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第13話 アンデット討伐

ギルド長から一本取り、俺は西の森へ調査に行くことを許可された。

 あの後、俺の一撃を受けたギルド長が起き上がり平然と歩いてきたのにはドン引きした。

 【身体強化Lv.4】であれぐらいの攻撃では傷一つつかないらしい、化物やで。


「これを持っていけ」


 西の森でアンデットと出くわした時に備えて聖水をギルド長から貰った。

 聖水はアンデット本体にかけても効果はあるが、武器にかけた場合は一時的に聖属性を付与できるらしい。

 ギルド長との試合で剣術スキルのレベルが2上がっていたのには驚いたがこれでアンデットも確実に倒せる。

 俺とパグコはこうして西の森の調査へ向かった。

 勿論目的はアドムの討伐だが。

 

「よお、久しぶり」


 パグコの【超嗅覚】のおかげで俺は簡単にアドムのアンデットを見つけることができた。

 首なしの白騎士。

 鎧の中では腐食したアドムの肉体があるのだろう。

 腐臭がきつく、パグコは苦い顔をして鼻をつまんでいる。

 俺もすぐに【実体化】を解除する。


「タタカウ、タタカウ、タタカウ」


 アドムが言葉を発した。

 口がないから喋れないかと思ったが、俺も【実体化】をしていないときも普通に会話していたことを思い出す。

 するとアドムは左手から光の矢を飛ばしてくる。

 俺はそれをかわしてアドムを【鑑定眼】で見る。


===================================

 アドム アンデット Lv.98

スキル

 【剣術Lv.4】【光魔法Lv.4】

===================================


 光魔法を使うアンデットとか、それ自分の弱点じゃねぇのかよ?


「パグコ! お前はここから離れていろ!」

「ぱぐこも、たたかう!」

「だめだ!」

「ぱぐこも、みんなのかたき! たたかう!」

「っ! …そうか、よしっ! こいつを倒してリサ達の仇をうつぞ!」

「わん!」


 俺は驚いた。

 まさかあのパグコがリサ達の仇をうちたいなんて言うとは想像すらしていなかった。

 だけど、そうだよな…。

 短い間だったけど俺達は家族だったんだ。

 だから、ここで終わらせよう!


「パグコはナイフで俺を援護してくれ!」

「わかった!」


 俺は右手に『霊剣デュラム』、左手に『不壊の斧』を装備して聖水を使用した。

 パグコも二本の『帰還ナイフ』に聖水をかける。

 これで武器には聖属性が付与されアンデットにも有効となる。

 

「タタカウ、コロス」

「いくぞ!」

「わん!」


 アンデットになったアドムの動きは以前よりも遅い。

 俺は全ての攻撃に【一撃必殺】を使用する。

 だがアドムはそれを剣で防ぐ。

 ギルド長とは違い受け流しではなく正面から防いでくる。

 剣の耐久力にも驚いたがアンデット化したアドムの筋力も人間離れしたようだ。


「ガァァァッ!!」

「ぐあっ!」


 アドムの剣擊を剣と斧を重ねて防ぐがそれでも抑えきれず吹き飛ばされた。

 アンデットになって知能が低い分余裕かと思ったが、確かにこれはAランク級の魔物だ。


「ごしゅじんさま!」


 パグコは投げナイフで援護する。

 ナイフはアドムの剣で弾かれるがすぐにパグコの手に戻る。

 『帰還ナイフ』は【財宝収集】で手に入れたレア武器で、投げたあと必ず使用者の手元に戻ってくる魔法が付与されている。

 ナイフは何度かアンデットに当たったが鎧で弾かれる。

 アンデットもナイフが効かないと分かるとパグコを無視して本格的に俺に狙いを定めた。

 光りの矢が俺に飛んでくる。


「ダークボール!」


 【闇魔法Lv.2】で覚えたダークボール。

 黒い球体を出しそれを光の矢と相殺させる。


「ごしゅじんさま~! ないふ、きかないよ~」

「鎧の関節を狙って投げろ! 絶対にあいつに接近するなよ!」


 俺はそう言ってアンデットに攻める。

 【一撃必殺】のおかげで互角に打ち合えているが向こうの攻撃を防ぐのはかなりきつい。

 霊体のデュラハンだから戦えているが、これが生身の人間なら即あの世行き決定だ。


「タタカウ、コロス!」

「ふんっ!」


 振り下ろされるアンデットの一撃を剣と斧で防ぐが足が地面に沈む。

 超重てぇー!


「ぬっ! うおっ!」

「ガァッ!」


 アンデットの蹴りが俺の胴体に当たり吹き飛ばされる。

 鎧体だから痛みはないが衝撃は感じる。


「ウガァァ!」

「この化物が!」


 襲ってくるアンデットの攻撃を避け、細かい連撃でアンデットの動きを封じる。


「パグコ! こいつの頭から聖水をぶっかけてやれ!」

「わかった!」


 俺の指示でパグコは聖水の瓶の蓋を外して、アンデットの鎧の中に入り込むように投げる。

 聖水を食らったアンデットは苦しそうに暴れるが、その隙に俺の【一撃必殺】を発動した連撃がアドムの鎧を砕きその身まで切り裂いた。

 右腕を飛ばし、胴体に斧がめり込む。


「ウガァァッ!! キエロ!!」

「何っ!?」


 アドムの体が輝き出す。

 光魔法を発動する気だ! 自爆する気か!?

だがアンデットは自分の体にダメージを食らい発動を中断した。

 やはりアンデットに光属性は扱えるものではないようだ。


「グググッ!」

「これで終わりだよ。アドム!」

「グガアァッ!!」


 斧をそのまま振り切り胴体を真っ二つにした。

 そして剣での縦切りで別れた胴体をさらに半分にした。

 最後にアドムのアンデットは断末魔の叫びをあげ、灰となって消えた。

 残ったのは拳大の赤く輝く魔石とアドムの剣と壊れた装備だけ。


「…おわっ…たな」

「たおした? たおした?」

「ああ、倒したよ」

「わーい!」

「うおっ! だからやめろってパグコ!」


 頭の兜を外され、万が一にも人に見られると厄介なので【実体化】しないわけにもいかず、パグコのペロペロ攻撃に襲われる。

 まあ、今ぐらい好きにさせてやるか。


 それからアドムの装備品と魔石を回収して、数日ぶりにリサ達の墓参りに行く。

 俺が手を合わせて祈るとパグコも真似をする。

 

「リサ、ミランダ、ノン。俺は冒険者としてやっていけそうだよ」

「ぱぐこも! ぼうけんしゃできてるよ!」

「じゃあな」


 こうして俺はアドムとの決着を完全につけた。

 白騎士を見るたびにアドムを思い出すかもしれないけど憎しみは大分消えた気がする。

 俺はこれから冒険者として楽しんでいこうと思う。


 森の中、黒騎士と獣人の少女は帰っていく。

 その足取りは軽く、とても堂々としたものであった。

 

 その後、黒騎士と獣人は冒険者として数々の偉業を成し遂げていく。



完結です。読んでくれた方ありがとうございます^^

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