表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/78

熊のご当地キャラクター

「熊のご当地キャラクター」を選んだ方はこちらから。





 シャキン


 俺は、ポケットに入っていた熊のストラップを投げつけた。

 ストラップは、上手いこと鋏の閉じるタイミングで鋏に当たった。

 熊は、首と胴体が綺麗に斬られて、ぽとりと地面に落ちた。


 その瞬間すっ、と鋏が消えていった。


「た、助かった?」


 一気に温度が戻ってきたように感じる。

 それに、何時からか聞こえなくなっていた鴉がなく声や虫の声も一斉に戻ってくる。


「やべーな。あいつ」

「ななな、なにのんきに言ってんだよ!死ぬかと思った!」

「結果、死ななかっただろ?」

「そーゆー問題だじゃない。それに、なんで急にいなくなったんだ?」

「身代りを用意してたからな」

「身代りって……これ?」


 地面に落ちたストラップをつまみ上げる。


「それ。買っといてよかっただろ?」

「そういうのは、先に説明しといてくれよ」

「ははっ」

「もう!……で、この後どうすんのさ?」

「そうだなぁ」


 キョロキョロっと周りを確認する水澄に釣られて俺も周りを見渡す。


 そういえば、女の子ももういない。


「これ」


 水澄が取り出したのは、コンビニで買ったパックの日本酒と卓上塩だった。


「料理でもすんの?」

「違う」


 水澄は、酒と塩をテキトーに四隅に撒く。

 その後、ボソボソっと何かを言ったと思ったら、柏手をパンと打った。


 その瞬間、暗く重たくなっていた空気がもっと重くなった。


「さて、帰るか」

「は?普通、空気が軽くなるんじゃないの?」

「あんな恐ろしいもの、祓えるわけないだろ?なんと言ったって神様だぞ?結界はって閉じ込めたんだよ。なかなか入れない土地ってのがあるだろ?それと一緒」

「へー。で、どっからの依頼?」


 こいつがタダ働きするはずがない。


「な・い・しょっ」


 唇に人差し指を当てて笑う仕草が様になっていて腹が立つ。


 帰り道もサッサと歩きだした水澄背中を見ながら、なんで俺はこの人と一緒にいるのだろうかとため息をつく。


 しかし、すぐに俺がそんなことを言える立場じゃなかったと思いだし、慌てて後を追いかけたのだった。



NORMAL END「身代わり」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ