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世の理  作者: 日暮レイン
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第二十二話

若干の残酷描写アリです

「ええい!殺ってやれ!!」


ネビロスに呆れられた巴の神経は逆撫でされ、激昂した声で指示が飛ぶ。ネビロスは溜息を一つついてから口を大きくあけた。


「喝ッ!!!!」


大気も、森も、遠くにあった湖の水面も、頑丈なリララ国の結界でさえ大きく震えた。5匹の巴の部下も、勿ろん巴も強烈な頭痛に襲われ始めた。呻きながらその場に倒れこむ。ネビロスは口をゆっくりと閉じて彼らを見下ろした。魔術を唱えて自分と背後に居たスイレンの解毒をする。


「大丈夫か?」

「少し耳がキーンとする……」


悪い、と軽く謝ってスイレンを立たせる。ネビロスは首を曲げてコキリ、と音を鳴らす。背後には逸早く立ち上がった5匹のうちの一匹。

耳まで口が裂け、端から端まで鋭い歯が並んでいる。目の焦点は常にあっておらず、あっちこっち向いている。それ以外はやせ細った人間の姿だが、肌の色は緑だ。

ゾンビのようなその魔物はネビロスに背を向けると同じような格好の残りの4匹を食べ始めた。ネビロスは咄嗟にスイレンの視界を遮る。あたりにグチャリ、と気味の悪い音が響く。捕食されている魔物は悲鳴を上げ続けている。


「カニバリズム…いや、人間じゃないから違うか。共食いさせて何が面白いんだ?巴」


金切り声のような悲鳴の中、低いネビロスの声が通る。怒気を含んだそれはスイレンの背筋を凍らせた。ネビロスは静かにスイレンを魔術で少し離れたところに移動させ、同じく魔術でスイレンに音と景色を見せないようにした。魔術の球体の中にいるスイレンはその光の壁を叩く。


「兄さん!!僕も戦う!!!だしてぇ!!!」


返答も何も無い。スイレンは諦めて大人しく座った。

頭痛が続く巴はしかしそれでも笑っていた。ネビロスのしまっていた黒翼と先の尖った太い尾が出された。


「ッハハハハハハハ!!彼らは他の4人を食べる事で力を得るのです!!しかも!彼らは戦闘経験をつむ事で個々のレベルも上がる…。此処にくるまでに様々な戦闘をさせましたよ。さぁ、これが何を意味しているか分かりますかねぇ?」

「俺に負ける」


きっぱりと応えたネビロスに巴も共食い中の魔物も絶句。しばしの沈黙の後、ネビロスが尾の先を勢いよく魔物に向けたものの、避けられた。


「ええい!アラリッヒ!!そいつを殺せぇ!!!!」


巴の怒声と共に向ってくる魔物…アラリッヒは本気のネビロスに匹敵するほどのスピードで次々と攻撃を仕掛けるがいつの間にか二本に増えた尾で全部受けられてしまう。


「アラリッヒ…どっかの言語で『強者』を意味していたな。まぁまぁの実力だ。俺の足元にも及ばんが」


アラリッヒの右腕が一本の刃になるのを見つつ尾で応戦する。一度距離をとり、真っ直ぐアラリッヒがその刃を鳩尾目がけて刺そうとするが、ネビロスが上げた足の同じく鋭い踵で止められた。両者一歩も引かない。ネビロスはそのまま互いの先っちょがずれないように気をつけながら足に力を篭めれば綺麗に二つに分かれるアラリッヒの腕の刃。


「俺のハイヒール自体は唯の靴だが、そこに魔力を篭めれば強力な武器にもなる。魔術とはそういう風にも使うもんだ。ま、基本はこうだけどな」


パチン!と指を鳴らせば青い炎で燃え上がるアラリッヒ。が、ちらほらと赤い炎が見える。


「そう簡単にはやられませんよ!!」

「ふん、炎の種類が違うな。そいつが使っているのは【物】を燃やす炎。俺は【魂】を燃やす。魂の無くなった器は塵芥となって消え去るから【物】を燃やしていると勘違いされやすいがな。ちなみに、その青い炎は魂に関わるもんだからその赤いのは効かない」


すぐにくたばらない分頑丈なのは分かったがな、と炎の威力を上げた。すぐに消え去るアラリッヒ。悲鳴が一切聞こえなかったネビロスは少々不機嫌だった。

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