んでいる。
「嫌いなもん、あったっけ?」
俺の質問に二人は「うーん……」と視線を彷徨わす。
「特にぱっと思い浮かばん」
「ファミレスとかのが選択肢が限られないし、どう?」
「それ、いいね。そうしよう!!」
提案に二人が乗ってくれたため、ファミレスを目指すことになった。
目的のファミレスは、幹線道路から一本中の道に入ったところにある。
一本入っただけで、飲食店より住宅が多くなる不思議。
見えてきたファミレスは、二階建てで一階は駐車場で二階がお店になっている造りだ。
「いらっしゃいませー。三名様ですか?」
「はい。」
「少々お待ちください……ご案内致します!」
どうやら席は空いていたらしい。
昼時だが、平日なので満席ではなかったらしい。
お母さん方のランチ会みたいな一段とか、同じ学校のやつらがいるが顔に見覚えはない。
案内されたのは窓側の四人掛けのボックス席だった。
俺が一人、向かい側に珠ちゃん、斜向かいにくろっちと席につく。
早速メニューを開き何を食べようか吟味する。
「えー、このステーキランチ旨そう!!」
「それを頼むなら、オムライス&ハンバーグセットのが絶対コスパいいって!」
「前々から思ってたけどさ、くろっちって小柄な割りに良く食べるよね。運動部でもないしさ」
くろっちは、身長150ちょいで太っているわけではない。なのに、良く食べる。
お昼とか、弁当食べてデザートに菓子パン二つとか食べるのだ。しかも、太らない。
「逆にいっちゃんは食べなさすぎだよー。ポキンって折れちゃうよ?」
「いやいや。俺は標準だから」
身長順で並んだら、くろっち→俺→珠ちゃん(→水澄)となる。
俺は、平均的な身長で、標準の枠に入る体重である。
ちょいちょい水澄がチビといじってくるので、もう少し身長がほしいところ。
そんな話をしながら、注文が決まり店員さんを呼ぶ。
「俺は、オムバーグセット」とくろっち。
「和食ランチ」と珠ちゃん。
「単品のカツカレーにドリンクバーつけてください」と俺。
二人が「ランチじゃなくていいの?」と目で訴えて来たけど、俺的にはランチは量が多いと思う。
なんで、ラーメンにチャーハンとかつけんの?
それにおかずもあるんだよ?おかしくない?
レディースセットとか言いながらも、量多くね?
注文をして、さっそくドリンクを取りに行く。
俺はいつだってオレンジジュースがあれば一択なので、あっという間に自席へ戻った。
オレンジジュースを飲みながら、なにげに外をみると少し先の信号のない交差点に立つ人影に気がついた。
続きます。