第3話
それは愛莉にとっても同じだったようで、突然の爆弾発言をしてきた。
「ねぇ。それよりもさぁ、来た時から気になっていたんだけど、
瑠偉と香って付き合ってるの~??」
俺と香はあまりにも突拍子もない発言に吹き出しそうになり、せき込んだ。
「あ、愛莉!?どうしてそんなことになるんだ!?」
「そ、そうよ!!私たち、そんな関係じゃないわよ!」
「う~ん、だって、二人で同じ席に座ってるし、
話してる時もなんか阿吽の呼吸って感じだったんだもん。
私、職業柄そういう人をよく見てるから、
よくわかるんだけど、違うんだったらごめんね~。」
愛莉がそんなことを言うので、俺もよく考えてみた。
(そういえば、俺たちよく一緒にいるし、話もいつもスムーズに進むよな。
それに面白いし。そういえば、今日も当然のように一緒の席に座ってたなぁ。
香はどう思ってるんだろう)
ふと、気になった俺が香をちらっと見ると、
まんざらでもなさそうな表情をしていた。
だけど、その視線にすぐに気づいたためか、なぜか頭を叩かれた。
「な、何見てんのよ!!瑠偉のことなんて何とも思っていないんだから!!」
「痛って!!香、お前のそのすぐ暴力的になるとこ、
治せっていつも言ってるだろ」
頭を殴られたことへの怒りなのか、
それとも好きではないと暗に示されたことへの怒りなのか、
自分でも分からなかったが、少し声を荒げて反論してしまった。
それに落ち込んだのか、香は席を立つと、トイレ目掛けて走っていった。
「あ~らら。照れちゃって可愛い。」
さっきまで傍観者に徹していた愛莉がまたもやそんなことを言い出してきた。
「いや、多分あれは照れてたんじゃなくて、純粋に怒っているんだと思うぞ。
付き合っているように思われたことへの。」
すると、愛莉はやれやれと言わんばかりに態度を取りながら、
なぜか木葉に視線を合わせていた。
「ああいうのをね。ツンデレっていうんだよ。瑠偉~。
本当は好きだけど照れ隠しで嫌いとか何でもないとか言っちゃうんだよ?
というか、好きでもなんともない相手とあれだけ親密には話せないと思うよ~。
距離もなんだか近いしね。
ま、自分の想いに素直になれない人はたくさんいるんだけどね~。」
愛莉のそんな説明に、少し納得しながらも
香がどう思っているのかはやはり分からなかった。
そして、そんな話をしていると、
落ち着いたのか元の表情に戻った香が席に戻ってきて、この話は終わりにして、
次のゲーム内イベントの話をすることにした。