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職員室

前回「やられる前に逃げる」で、「職員室」を選んだ方はこちらの話へどうぞ。



それ以外の選択肢を選んだ方は、「職員室」を飛ばして前話「やられる前に逃げる」の後書きにて指定されたタイトルの話に進んでください。



では、どうぞ。

 とにかく、無我夢中で教室を飛び出して、近くにいる人の腕をつかんで走る。


 どこをどう走ったかがわからないぐらい必死に走っていると、急に一緒に走っていた人から声をかけられる。


「そこの教室に入りましょう!」


 指示の通りに近くの教室に飛び込む。


 バン、と勢いよく扉を閉めて、その場にへたりこみ、息を整える。


「はぁ、はぁ、はぁ」


 荒く息をしながら周りを見渡せば、いくつもの机、その上にはたくさんの紙の束、印刷機や月間の予定の書き込まれた黒板などがあった。


 どうやらここは職員室のようだった。


「職員室ですね」


 冷静な呟きを聞いてそちらを向けば、どうやら一緒に逃げ込んだのは、彰彦くんだったようだ。


「役にたちそうなものなんてあるかなぁ?」

「あ!よく先生たち、コーヒー飲んでるから、そこを探せば塩があるかも」


 早速二人で給湯室に入る。


「砂糖はあるけど、塩は無さそうだなぁ」


 コップの並ぶ食器棚には、スティック砂糖やスティックの飲み物はあれど塩はないように見受けられる。


「あ、なんか奥にありますよ」


 彰彦くんが引っ張りだしてきたのは、ごま塩スティックだった。


「ごま塩……」

「ちょっと無理ですね……」


 流石にごま塩では、塩水認定されないだろうと諦めて代替え案を考えることにした。


「あれ!あれならどうですか?」

「どれ?」


 彰彦くんは、給湯室からでると真っ直ぐになにかの機械が仕舞われているところまで移動する。


 棚から出された機械は、机の半分くらいの大きさの鉄の板の横に棒のようなものがついていた。

 棒は板の奥側が繋げてあって、棒を持ち上げるとL字型になるようだ。


「裁断機です。この前、先生のお手伝いをしたんです」


 機械をだして、彰彦くんが裏紙で実演してくれる。

 棒をあげて、板に紙をおき、切りたいぶんだけ板からだした状態で棒を下げる。

 すると、紙は真っ二つになった。


「このように切れます。どうにか熊谷をこの間に入れれれば、どうにかなりませんか?」


 確かに頭と体は切れそうだが、「上手くいけば」が大変だ。

 しかし、他に方法が思い付かないので、それでいくしかない。


「それでいくか!」

「はい!」


 二人で決意をきめ、ハイタッチを交わす。


 それと同時に扉が開き、ぬいぐるみが登場した。


「ダめだヨ。かクれんボ、みツかっテから、にゲルなんて」


 ぬいぐるみは、激おこだった。


「囮になるので、裁断機、お願いします!!」


 言ったそばから彰彦くんがぬいぐるみに近づき、絶妙なタイミングで踵を返した。


「アハハハハハハハハハハ。にゲチゃダめだっテば!きゃははハハハハハハハハ!」


 ぬいぐるみは、楽しそうに奇声をあげながら彰彦くんを追いかける。


 彰彦くんは、先生たちの机をうまく使いながらチェイスする。


 どうやら運動神経はいいようで、ジグザグと机を使って移動したあと、俺のいる方に向かって机の上をスライディングした。


「伊織さん!!」

「おう!!」


 追いかけてきたぬいぐるみがこのままいけば裁断機の切り取り線上に乗る!!


「こい!!」


 勢いをつけて刃を下ろす準備をしていると、


「ふふふっ。そんナ簡単にデきるト思っタ?」


 いつの間にか追い付いていたぬいぐるみが彰彦くんを引っ張る。


「うわぁ!」


 彰彦くんは、机から引きずり下ろされる。


「にゲテも無駄!」


 ぬいぐるみが彰彦くんに馬乗りになり、カッターを振り上げる。


「!!」


 カッターの刃は、真っ直ぐに彰彦くんの胸に突き刺さった。


「モウ一回」


 無情にもぬいぐるみは、カッターを引き抜き、もう一度振り上げる。


「っっっ!」


 彰彦くんは、痛みを堪えながら、ぬいぐるみを蹴飛ばし、ノロノロとしながらも机をよじ登りこちらに向かってくる。


「彰彦くん!!」


 俺は精一杯手を伸ばし彰彦くんをこちらに引き寄せる。


 そして、追いかけてきたぬいぐるみが裁断機に突っ込んで来る。


「えぃっ」


 思い切り刃を下ろすがなかなか上手くきれない。

 それにぬいぐるみが暴れるので、力が上手くいれらない。


 それを察したのか、彰彦くんがぬいぐるみを押さえにかかる。


「押さえてるうちに、早く!!」

「うぉぉぉぉ!!」


 俺は渾身の力を込めて、刃を下に向かって押し続けた。


 ぼとり。


 ぬいぐるみの首が床に音をたてて落ちる。

 今までバタバタと動いていたぬいぐるみが動かなくなり、元の大きさであるであろう、掌サイズのぬいぐるみに戻っていた。


「やった!!彰彦くん」


 勝利の嬉しさを共有しようと彰彦くんの方を振り返る。


 そこにいたのは、血まみれになり、うつ伏せに倒れる彰彦くんだった。


「彰彦、くん?」


 いくら揺さぶっても彰彦くんの目が開くことは二度となかった……



 そのあとは、他のメンバーを呼んで、話し合いがもたれた。

 ぬいぐるみが、都市伝説で、と言ったって誰も信じてくれない。


 話し合いの結果、仕方がなく不審者「熊谷」を捏造することにした。


 熊谷は、最近子どもたちを付け狙っていて、先日女子児童が襲われた。

 そして、今度は彰彦くんが狙われた。

 逃げていた彰彦くんを心配した真宙くんが従兄弟とその友達と一緒に会いに行った所、事件が発覚。


 駆けつけたときには、犯人の姿はなく、変わり果てた彰彦くんをみつけることになった。


 警察に通報して、このストーリーを警察に説明した。


 警察は、すぐには納得はしなかったが、他に説明がつかないということで「不審者:熊谷説」で今も捜査をしている。





 NORMAL END「不審者:熊谷」

このまま次の話に進んでください。


活動報告にて、章管理とエンディングについて書いてありますので、確認をお願いします。

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