05 俺を蹴り飛ばす美優は容赦ない
「おぉぉーーい!!!! 起きろぉ!!」
「……はへ?」
新が怒りと勢いに乗り大きな声で叫び、遥香はのんきに目を覚ました。
「お前らぁぁあーー!! 朝からいい加減にしろぉぉーー!!!!」
ついに新は怒りを爆発させてしまった。普段はいつもの事なので見過ごしていたが、今日という今日は流石に耐えられなかった。
「ご、ご、ごめん……すぐ用意するから!!」
遥香は新が怒ったことにとても驚いている様子だ。まさか、本気で怒鳴られるなんて思ってもいなかった。
「美優!!もうゲームは終わってるんだろうな?まだ終わってなかっ……うっ!?」
新は言いながら美優の部屋に向かい、ドアを開け部屋を見ると、美優はゲームを終わらせており、運悪く着替えている途中で、上半身は制服で下半身はスカートを下ろしたところで、ドアが開き、パンツを新に見られてしまったのだ。
「最低!! 死ねばいいのに!!」
そう言いながら、脱いだ制服のスカートを新の顔に投げつけ、新は腹を蹴られ廊下に追い出され、勢いよくドアを閉められた。
「ううっ、 ゲホッゲホッ、 痛てぇ……あいつ容赦ねぇな……ゲホッ」
新は腹を抑えていて、とても苦しいそうにしている。今日は今まで以上に不幸だ。普通、朝起きてまだ3時間すら経っていないのに、こんなにも不幸な事が起こるはずがない。
しばらく新たは廊下でうずくまっていると、舞が2階に上がってきて、その新の姿を見たがそのまま素通りして部屋に戻った。
「ある意味舞も容赦ねぇ……うぅ」
新は、さらに傷付いたのだった。
「今日の俺……絶対日本一不幸だな……はは……」
新は仰向けになり、半泣き状態になりながら呟いた。そして……
「あらた……あらた、 あらた!!」
「!?」
「いつまで寝てんのよ、あんたが居ないと行く意味無いでしょ」
「はやく行こーー」
俺は廊下で寝てしまっていた。俺を起こす妹達が俺を囲んでいた。美優は俺を軽く踏みながら名前を叫んでいる。遥香が俺と出かけたい理由は、目当てのものを買ってもらうためだ。遥香だけでなく、3人がそれ目当てだ。舞は俺の事を心配してる様子はない、それはスマホをいじりながら俺に言っていたからだ。なんという悲しさ。
3人はすでに着替えていた。大須商店街に行く時はいつも異様な格好でいくのだった。
3人とも帽子とメガネを身につけているのだ。
遥香は髪が長いので、ポニーテールに触覚の髪型だ。マリンキャップを被り、レンズの入っていないオーバル型の赤いメガネを掛けている。
美優はスポーツ系なので髪は短い。特に結んだりしていないようだ。ベースボールキャップを斜めに被っていて、フレームの大きなサングラスを掛けている。いかにもチャラチャラした格好だ。
舞の髪はショートより少し長く、ポニーテールをしていて、後ろがちょこんと結ばれていて、冬の間ずっと被っていたニット帽子を被っている。舞のお気に入りらしい。ラウンド型の黒縁メガネを掛けており、似合っている。
「今日はマスクはいいのか?」
「うん、要らない、だってマスクを付けていた理由はウイルス予防してただけだもん」
舞が親切に教えてくれる。冬はインフルエンザが流行っていて、沢山の人が集まる場所では菌が飛び回っていそうだからだ。
「相変わらずの変装とはいってもおしゃれしてるだけにしか見えないな」
「当然でしょ、変装ってただ自分を隠すって事だけじゃないんだからね!!オシャレもする事で大須商店街に行っても違和感が無いように浸透するのよ」
遥香はとても賢い。オシャレ無しで変装したら逆に目立ちってしまい、怪しまれて目線が行ってしまうが、大須商店街は若者がよく訪れる場所なので、オシャレをする事により、目立たなくなり浸透する事が出来る。しかも元々の美人容赦も隠せるので、より目立たなくなるように考えたのだ。
どうして変装をするのかなんて、女子中学生は元同じ中学の男子に会いたくない、気づかれたくないらしいのだ。中には会いたい人もいるだろうが妹達は嫌らしい。
確かに、ゲームセンターで遊んでいる女子中学生は良いイメージを受けられない。とゆうのが理由だ。
そして新は起き上がり、ルンルンと妹達と階段を下りる。
「さぁ、行くぞ!!」
「財布に3万円は入れといてよ、いや、やっぱり4万円ね」
「はぁ!?」