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五話 装備と偽粉

 ある程度草原から荒野へ出たところで、わたしは気付いてしまった。


 「今の服装まずくないかな」


 この五年間、一度も季節は変わった事が無く、常に三月と同じような温度。 この世界の服装なんて知らないため、現実で着る様な服装でいた。 現在は紫のTシャツに薄めの灰色のパーカーを羽織り、青のジーンズと適当に決めたラフな服装を着ている。 センスなんぞシラネ。


 (今のが異常に、あなたに合ってるからいいわよ、そのままで)


 「自分は良くないんだよねー冗談抜きで」


 (しょうがないわね)


 猫さんはそう言うと、わたしに粉をぶっ掛けてきた。 


 「けほっ。 なにすんの!?」


 (自分で、確かめてみなさい)


 意味が分からない、鏡を出せという意味かと思い、創造ーと口にしようとするが、猫さんにそういうことじゃないと言われてしまう。 猫さんは突然人化し、遠くを指差す。

 

 「町へ行けば、分かる事よ」


 相変わらず女神さんに匹敵するほどの容姿だなぁー、なーんてバカな事を思いながらわたしはへいへいと目を瞑りながら同意しておく。 


 「羨ましいねぇー……スイゲツは」


 猫さんに聞こえないように言ったこの言葉は自分に向けて言った言葉か、それともわたしに言った言葉か分からなかった。


 

                       ◆


 

 「さぁーやって参りました町の目の前、門の前!」


 「テンションが異様に、高いわね」


 「猫さんのせいだからー!」


 そう、全てこれは猫さんのせい。 なぜなら粉をぶっ掛けたのは猫さんだから!


 「悪かったわ――なんて言わない、反省なんて意味も無い……!」


 「くっ正論かっ?」


 先ほどから背中を切り掛けられて弾く《パリィ》しているが気にしないー、魔法が飛来してくるが――気にしない!


 「粉の効果は、見る人によって、代わります。 男ならカッコイイと女なら可愛いと。 スイゲツの容姿は童顔で、いけると思った、筈だった。」


 「肝心の粉の効果が見る人の憎悪の容姿にするじゃなければねぇ!」


 猫さんが以前、町の闇市場で手に入れた物だったらしいが、偽者を掴まされたらしい。

 いい加減対処に疲れたため後ろを振り向き、自身に魔法陣を展開する。


 「解除レジストー」


 幸い猫さんがぶっ掛けてきた粉は解除可能だったので、それを見せ付ける。

 それと同時に攻撃は止むが、魔法はいきなり止めてしまえば暴走するので、そのままわたしに向かって飛んでくる。


 「いっつあしょーたーいむー、なーんてね。創造して詠唱ー」


 わたしはいつものヘラヘラとした顔を止め、流石憎悪への対象というだけの威力のある魔法へ、対処するためこの世界から見放された魔法を創る。 


 「時ー水ー炎ー、着火ー!」 

 

 「それは、詠唱じゃないわ……」


 猫さんからツッコミされるが気にしないで、そのままわたしに対し▽の隊形をとっていた中央に魔法を設置して爆発させる。 魔法が飛来したといってもそれは全て炎の魔弾。 炎を引用し爆破、これは演出。 時を爆風にまぜて魔弾を止める、わたしの所に来ないように。 水で炎の魔弾を全て消す。

 

 「ほいーかんりょーう」


 いつも通りのヘラヘラとした顔に戻し、何となくわたしを攻撃してきた四人を各自見て――最大級にニッコリと睨――いえ、微笑んであげた途端、私の目の前に急いできて、土下座をしてくれた。

 

 「この世界には土下座があるんだねー」


 「楽観的、ね」


 「「「「すみませんでしたーーーー!!!!」」」」


 「キニスンナー、別に怪我なんてしてないしさ、ほら、町から出る人、入る人が不審な顔してるからいい加減止めて欲しいなーってね」


 その事を伝えると一人が顔を上げて恐る恐るといった感じでわたしを見上げてくる。不本意だ。


 「ならせめてなにかさせて下さい、僕たちはあなたを殺す気で攻撃を仕掛けていったんです、それを寛容に許していただくなんて無理です」


 「そーゆうのめんどーだから――いや、うん、分かったからとりあえず四人とも立ってくれない?」


 この人たちの顔が一瞬で泣きそうになったので、取りあえず分かったといって立たせて逃げてしまえば良いだろうかと思ったが、常識人だと直感で思ったのでこの世界の事について聞くことにした。

 その馬を伝えたら理由を聞かれてしまい、流石に記憶喪失はおかしいだろうと思い、田舎から出てきたと伝えた。 不審な顔をされたが何故……? 


 「それでしたらギルドへ一緒に行きましょう、謝礼として、見たところ何も持たないで来たようですし装備など僕達に任せてください」


 「ギルド登録もまだ、ですよね?さっきの腕前なら大丈夫そうなのでわたしから紹介させていただきますよ」


 「ついでに、さっき使った魔法にも詳しく……」


 「歴史や地理なら任せてください!」


 「……うん、よろしくお願いするね」


 四人の発言から何となく考えるが、一人二人冒険者ではない人が入っている気がしてならない、にしても一人の少年が三人の少女を侍らせ――げふんっ、まぁいいか。


 「スイゲツ、ギルドは、こっち」


 「ちょっ、引っ張らないでー」


 猫さんに引っ張られながらも思ったことは、四人の言った事が異常に変だったなーと、スイゲツと言われるたび溜息を出すのを止めなきゃなーという事だった。


  

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