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大いなる愛を持つ仙尊  作者: 无名之辈


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第八十三節:強敵を掃討し方正が風采を発揮

方正と漠北は共に擂台上に上がった。

「方正、二転修練だからと思って俺が負けるとは思うな!今日は越級挑戦する」漠北は歯を食いしばり、凝重な顔で心の中で自分に声をかけた。二転の方正を前に、確かに圧力を感じていた。

「来い」方正は低く叫び、猛スピードで突進した。

漠北は心臓が跳ね上がった——方正は常識外の手を打つ。普通は先に射撃してから拳脚だが、今回は最初から突進して拳脚で勝負しようとしているのか?

「拳脚で勝負する時に俺の月刃に射たれても大丈夫なのか?」漠北は大いに困惑した。

彼は方正のことを心配しているのではなく、自分が方正と接近戦をすると、近距離で方正が月刃を射てば回避できないことを知っていた。

漠北は慌てて後退し、距離を取ろうとして手首を翻し、月刃を切り出した。

方正は危機にも動じず、地面を這うように転がり月刃を避け、続けて突進した。同時に彼の手から月華が浮かび上がった。

漠北は彼の掌に溜まって発射されていない月光を見て、緊張感が湧き上がり、次々と後退した。

彼は基礎の拳脚を練習し、月刃も鍛えていたが、族長に直接育てられている方正には少し劣っていた。

漠北はこの戦い方に適応できず、即座に劣勢に立った。

「おう?あちらは面白い」擂台上の戦いは多くの人の注意を引いた。

「こんなに接近してる、方正は肝っ玉が大きいな」薬紅は今や方源と方正を区別できた。方源は表情が無表情で成熟した陰鬱な雰囲気を放ち、方正は面が堅く陽気を湛えていた。

「族長が指導したのだろう。普通の学員同士の対決は距離が十メートルだ。これを超えると月刃は消え、これ未満だと回避できない。方正の今の戦闘距離は六メートルに縮まっている。月刃の回避も極めて熟練している。族長が重視しているだけでなく、方正自身も苦労して練習したのだろう」古月青書の目が閃いた。

「弟!」漠顔は台上で劣勢に立つ漠北を見て、心配と焦りで顔をしかめ、自分で飛び上がって方正を殴りたくなった。

赤山は無表情でただ見ていた。

方正は漠北に接近し、距離を六メートルに縮めた後、接近することはなく、月光蟲を使って射撃を開始した。

漠北は慌てて対応し、手忙脚乱で何度も月刃に掃かれそうになり、危機一髪だった。

方正は余裕だった——回避できなくても玉皮蟲がある。翠緑の玉光を張れば月刃を防げる。

漠北をこれほど圧倒して攻撃していると、方正の脳裏には過去の記憶が浮かんだ。

月夜の下、族長が一対一で教え、回避動作を手取り足取り指導し、経験を惜しみなく伝授してくれた。

「族長殿、失望させません」方正の目に精気が閃き、戦うほどに勢いを増した。

「方正は天賦があり、苦労を厭わず練習した。この成果は一滴一滴の汗で積み重ねたものだ。これが君の努力の結果だ。そうだ、方正、この勢いで光り輝け!」棚の下で族長の心は微かに波立ち、表面的には静かに観戦しているが、口角に微笑みが浮かんだ。

漠北は必死に掙扎し頑強に抵抗したが、一時間後には体中に無数の傷ができ、血が衣装を染めた。

台下の主持蟲師はこの様子を見て「この試合、古月方正の勝ち」と宣言した。

「俺は負けてない!」漠北は執拗に叫び、全身血まみれでよろめいたが、掙扎した後に蟲師たちに強制的に治療のために連れ去られた。

「このレベルの戦いは、卒業一年後の水準だ」

「甲等天才はやはり天才だ」

「族長が直接指導しているから当然強いだろ?」

結果を見て台下の蟲師たちは賛嘆の声を上げた。

古月方正は息を荒くして擂台下に降り、三匹の蟲師が囲み寄って治療し、無料で元石を提供して真元を回復させた。

しばらく休んで完全に回復した後、方正は再び擂台上に上がった。

今度の相手は古月赤城だ。

赤城は方正を見て乾いた笑いを浮かべ「よくやった!方正、漠北を負かしたな。今俺が君を負かせば一挙両得だ」

彼は自信満々だった。

方正は口を閉じ、再び突進した。

「龍丸蟲!」赤城は意識を動かし、両脚にオレンジ色の微光が浮かんだ。軽く跳ぶと瞬時に十メートル後退した。

方正が接近した距離は一気に広がった。

「へへへ」赤城は得意げに笑い「方正、君には加速する蟲がない。ただの脚では俺に追いつけない。この擂台は小さくないから十分に回避できる。漠北には効いた戦術だが、俺には通用しない」

「そうか?」方正は足を止め、原位置に立って赤城を灼熱の視線で見つめた。

彼は笑顔を浮かべ、眼に堅毅さを見せて叫んだ「そうやって回避してろ。龍丸蟲を使うたびに真元が消費される。君は一転頂点の青銅真元だが、俺は二転の赤鉄真元だ——君の三倍は耐用する。君の資質は俺に劣る。最後に真元が尽きるのは君だ!」

「お前…」赤城は色を変えた。自分の優位性しか見ていなかったが、弱点を指摘されて戦意が一気に落ちた。

「何だ、方正が二転になったのか?」周囲の蟲師たちは騒然とした。修練検査の結果は昨日出たばかりで小規模にしか伝わっていなかった。

「甲等天才はすごい。この方正は俺族の希望の星かもしれない」

「白家の天才・白凝氷は強すぎる。方正が成長すれば対抗できるかも」

「この子は面白い。学堂で二転まで修練し、基礎も紮実だ。族長が心血を注いでるのも当然だ」薬紅は囁いた。

青書も感慨深げに「族長の育成は一部だ。暗殺から生き延びて以来、この子は非常に刻苦して練習している。天賦もあり地味な努力家だ。成長すれば…俺の担い手が重くなってきたな」

「呵呵呵」族長の古月博は笑い出した。赤城の性格の弱点を方正に分析していたので、実践で使えるようになったことに喜びを感じた。

「方正は今回の第一だろう」族長の傍らで古月漠塵が口を開いた。

古月赤練は鼻先で鼻を鳴らし、場内をじっと見つめた。孫の赤城が方正に勝って赤家の面目を立ててほしかった。

だが願いは叶わなかった。擂台上で赤城は戦意を失い、方正と正式に交戦すると本来の実力が発揮できず、失態が続いた。

最終的に赤城は方正に失態を突かれ、擂台下に落とされた。

「古月方正の勝ち」蟲師が叫んだ。

古月赤練の顔は青ざめた。

一時、方正は注目の的となり、風采を尽くした。

「方正は漠北・赤城を連続で破り、勇気と知謀がある。今回の第一は彼に違いない」誰かが賛嘆した。

「そうだな、俺も期待してる。惜しいが俺たちの小組には入れないだろう」小組は学員を選び、学員も小組を選ぶ——方正のような優秀な種は既に内定されている。

「方正は族長派、漠北・赤城はそれぞれ漠派・赤派の未来の担い手だ。今後、古月一族は族長派が二大派を圧倒するだろう」先を見通す者もいた。

他の二つの擂台上では戦いが続いていた。

方正は早めに擂台下に降り、周囲の賛美の言葉を聞いて心は波立ち、脱皮したような感覚を覚えた。

今は昔とは違う。

彼の心は認められた感動、意識された興奮、肯定された喜びで満たされていた。

冷たい冬風が吹いても、彼は春のような温もりを感じた。

「最終戦、古月方正対古月方源」と、やがて一つの擂台の蟲師が叫んだ。

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