第六十一節:藁縄の上の人生
輝く朝陽が、青茅山を照らした。
学舎の中で、家老が要点を詳しく説明していた:「明日、我々は二匹目の蟲を選んで錬化する。皆は蟲を錬化する成功経験があるから、今回は復習になる。二匹目の蟲の選び方は、じっくり考えろ。ここ数日の修行の心得と、自身への理解を組み合わせて総合的に判断するんだ。一般的には、本命蟲と組み合わせて使うのが最善だ」
蟲師の最初の蟲は本命蟲と呼ばれ、選んだ瞬間に発展の基盤が確立される。その後の二匹目、三匹目の蟲は、この基盤の上で蟲師修行の具体的な方向を定めるものだ。
家老の話を聞いて、少年たちは皆思い込んでいた。ただ方源一人が机に伏せてぐうぐう寝ていた。
彼は昨夜夜半まで苦労し、宿舎に戻ってからも蟲師修行を続け、空気を温めて空っぽにした。夜明けになってやっと眠りについたのだ。
家老は方源をちらりと見て、眉をほんのり皺めたが、何も言わなかった。
族長の古月博が彼にあの話をしてから、家老は方源を放任する態度を取っていた。
「俺はどんな蟲を選べばいいんだ?」多くの生徒が考えながら、思わず方源の方を見ていた。
「そういえば、方源はもう二匹目の蟲を持っているんだ」
「そうだ、あれは酒蟲だろ? なんで解能で酒蟲が出るんだ? 運がすごくいいな」
「俺が酒蟲を持っていたら、早く中階に進めるのに」
生徒たちの心の中で思いが浮き沈みし、羨む者もいれば、妬む者も多かった。
あの日の審問の後、方源の酒蟲は明るみに出た。酒蟲の来歴に疑いはなく、族人たちは安心すると同時に、方源の運に感慨深げだった。
「俺にはどうしてこんな良い運がないんだろう、ああ」実は同じ丙等資質の古月赤城は、心の中で嘆いていた。
ずっと前から、彼の祖父は四処に頼んで酒蟲を入手しようとしていた。分脈の継承者である彼が手に入れられなかったのに、古月方源が先に手に入れたなんて。
赤城の嘆きと妬みに比べ、副頭頭の方正は元気いっぱいだ。
「兄貴、俺は必ずお前を超える」彼は方源をちらりと見て、心の中でそう呟き、視線を戻した。
ここ数日、彼の目は輝いており、生活に沸き立つような情熱があふれていた。顔は紅潮し、額は光り、歩く足取りさえ軽やかだった。
家老はこれを見て、すぐに古月族長が方正に内緒で指導し始めたことを理解した。
こんな内緒のことは、当然明言できない。
家老はこれを見て見ぬ振りをした。
また夜になった。
方源は再び石の隙間の秘洞に忍び込んだ。
キラリ……
彼の手の中で、一匹の野兎が激しくもがいている。野兎の首には鈴がつけられていた。
これは方源が山で捕まえた野兎で、鈴も当然彼がつけたものだ。
一日経って、秘洞の濁った空気は完全に消え、空気は清々しかった。
通路の入口は開いていて、中は静かにして寂しい。方源は半蹲ちになって、まず地面を注意深く調べた。昨夜彼は二箇所の地面に石粉をまいていた。この薄い石粉は、人目を引かない。
「通路入口の石粉は元のままだ。俺がいない間、通路から汚いものが這い出てこなかったらしい。秘洞の石の隙間入口には足跡が一つあるが、これは俺が今踏んだものだ。外の人が来た形跡はない」方源は観察して、安心した。
彼は立ち上がり、壁の枯れた蔦や草を力強く一把引きちぎった。
そして地面に座り、膝で野兎を押さえつけ、両手でこの蔦や草を撚った。
こんな技は普通の蟲師にはできないが、方源には豊富な人生経験がある。前世には何度も困窮し、蟲さえ飼えなくて餓死したこともある。
ある時期、彼は真元はあっても蟲が一つもなく、凡人と同じように生活に困っていた。どうしようもなくなって、藁縄を撚って草鞋や麦わら帽子を編み、石貨の欠片と交換してなんとか生きていた。
今藁縄を撚ると、方源の心に記憶が蘇った。
当時の苦渋と煎熬が、今では彼の唇辺の無言の笑いに変わった。膝の下で野兎が時々もがき、鈴がキラキラと鳴っていた。
一つ二つよく縛って長くし、万回千回撚って縄が多くなる。
細かく、ゆっくりと、年月を重ねて、歳月を一つに集める。曲折があり、撚り返しがあり、もつれがある。
藁縄を撚るのは、人生を経験するのと同じじゃないか?
秘洞の中、赤い光が暗く、若さと滄桑が方源の顔に交差していた。
時間もまるでここで立ち止まり、静かに少年が藁縄を撚る姿を鑑賞しているようだ。
キラリ……
半時間後、野兎は速く通路の中に逃げ込んだ。首の鈴がカラカラと鳴り、数呼吸の間に方源の視界から消えた。
方源が臨時に編んだ藁縄の一端は野兎の後ろ足に結ばれ、今野兎に引かれて急いで外に向かっている。
しばらくすると、藁縄は動かなくなった。
だがこれは野兎が通路の尽きに着いたという意味ではない。罠にかかった可能性もあれば、途中で止まっただけかもしれない。
方源は縄を引き始め、縄は徐々に張ってきた。彼は力を入れて引っ張った。
藁縄の先からすぐに力が伝わってきた。続いて藁縄はまた外に向かって動いた。
向こうの野兎は突然引っ張られる力を受け、驚いてまた中に急いで逃げ込んだのだ。
こうして三回五回繰り返すと、野兎はついに通路の尽きに着いたようだ。方源がどんなに藁縄を引っ張っても、縄は緩んだり張ったりするだけだ。
もしかしたら野兎は通路の尽きに着いたのか、あるいは何かの罠や機関に落ちて閉じ込められたのかもしれない。
この答えを証明するのは非常に簡単だ。
方源は縄を引き始めた。彼の力は野兎など敵わない。最終的に彼は藁縄で野兎を生き生きと引き出した。
野兎は藁縄の先で絶えず力強くもがいていたが、藁縄は酒薬花と収袋草の蟲を材料にしている。死んで数年経っても依然として丈夫で、普通の藁とは比べ物にならない。
野兎が再び跳ね回って方源の手に落ちると、方源は野兎を注意深く調べた。傷は一つもないことを確認し、ようやく溜まっていた息を吐き出した。
「今のところ、この通路は安全らしい」
この結果を得て、野兎はもう役に立たなくなった。方源は野兎をつかんで殺し、地面に捨てた。
この野兎を生かしておくわけにはいかない。動物にも記憶がある。万が一ここに戻って、酒蟲のように外の人を引き寄せたら大変だ。
彼は深く息を吸い、幾度かの試みの後、やっと小心翼翼に通路に踏み込んだ。
野兎が探りに行ってくれたとはいえ、多くの罠や機関は人間を対象にしている。野兎のような小さな動物では引き金が引かれない。だから方源は用心しなければならない。
通路は直線で、地底に向かって斜めに伸びている。下に行くほど、通路は広くなる。
方源が通路に入ったばかりの時は腰を深く屈めなければならなかった。五十歩ほど進むと、背中が胸に張り付くようになった。さらに百歩ほど進むと、腕を左右に振ることができるようになった。
通路は実は長くない、たった三百メートルほどだ。だが方源は一時間もかけて、やっと通路の尽きに到着した。
この道中、彼は小心謹慎で、一歩一歩探りながら進んだ。尽きに着いた時、彼は汗だくになっていた。
「探りに使う蟲がないと、本当に面倒だ」方源は額の汗を拭き、安全を確認してから落ち着き、通路の尽きを注意深く見回した。
この観察で彼は呆れた。
通路の尽きには巨大な石が塞がっている。石の表面は滑らかで、方源の方に突き出ている。まるで太鼓のような丸いお腹のようだ。
この巨石が、方源の前進を妨げているのだ。
この巨石のほかに、方源の周りには何もない。
「難道通路の途中が崩れて、閉鎖されたのか?」方源の目が光った。これは非常に可能性が高い。
花酒行者は死ぬ前に、急いでこの力の継承を立ち上げた。彼は千里地狼蛛を利用し、慌てて山体の通路を作った。通路は山奥に通じており、継承者を導くものだった。
だが数百年が過ぎ、この通路は時間の侵食に耐えられなかった。ある時、通路の一部が古くなって崩れたのだ。
人生にはいつも様々な意外がある。
「もし本当にそうなら、俺はここで止まらなければならないのか?」彼は前に進んで石を触った。この彼の前進を妨げる巨石は、露出している面積だけでも扉と同じ大きさだ。全体の厚さを想像することができる。
方源は月光蟲で石壁を磨くことができる。だがこのような巨石を磨くには、一二年の苦労が必要だ。
「道具を使わなければならないようだ。鉄鎬と鉄鍬で巨石を壊す。だがそうすると、多くの痕跡が残ってしまう。打撃の音も外に漏れるだろう」ここまで考えて、方源は深く眉を皺めた。彼はリスクと利益を考量している。
もしリスクが大きすぎれば、彼はこの力の継承を放棄するだろう。
もし他の人にここの秘密が発見されたら、彼がこれまでした準備と苦労はすべて水の泡になるだけでなく、自身にも生命の危険が及ぶ可能性がある!




