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*第7夜*

何かを感じ取り...久し振りに...


7.久し振りの...


昨日の帰宅時刻は深夜2時ちょい過ぎ...。

睡魔真っ只中でいる筈の昼間。

今日は少し物珍しく...。


「ちは...」


学校に来ている。皆の視線が痛い...と言うか点状態。

だろうな、定期テストの時しか顔出さないから驚くのは無理もない。

ただ1人を除いては。


1人静かな教室の中でテンションハイな奴、約一名。

ご存知の俺の大の仲良しの佐倉桂吾。

テンションハイ過ぎて珍しい俺よりも目立っているかもしれない。


「珍しいねっ!羽悠がテスト以外の日に来るなんて...今日は雪かな」

「だといいな、スイマセンネ学校来ちゃって」

「やだなぁ〜俺はずっーとお前の事待ち続けてたんだよぉ?」

「逆にキモイ...」


アハハと笑う桂吾を横切り確かに存在する自分の席につく。

アイツの席は席替えをしていなければ俺の真ん前。

的中と言わんばかりにアイツは俺の前の席に腰を下ろした。

ビンゴ、ジエンド。

あぁ...と肩を落として鞄を机の横にかける。


椅子を引いて腰を下ろす。ぎしっと歪んだ音をたてる。

周りの奴等は馴染んで来たのかどわっと会話続行。

桂吾は後を向いて俺に話し掛ける。

長い長いお喋りタイム開始。始まったら覚悟を決めろ。


「何かあるから学校に来たんだろ?」

「ビンゴ、流石俺の長年の友よ...で単刀直入に訊くぞ?」

「もちOK!何でも訊いてよ!マイフレンド!」


やっぱり止めようか...。

いやでも話そう、話せるのはコイツのみ。


「隣のFクラスの紀平翠って奴、知ってるか?」

「え...なん...紀平がどうかしたのか?」

「知ってるのか?」

「あぁ一応ね、同じ委員会だし。で、その紀平がどうかしたのか?」

「あ...いや...別に何でもない、そいつ学校来てるかな」

「今日は来てないぜ、朝臨時あって今日は休みだってさ」

「情報ありがとう。でさ桂吾は俺がいない間何して遊んでたん?」

「よくぞ訊いてくれました!お話しましょう!.........」


長い長い桂吾の雑談開始。

これで全部の時間は会話に費やされる。

楽しそうに話す奴の表情が好き。それよりも...。

翠の笑顔がついつい浮かび上がってくる。


今日が昨日約束した日。


授業が終わり、休み時間が過ぎもう下校時刻。

鞄に荷物を詰め込んで帰宅準備完了。


「帰りましょ」

「おう」


桂吾と肩を並べて廊下を過ぎ、玄関に辿り着き、帰り道を辿る。

尚、会話はまだまだ続く。

アイツの一方的なお喋り。けど俺はそれを飽きずに聞く。


ちょっと寄り道と街中を歩く。

クリスマスだから色々なイルミネーションとプレゼントの山と...。


「クリスマス誰かと一緒?」

「まぁな」

「プレゼント買いました???」

「まだ」

「じゃあ買うべ」


と言われても。どんなプレゼントを贈ればいいのか判らない。

喜びそうなモノとか、鈍感な俺にはサッパリ。

キョロキョロと雑貨屋のショーウインドーを見回す。

マジで何がいいのかサッパリ判らない。


その前に鈍感な高校生の男子が女子モノの買い物とか。

プレゼントだから今日は許されるんだよね。


ジュエリーショップのショーウインドーを眺めて、桂吾に問う。


「ネックレスとリングどっちがいいかな」

「どっちかって言えばネックレスかな...リングでもいいかも知んないけど。これは悪までも俺の考え」

「参考になった」


そう言うとそのジュエリーショップに足を入れる。

ガラスケースの向うにキラキラ輝く宝石達。

ネックレスをまじまじと眺めて、翠の顔を思い出す。

どれがいいかと悩みに悩んで雪の結晶の型をしたカラフルな宝石が散りばめられたネックレス。

雪が好きだと言っていたからこれにした。

曖昧な思い込みだけど今回はよしとしよう。


定員に『彼女さんへのプレゼントですか?』と問われ『一応と答えた』

鈍感。

あぁ〜もう二度と1人では買いに来ない。

今度は誰と来るつもりなんだ?俺は...。

綺麗にラッピングをしてもらい外で待たせていた桂吾に掛けより歩き出す。


桂吾はプレゼントの内容には触れずに違う話に道を逸らす。

俺もアレの話はしたくなかったからラッキーだと思った。


段々と桂吾の家に近付いて行くとアイツが軽く口を動かし。


「兄貴帰って来てるんだ」

「エッ!緋歳さんが」

「おうよ、逢いたがってたから家こいよ」


と言っている間に家に着いてしまった。

憧れに目標にしていた緋歳さんが。

桂吾は玄関から大声で『兄貴ー!』と叫んだ。

どたどたと階段を下って来る音が耳を掠る。


家の中には俺の夢を創った人が存在している。

考えただけで鼓動の音がでかくなる。


「よぉ、元気にしてか。羽悠」

「ハイっ!お久し振りです、緋歳さん」


緋歳さんはにこにこと笑いながら俺に語りかける。

桂吾は鞄を置いて俺の横に立つ。


「お前はストリートしてるんだってな、この馬鹿が何でやんねぇーんだよ」

「俺はやっても音痴だから無理」

「だろうな、ギターも曲も上手くなっただろうな」

「はい...多分」

「じゃあ今日聴きに行ってやるよ、12時にあの噴水のトコロに行く。居るよな?」

「はい」

「また俺もストリートするから今度はユニット組んでやろうな」

「いいんですか?すげぇ嬉しいっ!」


等と言う懐かしい会話が飛び交う。

ただ今日はそんなに長話もしていられない。

途中で会話を切って、用事があるんでと家路を辿る。


理由は...彼女に送る曲を完成させる為。

家に着くと速攻で鞄をベッドの上に放置して机にしがみ付く。

ペンを片手にギターを横に置き。


プレゼント作成開始。

今思えばこれが翠へのプレゼントじゃないか...。

まぁいいや。あれは別の意味のモノで。


本当のプレゼントはこれから。

俺は本当に期待と興奮で胸が踊っていた。


踊っているならずっと踊っていればよかったのに...。


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