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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

(俺が)(あんたが)主人公のこの世界で(私が)(お前が)

涙さえ出やしない

作者: 梅木しぐれ

 眠れない夜。

 眠りたくない夜。

 どちらも起きている、という事実は同じだ。寝た方が良いなんてわかってる。わかってるけど、寝たくなんかなくて、布団に入ったら気絶するかのように眠ってしまうのもわかってる。

 けれど眠ってしまったら、また朝が、今日が、始まってしまう。太陽がこれでもかと輝いて、責められているように感じてしまうわたしは、きっと、もう、まともではない。

 降り注ぐ光が痛くて、陸の上にいるはずなのに呼吸だってできなくて、夜だってそっと息を吐き出すことしかできやしない。

 短絡的な脳みそは、すぐに“お終い”を求めたがった。

 あ、今すぐ服を脱いで、このドアノブで首を吊ることができたなら。

 あ、このハサミを腹にさせたなら。

 あ、この洗面器に水を張って溺れることができたなら。

 あ、ここから飛び降りることができたなら。

 死にたい、死にたい、と脳みそが泣いて、怖い怖いと脊髄が拒否してる。

 物語のような、優しい幼馴染なんて、愛しい恋人なんて、信頼できる家族なんて、素敵な友達なんていない。

 作る努力を怠った自分の責任だ。

 それは、そう。としか言えない。まったくもって、あなた様のおっしゃるとおるです。

 でも、でもですよ? 

 機能不全の家族でした。壊れたグループに所属していたわたしが、壊れていないグループに所属していた子と価値観が一緒なわけないでしょう。

 えぇ、えぇ、そうです。これは言い訳ですね。同級生を、妬んで、羨んで、親がいないと何もできないあなたたちと違って、親がいなくてもできるのです。と誰にも頼ることのできなかった幼い子どもの言い訳です。


 だって、きっと、素敵なあの子たちは、この夜も抱きしめてもらえたのでしょう?



最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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