次の依頼は…… #2
マグカップを四つ出そうとして手を止める。
小学生にコーヒーはないか……そう思ってガラスのコップを一つとマグカップを三つ用意する。
インスタントのコーヒーの袋を開け、マグカップのなかに粉を入れる。
粉をどれくらい入れるのかが難しいんだよな。
見よう見まねで初めて淹れたときに、水澄に「これは泥水か?」と聞かれときはなにが悪かったのか意味がわからなかった。
慎重に粉を入れて、お湯を七分目まで注ぐ。
くるくるっとスプーンで混ぜて出来上がり。
上出来とばかりにふんっ、と一息ついて冷蔵庫を開けるために移動して、コーヒーフレッシュとオレンジジュースのパックを出す。
ガラスのコップにオレンジジュースを入れ、お盆にコップ、マグカップ、フレッシュと……スティックシュガーも乗せてっと。
「たかがコーヒー淹れたぐらいで、なにやりきった感出してんだよ」
水澄の突っ込みに振り返れば、俺が頑張ってコーヒーを淹れている間に朝ごはんがご用意されていた。
「早くない?」
「お前が遅いんだよ」
「伊織くんの回りだけ時間の流れが違ったね」
ニコニコと追い討ちまで……
とにかく、配膳をしてしまおうとお盆をもってテーブルへ。
飲みものを配ると小学生は小さな声だったがお礼を言ってくれた。
水澄の作った朝ごはんも四人分、テーブルに配置された。
トーストに目玉焼き、ベーコン二枚というスタンダードな朝食だった。
「わっ、うまそー」
「いただきまーす」
俺と遠慮という言葉を知らないらしい奏さんは、早速朝食に手をつけた。
さくっと音を立てながら、トーストを食べる。
小学生は、動かない。
「アレルギーとかあったか?」
「だ、大丈夫です」
水澄に、動かないのをにアレルギーでも?と問われた小学生は、慌ててトーストに手を伸ばした。
「で?見知らぬ小学生をつれて、朝っぱらからなんのようだ」
「ふぉっとふまっふ」
「口のなかなくなって空にしろよ。子どもか?」
もきゅもきゅと効果音が聞こえてきそうなほど、口に一杯ものを詰めた奏さんを水澄が注意する。
「……ぐっ。じゃあさ、ちょっとご飯食べ終わるまで待って」
みんなで急いで食べきって、本題へ。