第十八話
「リュイ……」
少し遠くでネビロスがニーラの頭を掴んでいる光景が見える。スイレンの腕にはすやすやと眠っているリュイ。疲れているとか、攻撃を受けて寝ているような感じではなく唯単にすやすやと眠っている。
――僕は兄さんを傷つける奴は許さない。それが正しいと思っていたのに、兄さんはリュイに叩かれて助かった……。じゃあ、僕の判断は間違っていたの?あの時本気でリュイを止めていたら兄さんは助からなかった?じゃあ、兄さんを傷つけたのは僕……攻撃対象は僕になるの?
ぽたぽたと涙が落ちてくる。
「……スイレンは強いね」
少し目を開けて泣いているスイレンと目を合わせた。スイレンは急いで涙を拭う。
「リュイ!?起きたんだ……」
「お兄ちゃんを守る為ならなんでもする…これって誰にでもできる事じゃないと思うんだ」
「……?」
いきなり何なんだ、と首をかしげる。
「守りたくても他の人に嫌われちゃったら嫌だもん、私。でも、スイレンは私に嫌われるかもしれないのに守る事だけをするって、きっと、強い人しか出来ないと思う。ね?だから泣かないで」
自分よりも小さい手が涙を拭う。いつもの満面の笑みを浮かべるリュイにスイレンは謝罪と、感謝の言葉を並べた。何度も何度もありがとう、と。
「スイレン」
「っ、兄さん…!」
「なァに泣いてんだ。笑われちまうぜ」
少し意地悪そうに笑うネビロス。後ろでニーラが苦笑いを浮かべていた。スイレンは急いで涙を拭って居るもの表情になる。
「泣いてないもん!!」
「えー、凄い号泣だったじゃん」
スイレンから離れてけらけら笑うリュイ。徐々に顔が赤くなるスイレン。
「…リュイーーー!!!」
「あははははー。捕まえられるもんなら捕まえてみてーーー!」
「あんまり遠くに行くなよー」
追いかけっこが始まった。ネビロスは結界を少し広くし、安全に遊ばせる。
ネビロスが焼け焦げ始めている魚を火から遠ざけた。ニーラも同じようにしている時、リュイが木の幹に躓いて転んだ。泣き声が聞こえる。ネビロスが溜息をついて今まさに食べようとしていた魚を口から遠ざけてリュイたちを見る。すると、スイレンが魔術を唱えて怪我を治していた。少し何かを話して今度はリュイがスイレンを追いかける。
「…放っておいても平気か」
でも一応、とリュイに躓いても転ばない魔術をかけた。焦げた部分を落としてから魚にかぶりつく。ニーラは焦げ目ごと食べた。
「あの2人に関しては過保護だよな、お前」
「普通だ普通」
骨ごとバリバリと食べるネビロスに骨が刺さらないか心配しながらもニーラは身だけを食べていく。ふと、走り回っている2人を見ればまたリュイが躓いたが、ネビロスの魔術のお陰で体が地面にぶつかる前に少し浮かんでもとの体勢に戻る。きょとんとしたリュイだが、すぐに笑顔になってネビロスを見た。
「ありがとう!お兄ちゃん!!!」




