惚れた?
(エリスにそこまで言わせるとはこの獣人すごいですね。エリス何倍くらいなら勝てそうですか?)
(そうですね、この獣人だけなら50倍で十分ですが、3人同時に相手にするとなると厳しいかもしれませんね。)
「惚れたニャ‼」
(え‼)
僕は、心の中で驚く。エリスユウも驚いているみたいで手が止まっていた。
「また始まった」
そんな様子を味方の魔法使いの女の子が呆れて観ている。
「この胸のドキドキは絶対恋ニャー、こいつを殴るとき感じるニャー胸の高まりが‼」
獣人の女の子は、熱烈に語る。
「あんたそれこの前、遺跡のゴーレムに対しても同じこと言ってたじゃない‼」
(僕ってごーレムと同じレベルなのかな?)
この世界のゴレームを知らないが割と傷つく。
「あのゴーレムはダメニャ‼硬さが足りないニャ‼もっと硬くないとダメニャ‼そろそろ行くニャー」
獣人の女の子が再びエリスユウに攻撃を仕掛ける。
(さて、ユウどうしますか?)
エリスは攻撃を続けて捌いている
(できれば逃げたいかも…)
(了解です、その方向で戦闘を進めていきましょう)
(あれ?逃げようって言ったよね?)
(ユウこうなったエリスは、止められません。あちらの方々もこの戦いに、参戦してこないみたいなので今は、エリスに勝手にやらせましょう)
(そんなんでいいの?)
どうやら似たようなことを話しているのか、あっちの二人も何か話して以降、最初にエリスに殴られて気絶した人の無事を確かめた後は、二人の戦いを見守っている。
僕の見た感じでは、エリスユウが負けているように思う。獣人の女の子は、エリスユウに対してさっきから攻撃ばかりでエリスユウは、最初こそ攻撃を避けてはいたのに今ではちょっとずつ攻撃が当たってきている。
「ふう、仕方がありませんね。少し本気でいきましょうか」
「ニャ⁉今までは本気じゃなかったのかニャ?……ますます惚れたニャ‼お前の本気を受けるニャ‼これが恋愛ニャ‼」
恋愛経験のない僕でもわかるこれが恋愛ではないことを。
(姫様、あとどれくらいもちますか?)
そういえばエリスが僕の体を動かすのも時間制限が合ったんだった。
(エリス遊びすぎですよーあと10分しかありません。後ろの二人を考えるとあと1分でけりを着けなさい)
(すいません。姫様、ユウすぐ終わらせます)
「50倍」
エリスユウは身体強化を50倍に上げる。そしてさっきより速いスピードで殴りにかる。
「ニャ⁉」
獣人の女の子は、驚きつつも冷静にエリスユウの攻撃に対して防御するが、今度は防御に移した腕を掴まれて日本で言う一本背負いの形で地面に叩きつけられた。
時間にして3秒くらい。1分も掛からず獣人の女の子が倒れた。
後ろでその様子を見ていた二人は、その瞬間動き始める。
赤髪の男は、剣を構えてエリスユウに向かってくる。魔法使いの女の子は、何やら呪文を唱えている。
「なあ、この無意味な戦いを止めにしないか?」
男は、剣を振り下ろしながら聞いてくる。
「なら剣を止めたらどうだ」
確かに男は、戦いを止めようと言って来ているのに剣で今に襲ってきている。
(ユウ、人間とは訳が分からない生き物ですね。言っていることやっていることが、まるで違う。やはりユウ以外の人間は愚かですね)
(違いますエリス、後ろの魔法使いの演唱の時間稼ぎをしているのです)
「‼、させない」
エリスは剣を避けると魔法使いの女の子に向かおうとする。
「今更気がついても遅いです、もう完成しました。
コキュートス」
その瞬間僕の体の周りを氷が覆っていく。エリスユウは、氷の中に完全に閉じ込まれる前に逃げ出そうとするも氷の方が早かった。エリスユウは、四角形の氷の中に閉じ込められた。
「成功だな」
「当然でしょ、私の魔法が失敗するわけないじゃない。それよりこいつどうするの?さすがに今回は、私たちも悪いところがありましたよ」
「うーんそうだなー……」
氷の向うでは、僕をどうするか迷っているようだ。
(ユウダメです。50倍のパンチでもびくともしません)
さっきからエリスユウで殴っているがまるで壊れない。
(エリスとりあえずユウ様に体を返しましょう、脱出するのはその後です。)
ようやく自分の体を返してもらい考える。
このままずっと閉じ込められたらまず酸素が無くなって死ぬかも知れないのだ。
(ユウ様、私にいい考えがあります‼ユウ様は、大声でインフェルノと大声で言って下さい。それでここを出れますから)
理由は分からないが、他にできることがないので大声で叫ぶ。
「インフェルノー‼」
そして僕の目の前は白くなった。