シンデレラバスト
《警告》
・これは番外です
・まさかの一時間クオリティです
・息抜きに書いた即興です
以下の点をご留意の上でお読みください
始まりはそう、とある陣営のとある御使いの言葉から始まった。
「天の国ではシンデレラバストと言ってなぁ・・・」
「てめーが元凶だろうが! このクソ兄上!!」
いつも通り、自分の部屋で仕事をしていると樹枝が大声で叫びながら扉を開き、俺へと飛びかからん勢いで机を叩いた。
「は? 一体何のことだ?」
「とぼけてんじゃねぇぞ、てめぇ!
ネタは上がってんだよ!!」
ネタが、あがる・・・
「鮪が手に入ったのか?!」
やっぱり、食べたくなるんだよな。寿司。
まぁ、口にしといてなんだけど、回遊魚の上に海水で生きてるから無理ってわかってんだけどな!
でも、食べたいよなぁ。赤身! トロ! 大トロ!!
「話が噛みあっていない気がするんだが、どちらも何の話をしているんだ?」
樹枝が入ってきた扉から顔を覗かせた秋蘭が俺達の不一致を指摘するが、内容も話さずに元凶と言われたからなぁ。最近したことと言えば、華琳と沙和と協力して全員分の紐ビキニを用意したぐらいしか心当たりがない。
「樹枝の分は、俺は用意してないぞ」
「何をだ?!
それはそれで凄く不穏な気配がするんですけど、今の僕の格好を見て何か思わないんですか?!」
「何か・・・ 何か?」
樹枝に言われ、改めて上から下まで確認すると・・・・
樹枝の体を包むのは若草色のドレス。
袖口は肩までしかなく、その分露出をしてしまった腕を肘のあたりまで薄手の手袋が隠すように包み込む。
腰辺りはいつもより気持ち細く、肩から胸のあたりを見せるように開かれている。
スカートはふんわりと広がっており、ドレス全体を黄のフリルが彩っている。
その上本来短い筈の樹枝の髪があからさまに増え、貝のようにまとめあげられていた。そして、最後の仕上げと言わんばかりに額の近くをティアラが飾っていた。
「いつもより、フリルが多めか?」
「額のてぃあらも似合っているな」
「うがーーーーーー!」
秋蘭と共に素直な感想を口にすると、樹枝は雄たけびをあげる。
「だから、あんたが元凶なのかっつってんだろ!?」
「いや、だから・・・ 何の?
その恰好は樹枝の趣味だろ? 俺のところまで駆けてくるぐらいだし」
元凶元凶言われても、さっぱり内容が掴めずに問い返せば樹枝は怒りで顔を真っ赤にする。
「んなわけあるかー!
趣味じゃねぇし、着替えたらもっとやばいことになるからですよ!!
というか、本当に何も知らないんですか?!」
「だから、何の?」
「・・・あぁ、なるほど」
俺と樹枝が何度目かのやり取りをしている中で秋蘭が何故か突然微笑み、俺達の間に割って入る。
「ところで冬雲、巷で噂の『しんでれらばすと』という言葉に聞き覚えはあるか?」
「ないけど」
シンデレラバスト? 聞いたことがあるような、ないような・・・ でも、シンデレラ? 何故、シンデレラ?
「嘘ついてんじゃねぇよ!
この言葉を広めたのは御使いだって、ネタはあがってんだよ!!」
あぁ、それでネタに繋がるのか。
「で、秋蘭。そのシンデレラバストってなんなんだ?
いや、皆が俺にとってお姫様だっていうのは間違いないんだけど」
十二時になっても帰す気はないけどな!
「簡単に言えば、胸囲がある一定以下の女性のことだな」
「は? そんな名称があったのか?」
秋蘭から告げられたとんでもない内容に、俺は呆れ半分驚き半分だった。
というか、それだけで何故俺を犯人にした?
「しらばっくれんのもそこまでだ。兄上!
華琳様を始め、姉上や月さん、風さん、稟さん・・・ この大陸に名立たる貧乳女性達を囲っているアンタ以外にありえないってことだ!!」
「違う! 俺は貧乳だから愛してるんじゃない!!
皆が皆だから愛してるんだ!!!」
一番譲れないところを訂正させるために俺は叫ぶが、樹枝も一歩も譲る様子はない。
「やはり、話が噛みあってないな」
隣で秋蘭が呆れている気がするが、俺もこれは譲れない。
「ところで樹枝よ、それが今のお前の格好とどう繋がるというんだ?」
「そうなんですよ、秋蘭さん!
しんでれらばすとなんて名称を知った千里さんと緑陽に襲撃され、僕は朝からこんな恰好にされたんですよ!!」
「バストも何も、お前男だろ・・・」
胸はあってもただの板、着飾っても男は男。
「その言葉を全員に伝えろーーーー!!!」
「また話がずれたな、冬雲」
こんなことにずっと付き合ってくれる秋蘭の優しさが沁みるけど、絶対楽しんでるよな?
「まぁ、大体言いたいことはわかったけどな。
俺は広めてないぞ? 意味だって、たった今知ったぐらいだし」
「そんなことを言っても、他に広めそうな御使いなんて・・・・!」
「はぁ・・・
樹枝よ、御使いは二人いるぞ?」
「だからと言って、向こうの御使いが広めるなんて想像できません!
大体、彼の周りにいる女性は皆巨乳じゃないですか!!」
だからって、何で俺が広めたことになる?
というか、今日の樹枝の発言はさっき名前を挙げた誰に聞かれてもまずいぞ。
「冬雲の元に美しく着飾った女性が入ったと聞いたのだけど・・・」
「それで来るのもどうかと思うぞ、華琳・・・
いや、華琳らしいからいいんだけど」
何事もないかのよう窓から侵入する華琳を苦笑いで迎えれば、華琳の視線は樹枝で止まった。
「あら、美しくなったじゃない。樹枝」
「嬉しくないですよ! 華琳様!!」
華琳の褒め言葉に樹枝は絶叫で返し、華琳はさらに言葉を続けた。
「それはそうと、さっきまで随分好き勝手言ってくれたじゃない? 私が貧乳とか」
「ないものはないじゃないですか」
正直は美徳。
だけど、それを理由に殺されないとは誰も言ってない。
「フフッ、そうね。ないものはないわね。
ないなら増やせばいい。それを今日、あなたで試しましょうか」
そうして樹枝は華琳によって、どこかへと引き摺られていった。
以降、一週間は樹枝の姿を見ることはなく、一週間後に現れた樹枝の胸は赤く腫れあがっていたという。
なお後日、この『シンデレラバスト』という言葉を広めたのが白の御使い殿であることが判明した。なんでも孔明殿と喧嘩をしている際に口走った言葉を懇切丁寧に喧嘩中に説明し、民にも定着してしまったのだとか。
この事を知った樹枝は俺に謝罪し、まだ見ぬ白の遣いへと激しい怒りを抱いたという。
《シンデレラバスト》
下着のサイズ区分において、AAA~Aサイズのこと。また、そのサイズの胸を指すこともある。
ようするに貧乳を優しく表現した言b・・・(作者は魏の覇王に連行されました




