ミィツケタ
前回「モォイイカイ?」で、「同行しない」(行かない)を選んだ方はこちらの話へどうぞ。
「同行する」(行く)を選んだ方は、「どんなに上手に隠れても」に戻ってください。
では、どうぞ。
「行かないよ」
俺に選択権があることが今後はないのかもしれないと、意気揚々とお断りをする。
三人が出掛けていくのを見送り、スッキリした気分で自室へ帰る。
二度寝を決めようとするが、もう目が覚めきってしまっているので無理だった。
「えー、なにしよう……やっぱりついていけばよかったかなぁ?いやいや。折角のチャンスだったんだし……」
うろうろと部屋を歩きながらひとり言を呟く。
考えれば考えるほど気になってきた。
「よし!!」
ちょっと水澄のノートパソコンを借りて、かくれんぼについて調べてみよう。
早速リビングに移動してパソコンの電源を入れる。
インターネットに接続し、検索バーに文字を打つ。
「か・く・れ・ん・ぼ っと。検索!」
一気にたくさんの検索結果が並ぶ。
まとめサイトをみると、「神隠し、誘拐などがあるため夕暮れに行ってはいけない」とか、「派生した隠れ鬼や缶けりもある」などガッツリした説明が出てくる。
「へー。ってチガウチガウ。ひ・と・りっと」
検索ワードを追加して再検索をかける。
「おっ、結構出てきた」
真宙くんが言っていたように、やり方からやってみた、レポなどがズラリと並んだ。
適当に体験談のサイトに入る。
用意するものをざっとみると、確かに小学生がすぐにでも用意できるものばかりだった。
「こんなの五分もありゃ、準備出来んじゃん」
実際に集めてみると予想通り直ぐに用意できてしまった。
「おいおい。こんな簡単に出来ていいのか?」
次の項目をみると、ぬいぐるみに名前をつけるとか、洗面台に沈めるとかかいてある。
「これだって、そんなにかからないぞ?」
ぬいぐるみに名前をつけて、お腹に米を詰める。赤い糸で縫って、洗面台にはった水に沈める。
いつもだったら何が起こるかわからない、こんな恐ろしいことはやらない。
でも心のどこかで、誰も「被害にあった」と書き込んでないのだから、きっと大丈夫と思っていたのだろう。
ふと、我に返った時には、俺はなぜかクローゼットの中にいた。
「は……?」
真っ暗な、狭いクローゼットの中で体育座りしている自分に驚く。
そして急に怖くなった。
これ。本当に大丈夫?
不味くない?
急に現実へと引き戻される。
はやく、終わらせないと……
どうやって、終わらせるんだっけ?
記憶の中の情報を必死に思い出す。
確か「塩水を少し口に含んでから出る」が最初で、次は……「ぬいぐるみを探す」だ。
探す?ぬいぐるみを?
最初の場所にいるんじゃないの?
今さらそんなことを言っている場合じゃない。
最後は、「塩水をかけて「私の勝ち」と宣言して終了」だったっけ?
時間制限もあった気がする。
早くやらなきゃ。
コップの塩水を口に含み、クローゼットの扉を少し開ける。
昼間のはずなのに、薄暗く物音一つしない部屋が、まるで自分の知らない場所の様な気持ちになる。
とにかくぬいぐるみの場所まで移動しなくちゃ。
そっとクローゼットから抜け出し、足音をたてないようにソロソロと洗面所に移動をする。
そして、洗面台を覗き込む。
が。
「?!!!」
ぬいぐるみが、ない。
え、どこにいった?
辺りを慌てて探すが、見当たらない。
それどころか、洗面台の廻りがびしょびしょに濡れている。
まるで、水の中のナニかが外に這い出してきたかのように。
洗面所を飛び出して、キッチンやリビングを探すが、それらしいものは見当たらない。
ずずっ。ペタリ。
「?」
なんだか聞きなれない音が聞こえた気がして、俺はピタリと動きを止める。
ずずっ。ペタリ。
耳を澄ますと、やはりなにか音が聞こえる。
ずずっ。ペタリ。
音は直ぐ後ろで聞こえる。
ずずっ。ペタリ。
振り返れない。
ずずっ。ペタリ。
足音は俺の真後ろで止まった。
意を決して、ばっと振り返る。
「?」
誰も、いない?
ほっとしたのもつかの間、急に背中が熱くなる。
「ゴホッ」
何が起こったのかわからない。
ただ、口に含んでいたのは塩水だったはずなのに、口からこぼれたそれは真っ赤だった。
急に足に力が入らなくなり、その場に倒れ込む。
暗くなる視界の端に、真っ赤に染まる包丁を持ったぬいぐるみを見たような気がした……
BAD END 「自由への道連れ」
残念。
一つ前の選択肢に戻ってください。




