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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

(基本的にグロい)刹那的短編まとめ

扇風機自殺

作者: 東龍ベコス

最近、世間では変わった死に方が流行っている。

 扇風機の羽を、それと同じくらい大きな刃に取り替えた“改造扇風機”で死ぬ方法だ。

 

 ビルの屋上等の、とにかく高い所でその“改造扇風機”を<強>で回し、その中に突っ込んでいく……そんな死に方だ。

 頭から突っ込んでいっても良し。手からいっても良し。足からいったっていい。

 もちろん、遺体はとても悲惨な状態になる……かと思いきや、案外そうでもない。


 ……綺麗なのだ。

 回る刃に跡形もなく細切れにされた人体は、とても美しい。

 ニュース番組でちらほらその光景を目にするが、私は「キレイだ」としか思わない。空中を舞い落ちて辺り一面に飛び散る血粉は、まるで粉雪のよう、だと思う。

 

 

 ………すいません。綺麗だと思っているのは極少数の私のようなキチガイです。

 辺りに飛び散った ソ レ を見た者は、ほぼ悲鳴を上げる。

 運の悪い者は、その血粉を全身に浴びてしまったりする。そうなるともう、悲鳴どころではない。

 発 狂 である。

 

 そんな可哀想な人達の為に国が用意した制度が「血粉被害補償」である。

 “傷付いた心を金で癒やす”という、とてもわかりやすい制度だ。

 この制度を利用して、わざと血粉を浴びて補償金をせしめる図太い猛者もいる。

 

 

 

 とりあえず今、私は通学途中でその血粉被害者になってしまった。

 マンション近くを歩いていたら、血粉がぶわぁっ、と私に降りかかってきたのだ。

 びしゃびしゃびしゃ……生温かい血が私の全身に降り注ぐ。少しばかり、目と口の中にも入ってしまった。

 ………ゴトッ。

 改造扇風機の速度が足りなかったらしく、細切れにならなかった肉片も近くに落ちてきた。辺りに、鉄臭い匂いがたちこめる。

 

 このくらいの被害で、一体いくらもらえるのだろう、と冷静に思った。

 

 というか、学校どうしよう。あああ。

 また電車に乗って家に帰るのも面倒くさいので、もう、そのまま登校する事にした。

 

 学校近くのコンビニ辺りで、私と同じく血まみれびしょびしょの男性とすれ違った。男はショックで放心状態だった。

 バカみたいに天を見上げて立ち尽くしていた。道行く人が哀れむように男と私を見ていく。

 

 

 学校に着くと友人が、きゃあああと悲鳴を上げ、慌ててタオルを持ってきて、体を拭いてくれた。

 

「ちょっとアンタ、どうしたの、まさかコレ、血粉……!」

「うん、そうなんだ。朝くらっちゃって。でも引き返すのは面倒くさいから、そのまま来ちゃった★」

「うああああバカ。バカバカバカバカ!」

 

 至極怒鳴られた。いい友達である。

 

 私が友達に怒鳴られている間、クラスメイトはじろじろとこちらを見ながら、ざわめいていた。

 

 なんか、気分がいい。

 あれだ。骨折してギプスをはめて登校すると、皆の視線を独り占めできるではないか。

 あんな感じの、気分の良さだ。





 ジャージ姿で1日を過ごし、そのまま下校した。

 帰宅すると机の上に置き手紙があり、それを読んでみると、父親の字で

“事業に失敗して借金に苦しんでいて、だから、死にますごめんなさいさようなら”

とあり、更に

“血粉被害補償金を受け取ってくれ”

とあった。

 

父親の部屋を漁ると「絶対即死!! 鋼鉄刃扇風機!!」と趣味の悪い、派手なデザインの空箱が転がっていた。

 

 ……通販でこんなもんを買う金はあるのかよ、オイオイ。





 深く考えるのは面倒くさいので、とりあえず、モンハンをやる事にした。

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