表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/13

第12話 ギルド長と試合

「すいませんでした!」


 ギルドの奥にある訓練所に連れて来られた俺はギルド長と受付嬢に即土下座した。

 パグコも真似をして土下座する。

 リンチはいやー!

 二人は突然の俺達の土下座に驚いたがすぐに冷めた目をしている。

 特にミライさんやばいっス。


「ふぅ、少しは状況を理解したか?」

「はい! 自分が調子に乗っていました! 本当にすんませんでしたぁぁぁ!」

「ギルド長に楯突くなんてギルドカード剥奪処分になっていたかもしれませんよ」

「ええっ!? それだけは勘弁して下せぇ!」


 ミライさんの脅しにマジビビリする俺。

 

「流石にそこまではしないが気をつけろ。

 新人が大きな態度を取ると他の冒険者連中は黙ってはいない」

「は、はい」

「何故そこまでアンデット討伐に拘る? それほどに手柄を立てたいのか?」

「い、いえ」

「ギルド長、彼も反省しているようですのでこのへんで…」

「いや、西の森への許可をしてやろう」

「「え?」」


 ギルド長の言葉に俺とミライさんは自分の耳を疑った。


「ギルド長…今なんていいました?」

「西の森へ行く許可を出してやると言ったんだ」

「ほ、本当ですか!?」

「ギルド長!」

「ただし条件がある!」


 条件キタ━(゜∀゜)━!

 どうせ自分と戦って実力を見せろとかでしょ。分かります。


「俺と戦って一撃でも食らわせることができれば、だ。

 そうすれば貴様にはギルドマスターとしての権限で特別指名依頼として西の森の調査を任せよう」


 ほらね。テンプレ乙。


「分かりました」

「ほう、いいのか?」

「ザイカさんやめてください! ギルド長は元AAランク冒険者です!

 Fランクのザイカさんでは絶対に勝ち目はありません!」

「ミライがここまで心配するとは貴様は相当気に入られているようだな」


 えっ? そうなの?

 確かにさっきから名前で呼ばれているけど、俺ら自己紹介もしていない仲だよ。


「違います! 私は別に!」

「…」


 ミライさん、そこはムキになっちゃあかんとこやで。


「どうする? やめるか?」

「いえ、やりますよ! 使うのは木剣でいいですか?」

「ああ」


 俺は訓練所にある木剣を二本手に取り二刀流でいく。

 斧がないのは残念だが仕方ない。

 戦う前にギルド長を【鑑定眼】で見てみる。


===================================

 バルガ・ラセツ 人間 ♂ Lv.81

スキル

 【剣術Lv.4】【身体強化Lv.4】【土魔法Lv.3】【危機感知Lv.3】

===================================


 何このレベル? 俺に勝目なくね?

 スキルレベル4って、人間最高峰だろ。


「かかってこい」

「…いきます!」


 構えているギルド長に向かって木剣を振るう。

 魔物を倒す時と同じやり方で一撃目を防がせ二擊目で倒す。


「!?」


 しかし簡単に防がれ逆に一撃肩にくらった。


「この程度か?」

「くっ」


 やべぇ、全然見えなかった。

 しかも鎧越しなのに体への衝撃がパネェ。

 【実体化】を解除したいがそうすると魔物だと気づかれそうだしな…。

 元冒険者AAランクは伊達じゃないってか。

 だが俺も負けるわけにはいかない。


「らああぁぁっ!」

「!?」


 威勢良く声を出して突っ込む。

 俺は前々から考えていた対人用の技を繰り出す。

 闇魔法で黒い靄を生み出して相手の視界を奪う。

 さらに【才貨使用】で【一撃必殺】を二連続使用! 両手の木剣が赤く光る。

 これでギルド長は回避も防御も不可。

 もらった!!


「ふん!」

「はっ?」


 勝ちを確信した時だった。

 俺の攻撃は目の見えていないはずのギルド長の木剣で受け流された。

 しかもその後にカウンターの二連突きを胴と頭にくらった。


「ぐはっ!」

「どうした? 今のが奥の手か?」

「いや、今のおかしいでしょ! どうして見えていないのに的確に防いじゃってんスか!」

「お前は気配を出しすぎだ。目に頼らずとも感知できる」


 何アホなこと言ってんだ。

 どっかのお師匠さんでもなければ見えないのに戦えるわけねぇだろ。

 そういやこの人【危機感知Lv.3】があったな。

 それでも【一撃必殺】を発動した木剣二本を受け流すとか神業だろ。


「くそ…せめて斧ならさっきので」

「言い訳か?」

「ぐぬぬっ」


 まだ使ってないスキルとかあるし、武器だって本当に剣は苦手なのに!

 悔しい! なんかもう絶対一本取りたくなってきた!


「まだまだ!」

「はっはっ、いいぞ!」


 それから数十分は打ち合っただろうか。

 こちらはデュラハンの疲労しない特性を生かして攻め続けようと思ったが【実体化】をしている間は普通の人間と変わらなかった。

 打ち合いの末、体力を消耗して立っているのも限界な俺。

 対して未だ息切れ一つしていないギルド長。

 だけど、まだ勝機はある。


「はぁはぁ」

「どうした? もう終わりか?」

「ぐっ!」


 俺は最後の力を振り絞りギルド長を攻める。

 しかし動きの落ちた俺の攻撃は簡単に薙ぎ払われ、逆に止めの一撃を脳天にくらう。

 

「づっ!」

「終わったな」

「…っ」


 ここだ! この隙を狙うしかない!

 俺は揺れる脳をフル回転させ【実体化】を解除する。

 途端に俺の脳がクリーンに起動して体の疲労が吹き飛ぶ。

 実体というリミッターも外れ、魔物特有の馬鹿力を発揮できる。

 

「らああぁっ!!!」

「!!?」


 倒したと思った相手からの反撃にギルド長は驚愕する。

 今思えばあの『白騎士』を倒したのもこの戦法だ。

 俺は右手の木剣を最もかわすのが難しい胴体に向けて振るう。


「ぬっ!!」


 予想外の一撃にギルド長は木剣を盾に防ぐ。

 だが俺の攻撃は木剣をへし折りそのままギルド長の胴体にめり込む。

 加減0の攻撃にギルド長は訓練所の壁まで吹き飛ばされた。


「やったぜ!」


 怪しまれない内に再び【実体化】。

 しゃっー! 【実体化】したら疲労も取れているしこの体超便利!


「ごしゅじんさまー!」

「うおっ!」


 パグコが俺に飛びつい来た。

 無理やり兜を外して顔をベロベロ舐めてくる。

 おいパグコ! 【実体化】してなかったら正体バレるところだったぞ!


「まさか本当に一撃入れるなんて」


 ミライさんは珍しく驚いた表情のまま近づいてきた。


「君、本当に何者なの?」

「依頼成功率100%の黒騎士です」

「れろれろれろれろ!」

「お前はいつまで舐めてんだ! やめろ馬鹿!」


 俺の頭にしがみつき、顔を舐めまくっているパグコを無理やり引き剥がす。

 よだれでベトベトだよ。



===================================

 ザイカ デュラハン ♂ Lv.38

スキル

 【才貨使用】【言語翻訳】【鑑定眼】【同族召喚】【ゴブリン統率】【ゴブリン成長補修・上】【ゴブリン戦闘力上昇・上】【生命力強化Lv.3】【斧術Lv.3】【剣術Lv.3】【闇魔法Lv.2】【実体化】【王の威圧】

===================================



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ