第八話
この話はグロ注意です
ボタッ。ベチャ!
只の肉塊と成り果てた魔物や内臓が次々と落ちてくる。キマイラは自分の周りに落ちてこないように尻尾の蛇を操って払っていく。肉塊は休むことなく次々と落ちていく。赤や緑や果ては青色などの血が雨のように降り注ぐ。キマイラが気を利かせてそれらを避ける結界を張った。顔を上に向ければサークルを作っている魔物たちの中心で最早残像しか見えないほど動き回っているネビロスを見る。
「数が多すぎるだろ…!」
かなりの数を倒しているはずだが数は一向に減る気配はない。むしろ、増えている。ニーラのすぐ傍、結界の向こう側に首だけとなっても生きている魔物が落ちてきた。血だらけの顔の濁った金の目が恨めしそうにニーラを睨んだ後、事切れた。
「ふん、貴様はネビロス様を何者だと思っているんだ。見てろ…あの方の魔力は全てを破壊する」
キマイラは落ちてくる魔物を見ながら落ち着いた声で言う。覚えている限り、ここに居る魔物は全て過激派の中でも特に魔王に失望し、殺そうと考えている魔物達だ。女の目の前に顔の半分を失い、脳みそがあふれ出ている赤色の魔物が落ちてきた。阿鼻叫喚、それを見た女達は気絶をした。
ニーラは言われたとおりにネビロスを見続けた。
――何が俺が『話も聴かずに攻撃をした』だ…!お前も次々と惨殺しているだろう………!!
歯を食いしばりながらそれでも尚見る。ネビロスの尾骨辺りから恐竜のような尻尾が二本生えてきた。先っぽは鋭利な刃物で出来ているらしく、それでも攻撃を開始した。圧倒的なネビロスの力に魔物達が一瞬怯んだ瞬間、彼を中心に黒い雷の力を纏っている球体が現れ、大きくなって魔物たちを飲み込んでいった。一体どこまで大きくなるんだ、そうニーラが思った瞬間一瞬で消えた。球体があったところには何も無い。そう、飲み込まれた魔物の残骸も。
「破壊と言うか、消失させただけだろう……」
「…骨の欠片も、血の一滴も残らず破壊し、抹消するのがネビロス様だ」
キマイラは生唾を飲み込んだ。魔王の座を降りても尚、その攻撃力は衰える事を知らない。と、ネビロスが一旦降りてきた。手には気絶しているだけの魔物。彼もその魔物も体中血だらけだ。まだ気を失っていなかっら女達が彼の姿を見て倒れる。意識があるのはニーラとキマイラのみ。
「こいつを預かっていろ」
投げ捨てるように持っていた魔物を結界の中へと入れた。ガーゴイルの子供だ。上空でまだ生き残っている魔物達が矢の様に列を変えて急降下してくる。ネビロスは魔術で弓矢を作り出し、急降下してきた魔物たちに狙いを定めた。右手を矢尻から離せば矢は大きく姿を変えながら魔物を一掃した。数匹残っているが、攻撃する気はなくしたらしく、止まった。
「……コイツで良いか」
殆どが原形を留めていない中で何とか形だけは分かる魔物の傍によってしゃがんだ。右手を顔の前で結んだと思えば開く。すると彼の右手に何か幽霊のような物が引き寄せられた。それを掴み、先程決めた魔物に入れ込んだ。
「貴様に新しき魂を入れよう。我の下僕となり、我に付き従え。呪術、【蘇生】」
ビクン!と魔物の体が痙攣した。腸が出ているその体はゆっくりと起き上がった。ネビロスは立ち上がり、その肩に足を追いた。いや、肩に踵を刺したと言った方が正確だ。死んでいるはずの体は痛みも感じるらしく、魔物は小さく悲鳴を上げた。
「俺を襲った奴の魂であってるな?」
「は、い」
「巴の指示か?」
「はい…」
「そうか。答えた褒美だ、苦しんで地獄に堕ちろ」
足をどかし、指をならせば青色の炎が魔物の体を包み込んだ。耳を塞ぎたくなるような叫び声をあげて魔物は燃やされていく。数分経って、炎と魔物は消滅した。ネビロスの表情は恍惚としていた。




