次の依頼は…… #1
色々あった一週間が終わり、やっと穏やかな休日が……
『ピンポーン』
……。
…………。
『ピンポーンピンポピンポピンポーン』
「うっせーな!!」
気持ち良く二度寝を決めようとしたら、インターホンが連打された。
誰だよ。こんな朝っぱらから。
小学校の夏休みのときに習わなかったのか?
『電話をするなら朝9時から。遊びに行くなら10時から。お昼は食べて1時から』
散々いわれた気がするが?
スマホの時計を確認すると、8時半。
はえーよ。いったい誰だ?
布団を撥ね飛ばして起き上がり、部屋の扉を開けると話し声が聞こえてきた。
「お前なぁ。もうちょい一般常識考えろよ」
「おはよー!開口一番それ?お前に言われたくないんだけど。お前に一般常識を語られたくないな~」
「で?朝からなんのようだ?」
なんだか聞き覚えのあるような声がして、扉から顔を出して玄関をみる。
「あれ?奏さん?」
「よっ。伊織くんじゃん。元気~」
ヒラヒラと陽気に手を振る奏さん。
奏さんは、水澄の友達(だと思う)。
フランクな近所のお兄さんみたいな感じで、いつもニコニコ陽気な人だ。
以前、奏さんと水澄では、タイプが違うなーと意外に思い「陽気な友達だな」と言ったら、「あいつは友達じゃねぇ。腐れ縁だ」と言っていた。
「おはよーございます。早いっすね……」
「早起きは三文の徳って言うでしょー。あ、朝ごはんまだなんだ。水澄~、なんかない?」
「は?そういうの、終わらせてからこいよ」
「だってさ、この子が早く行きたいって言うから」
その言葉と共に奏さんがすっ、と横にずれる。
奏さんの後ろには小学三、四年生ぐらいの男の子がいた。
「はわわっ」
突然、罪を擦りつけられてる!!
かわいそうに慌てる小学生。
この二人の姿を見ていると、なぜか俺と水澄のやり取りが思いおこされるのはなぜだろうか。
「……とりあえず、中に入れ」
話が長くなる予感を察知した水澄が二人を中に招いたのだった。
ダイニングに移動をして、お客の二人に席を勧める。
奏さんは、楽しそうに席に座ってキョロキョロと廻りをみていて、小学生はかわいそうにちんまりと静かに座っていた。
水澄は、ものすごく不機嫌な顔で冷蔵庫の中を覗いていた。
「なんか、手伝おうか?」
「当たり前だ。コーヒー淹れといて」
「了解」
なんのメニューになったのかはさっぱりわからなかったが、とりあえず任された任務を遂行することにした。