表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
男子高校生は平凡な日常を送りたい  作者: 羽入 満月
【特別編】あったかもしれない日常
74/78

隙間の異界

前回の「出会いは突然、街角で」で「聞く」を選んだ方は、こちらの話へお進みください。


「聞かない」を選んだ方は、「君子危うきに近寄らず、ってね」に進んで下さい。


では、どうぞ。

 本当は、聞きたくない。

 しかし、自分の体質からして聞かなかったら、何か良くない気がして、いやいや女子高生の話に耳を澄ました。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 これはね、ともだちがともだちから聞いた話なんだけどね。


 街には隙間ってあるでしょ?

 ほら、ビルとビルの間とかそーいうの。


 でね、その隙間には、入っちゃいけない隙間があるんだって。


 入っちゃいけない隙間に入っちゃうとね、そこは異界に繋がっていて、こちらに戻ってこれなくなの。



 M尾君って子がね、買い物帰りにちょっとショートカットしようといつもは通らない道を通って帰ろうと思ったんだって。

 スマホのマップもあることだし、迷子になんてならないだろう、ちょっとした冒険。

 はじめに、よく行くドーナツ屋の隣にある少し幅の広い道に入っていった。

 ズンズン進んで行くとぱっと反対の通りにでた。

 ならば次は、と適当に目についたビルとビルの間に入ることにした。

 今度はあっちの通りに出るだろうなぁなんて考えながら歩いていたが、歩けども歩けども一向に出口に出ない。

 おかしいな、なんて思いながら歩いて、だんだん不安になってきた。

 もしかして、変な道に入っちゃった?

 不安を紛らわそうとスマホを取り出したら、なぜか圏外になっていた。

 おや?と思いながら、少し移動すれば電波が入るかもと再度歩き出すと、目の前に扉が現れた。


 何の変哲もない木製の扉。

 何故?と首を傾げて、ドアノブを掴んでみる。

 しかし、勝手に開けてはだめだ、と思い手を離す。

 これ以上進めないから、と踵を返したが……


 しばらく歩いて目の前に現れたのは、先ほど見た木製の扉だった。


 おかしい。元の道に出るはずなのに。

 怖くなって、慌て振り返り全力で走る。

 見えてきたのは、木製の扉。


 もうこうなったら、扉の先に出口があると信じて開けるしかない、と深呼吸をして、ドアノブに手をかける。

 勢いよく扉を開けて、足を踏み入れた。



 それから、M尾君を見た人は誰もいない。



 あはっ。じゃぁ、なんでこの話を知ってるの?って。

 そんな野暮なこと聞かないでよ!


 え?救済措置なしなのかって?

 そこはさ、よくある怖い話の延長でちゃんとご用意されてますよ。



 同じく迷い込んだT松君。

 彼も同じように迷い込んで、何度も扉の前を行き来していた。


 疲れて、喉が渇いて、もうだめなのかもしれないと思い始めた何往復か目にそれは起こった。


 扉の前に小さなテーブルが置かれていた。

 テーブルには、キラキラシュワシュワと泡の立つ、透き通る水色のサイダーが置かれていた。


 ごくり、とつばを飲み。


 T松君は、サイダーを……飲まなかった。


 ここで大事なのはね。

 出されたものを口にしてはいけないの。

 捕まっちゃうから。

 そして、もうひとつ。

 自分の持っている食べものを置いていくこと。

 もし食べ物がなかったら、出られないんだよ。



 隙間なんていくらでもあって見た目でわかんないから、迷いこんじゃう人なんてたくさんいるんだよ。

 誰にも気づかれずに行方不明なんて、よくある話らしいよ。



 話していた女子高生は、楽しそうに笑いながら、

「いくつか心当たりがあるから、飲み物買ったら、見に行かない?」

 ととんでもない発言をサラリとしたのだった。

「君子危うきに近寄らず、ってね」を飛ばして、次の話に進んで下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ