再戦
そんな訳で、僕は再びドンホーンと相対していた。
やっぱりこうして真正面から見ると凄い迫力だ。
(いいですかユウ、身体強化のコツは体全体に魔力を広げるイメージをしながら何倍強化するか言えばいいだけです、ではやってみて下さい)
エリスに身体強化の魔法を教えて貰い体に魔力を広げるイメージをする。
(そうです、その感じです。)
「30倍‼」
「…………」
「何も起きないけど」
結構な声の大きさで言って恥ずかしかった。
(そうですね、ユウは才能がないのかもしれません)
(仕方がありませね、私がユウ様の代わりに身体強化の魔法をやりますね、もうドンホーンがすぐそこまで来ているのですから。30倍)
アルデリアが僕に魔法を使い、何か力が上がったような気がする。
いつの間にかすぐ近くまで来ていたドンホーンがスローモーションに見える。
先程の、エリスが殴ったように夕もマネしてドンホーンを殴る。
ドン!
とエリスの時と同じ音がしたのだが、結果は違った。
(どうして僕は、空を見上げているのだろう)
(ユウ早く起き上がって下さい‼)
「え?」
と声を出すと僕の自由は、奪われた。
「ユウすいません。勝手に体を動かして、しかし今のは危なかったですよ。」
(どういうこと?)
(ユウ様すみません今のは、私にも責任があります。まずエリスと同じように殴るなら50倍にしておけば良かったですね。エリスはこれでも、武術の天才なので素人がマネすると今みたいに力負けしてしまうのですよ)
どうやら僕は、ドンホーンに力負けして吹っ飛ばされたらしい。
いつの間にかドンホーンを瞬殺していたエリスユウが魔石を回収する。
「ユウも、ちょっとずつ戦闘に慣れて行けばいいですよ」
エリスに戦闘のコツみたいなことを学びながら、早くも1時間くらい経った。
最初の頃に比べて、ましになったと自分なり思う。今は50倍の強化でドンホーンを何とか倒せるようになった。
今もちょうど、ドンホーンをやっとのことで倒すことができた。
(ユウ様も大分、戦闘がましになってきましたね。まだ素人っぽい動きですがドンホーンなら40倍でも勝てるんじゃないですか?)(そうですね、姫様の言う通りまだまだですが、今日はこのぐらいにして王都にいきましょう)
「うん、じゃあ魔石を回収したら王都に行くんだね」
僕は、少し離れた場所にある魔石を回収しに行く。
(待って下さいユウ様!誰か近づいて来ます)
「え⁉」
僕が、驚いていると
「おいおいおい!こんな所になんでBランク冒険者がいるんですか?きみきみきみ!自殺志願者ですか~?だいたい今のドンホーンの倒し方、ひっじょぉーに美しくない!力任せの何の技術も使わず、君は何のために生きているんだい?」
「おい‼ランそんな言い方ないだろう‼君、悪いな俺の仲間が変な事を言って、ただBランクの冒険者が一人でいるような所ではないのは、確かだな。」
唐突過ぎて頭が追いついていかないが、僕の目の前に4人組の人たちがやって来た。
1人は、ランと呼ばれた最初に僕に怒ってきた?見た目はイケメンで金髪の男、2人目は、金髪の男を止めた赤髪でイケメンの男、あと二人は女の子で、いかにも魔法使いって感じの伸長が低い子と、頭に猫の耳を生やしている、多分獣人と呼ばれる種族の子の4人が現れた。
「いーや、僕はこういう力任せに自分の力を使うような奴が、大嫌いなんだよ!しかも、その程度レベルでこんな所を「30倍‼」ウベ⁉」
「いい加減にしろ‼さっきから聞いていればいい気になりおって誰がその程度のレベルだって?」
まず、エリスがキレてエリスユウで金髪男を殴った。
(ちょっとエリスなにをしているんだよ。いくら何でも殴ることないだろ。)
「ちょっとあんた殴ることないでしょうが!」
魔法使いの女の子も僕と同じことを言っている、僕に。
(いいえエリスよくやりました。エリスがやらなかったら、私が究極魔法を放つところでしたから)
「ニャ‼」
今度は、獣人の女の子が襲って来た。
エリスユウは、女の子の足蹴りをかわすと一旦距離を空ける。
「おいネコやめろ、収拾がつかなくなる」
すかさず赤髪の人が止めに入る。
「こいつは面白いニャ、邪魔をするニャ」
話を終えるとまたエリスユウに向かって突撃してくる。
(ユウすみません、変な事になってきました。それにこの獣人、そこそこ強いです。このままじゃ負ける可能性が出てきました。)